しても良い借金としてはいけない悪い借金
記事作成日:2015年7月30日
最終更新日:2023年11月28日
借金は基本的にするべきものではありません。ただし、全ての借金が悪いということはありません。経済的に合理的な場合や、人生の限られた時間をより充実させるような場合は借金をしても良い場合があります。もちろん、良い借金の場合でも、無理のない返済が可能であるということが大前提です。例えば、借金をすることでより多くのお金を得られる場合や、人生を豊かにする可能性があって時期をずらせない教育や住宅などには借金をしても良い場合があります。
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借金をすることでより多くのお金を得られる場合
良い借金となり得る典型的な例が、借金をすることで、借金をしたお金よりもより多くのお金を得られる場合です。借金をするとお金を稼げるというのはピンとこないかもしれませんが、ビジネスでは借金は一般的です。多くの会社は銀行などから事業に必要なお金の融資を受けて、借金と利息以上に稼ぐことで事業を拡大していきます。借金ではありませんが、株式の発行は自分のお金ではなく、投資家のお金を事業に活用する1つの方法です。自分のお金でなければならないということはないのです。
個人の場合でも、新たに起業をする場合なども含めて会社を経営する場合、不動産を取得して賃貸事業を行う場合などで、借入金利よりも大きな稼ぎが期待できる場合には借金をするということが考えられます。
ただし、ビジネス・事業に絶対はないので、一定のリスクは抱えることになります。リスクへの備えが必要となります。
人生で時期をずらせない支出をする場合
人生を豊かにする、充実する可能性があるような支出で、どうしても時期をずらせないか時期をずらすと効果が著しく落ちてしまうような支出も、良い借金の例となり得ます。お金が足りない時は、借金に頼るのもやむを得ない場合があります。人生で必要な時点でお金を使わないと何らかの機会を失ってしまうような場合で、教育、住宅、医療、自動車などが考えられます。ただし、自動車については、公共交通機関では生活が不便となるような地域に住んでいて、自動車が生活必需品となる場合は自動車ローンによる購入も止むを得ませんが、可能な限り借金は避けるべきです。
教育
人生で時期をずられない支出の典型例がで重要なのが教育費です。もちろん、大学への入学は何歳になっても可能なのですが、通常は高校卒業後に入学することが一般的です。浪人などで入学年は多少ずらせますが、何年もずらすと就職など他の人生のイベントに悪影響を与える場合もあります。また、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の場合は入学時期をずらすことは一般的ではありません。
どのような教育を受けたかは本人の生涯賃金に大きく影響します。通常は長い目で見れば、教育費の負担よりも教育によって得られる利益の方が大きくなる場合があります。そのため、お金が無い場合、借金をしてでも教育費を作り出した方が良いことがあります。教育は適切なタイミングでお金を使わないと効果が著しく低下してしまう可能性がある支出となり得ます。
なお、教育は親の立場から借金をする場合と、本人(子)の立場から借金をする場合があります。親であれば子どもを大学に入学させたいけどお金が足りないから教育ローンを借りるということになります。本人(子)の立場の場合は、自分が大学に入学したいから奨学金を借りるということになります。奨学金といっても返済が必要な給付制ではなく返済が必要な貸与制の奨学金の場合も多く、奨学金という名前は付いていますが、要は教育ローンと同じ借金になります。
ただ、教育費で借金をする場合でも、教育によって得られる効果や返済の負担感などを十分検討しておくことが重要です。また、教育に関する借金は、教育ローンや奨学金を含めて、様々な条件のものがあるので、一番有利となるようなものを選ぶことが重要です。そのためには、事前に時間的な余裕をもって計画的に準備を進めることが必要です。
住宅
住宅については、勢いで購入に踏み切ると後悔してしまうことがあるため慎重にならなければならない部分がありますが、現金で購入できる時点まで購入しないとなると、人生の後半でしか家を購入できないということになりがちです。しかし、人生の多くの時間が過ぎた後に住宅を購入すると、人生で住宅を使える期間が短くなってしまい、住宅から得られる生活の満足感が少なくなってしまう可能性があります。
しかし、借金をすることで、お金が貯まっていなくても人生の比較的早い段階で住宅を購入することで長い期間住宅を利用することができるようになります。
住宅は教育と異なって住宅自体がお金を稼ぐような効果は通常ありません。そのため、人生のちょうどいいタイミングで家を買って人生の満足度を上げることが借金をする理由になります。人生は我慢ばかりでは辛いですし、人生の長い期間のお金の過不足を調整するのが借金なので、住宅購入は借金をしても、やむを得ない部分があるとも言えます。
また、住宅を購入することで住む場所を借りなくて済むため家賃が浮くことになります。住む場所は生きていく上で絶対に必要なものですし、家賃がなくなる分や固定資産税などが増える分などを考慮して合計の負担が重過ぎるものでなければ、住宅ローンによる住宅購入は、良い借金をしたといえる可能性があります。
ただし、家族構成が固まっていて転居をしないという前提です。住宅ローンによる住宅購入は、転居の必要性が生じた時に移動の自由度を制限する恐れがあります。
また、市場価格や金利動向を含めタイミングを見計らう必要があります。不必要に高い住宅を購入すると、家計の状況が悪化する可能性があります。
医療
日本では国民皆保険であって、公的な医療保険制度が充実しているため、治療の為に借金をするということは一般的ではなく、借金をしなくても必要最低限の医療サービスを受けることができます。
あまり一般的な例ではありませんが、特殊な病気に罹ってしまい、治療のために多額のお金が必要となる場合、借金をすれば医療が受けられて、返済の計画も立てられる場合は、借金をしても良い場合があります。自分の命や健康には代えられないので借金をするのもやむを得ません。
ただし、治療で再び働けるようになるか、ちゃんと返していけるかどうかという部分に不安が残ります。また、治療の必要性が生じている場合、医療ローンの融資を受けることができるかどうかという難しい問題に直面することがあります。
自動車
自動車が生活必需品となっているような地域にすんでいる場合、自動車を購入するための借金は生活の為として必要なものとなる可能性が高いです。ただし、十分な公共交通機関が存在する地域にすんでいる場合、自動車は生活必需品とは言い難いことがあり、借金で購入することが望ましくない場合もあります。
公共交通機関で事足りるのは通常都市部ですが、都市部では駐車場代なども高額となる場合があるため、維持費が家計を圧迫する可能性があります。
というような場合、
自動車は命に関わる部分もあるため、ローンで購入する場合でも、安全性にも十分配慮する必要があります。ただし、不必要に高額な借金とならないよう購入する車種を変更したりすることで費用を抑える努力が必要です。
してはいけない悪い借金
事業、教育、住宅、医療、生活に必要な自動車以外の借金は基本的に望ましくありません。また、収入に見合わない支出や生活費の不足分の補てん、遊びや趣味のための支出のための借金も望ましいものではありません。
収入に見合わない支出
収入に見合わないような支出のために借金をするのはやめましょう。いわゆる贅沢に関する支出です。ちょっといい服を買ったり、海外旅行をしたり、贅沢・嗜好品を買ったりするようなことが当てはまります。お金が無いうちは、あるお金の範囲内でやりくりすることが重要です。
生活費の不足分の補てん
生活費が不足しているのであれば、借金に頼るのではなく、生活に無駄や贅沢がないか見直して家計の改善を図ることが重要です。それでも生活のためのお金が足りていないのであれば収入を増やす方法を考える必要があります。生活費の不足は続きやすいので借金を繰り返す傾向があり、その場しのぎの解決は実は解決になっていないということがよくあります。
遊びや趣味のための支出
遊ぶお金が足りない、趣味のためのお金が足りないといったような場合に、借金をするのは避けるべきだと考えられます。収入の範囲でできないような遊びや趣味は控えるべきです。お金がかからないようにできないか考えることが重要です。
まとめ
- 借金は基本的にするべきではありませんが、全ての借金がしてはいけない悪い借金というわけではなく、しても良い借金があります。
- 借金をすることでより多くのお金を得られる場合や、人生で時期をずらせない支出をする場合は、良い借金となることがあります。