クレジットカード利用時の家計簿のつけ方
記事作成日:2015年6月13日
最終更新日:2016年1月7日
クレジットカードを使って買い物をすると家計簿をつける時困ったことがおきます。5月に1万円の買い物をして、6月に1万円が請求された場合、家計簿はどうやってつけると良いか困りませんか?5月に1万円を使ったことにして家計簿に1万円の支出と書くと実際にはお金が減っていないので現金の流れと合わなくなります。
お金の動き | カード利用月(5月) | カード支払月(6月) |
---|---|---|
クレジットカード | 1万円利用 | (利用分を決済) |
預金口座 | - | 1万円支払い |
家計簿 | ? | ? |
6月に1万円の買い物をしたと家計簿に書くとお金の流れにあっているので現金の動きとあいます。ただし、6月に買い物をしたわけではなく、実際には5月に買い物をしています。
クレジットカードを利用した時の家計簿のつけ方は大きく分けると次の2通りになります。
- 利用月に使ったことにする方法(発生主義)
- 請求月に使ったことにする方法(現金主義)
クレジットカードを利用した場合には家計簿上では、クレジットカードの利用を支出やクレジットカードの利用料金の支払いをどのように処理するかということが重要になります。また、家計簿上で2重カウントにならないことに気を付ける必要があります。
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利用月に使ったことにする方法(発生主義)
クレジットカードを利用した月に家計簿に買物で支出したことを記録します(発生主義)。しかしこの時点ではクレジットカードからの請求が来ていないため支払いは終わっていません。2つ処理方法がありますが、借金をしたとして処理する方法と、利用時にお金も支払ったとして処理する方法があります。
- 方法1:クレジットカードの利用を借金と考える方法
- 方法2:クレジットカードの利用時にお金も支払ったと考える方法
利用月処理その1(借金をしたとして処理する方法)
クレジットカードを利用したけれども利用月の締め日までに請求が来ていない場合、利用額分の借金をしたとして負債として記録する方法です。つまりクレジットカードの1回払いも負債として記録することになります。最も厳格な考え方で複式簿記の考え方によります。
クレジットカードを使った月に支出したと家計簿につけますが、利用額分借金をしたということにして、支払月に借金を返済したという扱いにします。
お金の流れの例
項目 | カード利用月(5月) | カード支払月(6月) |
---|---|---|
クレジットカード | 1万円利用 | (利用分を決済) |
預金口座 | - | 1万円支払い |
家計簿 | (収入)+1万円 (借金)+1万円 (支出)-1万円 | (借金)-1万円 (支出)-1万円 |
家計簿の記入例
家計簿の収支で現金の帳尻を合わせたい場合は、クレジットカードを使った時に利用額分の借金をして利用額分のお金が入った(収入があった)ことにしてそのお金で支払ったという形でつけることになります。支払月には、お金を支払ってその分借金が減ったという形で家計簿をつけます。
月 | 収入 | 支出 | 借金 |
---|---|---|---|
5月 | (借入)+1万円 | (買物)-1万円 | +1万円 |
6月 | - | (返済)-1万円 | -1万円 |
合計 | 1万円 | -2万円 | 0万円 |
実際のお金の管理
クレジットカードを利用した時は、利用したお金を普段の財布や口座から支払用口座に分けて支払いに備えることが鉄則です。もちろん、クレジットカードを利用した分は取り分けておきますが、取り分けたお金は資産としてカウントします。以下の例では最初に普段の口座に5万円のお金があり、支払用口座にはお金が無かったとします。
月 | 普段の口座 | 支払用口座 | 資産 | 負債 |
---|---|---|---|---|
5月(購入前) | 5万円 | 0万円 | 5万円 | 0万円 |
5月(購入後) | 4万円 | 1万円 | 5万円 | 1万円 |
6月(返済後) | 4万円 | 0万円 | 4万円 | 0万円 |
利用月に使ったと考えた上で借金扱いするメリット
企業会計の複式簿記を家計に導入した考え方で、厳密に家計のお金を記録するには適しています。資産や負債(借金)の残高が把握できます。
利用月に使ったと考えた上で借金扱いするデメリット
家計簿を記入する時に手間がかかり複雑になるということがデメリットです。複式簿記の考え方に慣れていないと処理の意味が分からなくなります。
利用月処理その2(利用時にお金も支払ったとして処理する方法)
クレジットカードを使う=負債が増えるという考え方ではやや複雑なので、少し簡略化して借金をしたとは扱わない方法が、クレジットカード利用時に、利用分のお金を支払って清算してしまったとする方法です。後で説明する現金主義に似た考え方ですが、こちらの処理方法はクレジットカード利用時(実際の買い物時点)でお金を使ったことにするというところが違います。
お金の流れの例
項目 | カード利用月(5月) | カード支払月(6月) |
---|---|---|
クレジットカード | 1万円利用 | (利用分を決済) |
預金口座 | - | 1万円支払い |
家計簿 | (支出)-1万円 | - |
家計簿の記入例
家計簿上はクレジットカードを利用した時に、その分お金を支払ってクレジットカードの利用分を清算したんだと考えることにします。そして、クレジットカードの利用残高は家計簿上は把握せずに特別記入しません。クレジットカードの利用をあたかも現金の支払いであるかのように家計簿をつけます。記入は楽です。
月 | 収入 | 支出 | 借金 |
---|---|---|---|
5月 | - | (買物)-1万円 | - |
6月 | - | - | - |
合計 | 0万円 | -1万円 | 0万円 |
実際のお金の管理
クレジットカードを利用した時は、利用した分だけお金を分けておくことが支払い不能にならないために重要です。クレジットカードを利用したら、その時点で同額の現金を別に分けてクレジットカードの利用料金を支払うための専用口座に入金するか、封筒やクリアファイルに分けて保存しておきます。
ただし、借金をしたとは扱わず、クレジットカード利用時にお金を払って清算したと考えているので、支払いに備えて分けた金額は家計簿で資産として把握せず、クレジットカードの1回払いも借金(負債)とは認識しません。つまり分けたお金は既に使ってなくなったお金として扱うことがポイントです。。
以下の例では最初に普段の口座に5万円のお金があり、支払用口座にはお金が無かったとします。
月 | 普段の口座 | 支払用口座 | 資産 | 負債 |
---|---|---|---|---|
5月(購入前) | 5万円 | 0万円 | 5万円 | 0万円 |
5月(購入後) | 4万円 | 1万円 | 4万円 | 0万円 |
6月(返済後) | 4万円 | 0万円 | 4万円 | 0万円 |
(注意)支払用口座に分けた1万円は分けた時点で資産ではなく、使ったものだと考えることがポイントです。クレジットカードの残高は負債(借金)とはしませんが、別途利用記録のメモを付けておいた方が良いでしょう。
利用月に使ったと考えた上で借金扱いをしないメリット
家計簿を記入する上では楽になります。クレジットカードを利用したら現金がその分無くなり、クレジットカードの1回払いを負債としないので、手間がかからず、分かりやすいです。しかも、利用額分を取り分けているので口座への入金を忘れないようにすれば返済不能となることがありません。
買い物時点でお金を使ったと記録するため、実感に近い家計簿になります。
利用月に使ったと考えた上で借金扱いをしないデメリット
クレジットカードの支払い用口座の残高や封筒・クリアファイルの金額が家計簿外のお金になりますが、利用額分入っていることを定期的にチェックすることは忘れないようにしましょう。支払い管理が甘くなってしまう可能性があることがデメリットです。
公共料金や通信費は請求月(支払月)につけると分かりやすい
クレジットカードを利用した月にお金を使ったことにして処理する方法について説明しましたが、処理が難しいものがあります。それは電気料金やガス料金といった公共料金、固定電話料金や携帯電話料金といった通信費の扱いです。
電気料金やガス料金といった公共料金、固定電話料金や携帯電話料金といった通信費の支払いをクレジットカードでしている場合は、上記のように利用時点と支払い時点を分けずに、クレジットカード利用料金の請求時点(つまり支払い時点)で家計簿をつけても良いと思います。
なぜかと言えば、公共料金や通信費などは、クレジットカードで支払うことを最初に登録しますが、その後は自分からクレジットカードを示して支払うわけではないため、いつの時点でクレジットカードを利用したかということが分かりづらいためです。電気やガス、水道などの公共料金の事業を行っている企業などからクレジットカード会社に利用料金が請求がされる日は通常は分からないのです。
請求月に使ったことにする方法(現金主義)
クレジットカードを利用して買い物をした時点では支出をしておらず、クレジットカードの利用料金の請求月(支払月)に使ったことにする方法です。つまり、クレジットカードを使った時は一切何も記録しないで、実際に請求があった時点だけで処理をします。お金の流れと一致している(現金主義)ことがメリットですが、クレジットカードを使った時点でお金を分けておかないと使い過ぎてしまう場合があるので注意が必要です。
お金の流れの例
項目 | カード利用月(5月) | カード支払月(6月) |
---|---|---|
クレジットカード | 1万円利用 | (利用分を決済) |
預金口座 | - | 1万円支払い |
家計簿 | - | (支出)-1万円 |
家計簿の記入例
家計簿上ではお金が動いた時だけ記入します。そのためクレジットカードで買い物をした月にはお金の支払いがまだなので何も記入しません。備忘録としてクレジットカードの利用記録を付けるのは良いですが、直鉄的に収入や支出の項目には出てきません。
月 | 収入 | 支出 | 借金 |
---|---|---|---|
5月 | - | - | - |
6月 | - | (買物)-1万円 | - |
合計 | 0万円 | -1万円 | 0万円 |
実際のお金の管理
クレジットカードを利用して買い物をした場合には、引き落とし口座が残高不足にならないように使った分だけお金を分けておきます。これは家計簿でどう記録しようとも変わりがありません。以下の例では最初に普段の口座に5万円のお金があり、支払用口座にはお金が無かったとします。
クレジットカードを使ってお金を分けた場合はまだ支払いをしたことにはしていないので分けた金額も資産として残高を把握する必要があります。またクレジットカード利用を借金は扱いません。
クレジットカードの利用金額が月によってバラバラとなる場合は、月ごとのお金の使い方の実態が分かりづらくなることがありますが、管理のしやすさという面では大きなメリットがあります。
月 | 普段の口座 | 支払用口座 | 資産 | 負債 |
---|---|---|---|---|
5月(購入前) | 5万円 | 0万円 | 5万円 | 0万円 |
5月(購入後) | 4万円 | 1万円 | 5万円 | 0万円 |
6月(返済後) | 4万円 | 0万円 | 4万円 | 0万円 |
(注意)支払用口座に分けた1万円は分けた時点ではまだ資産として扱います。この場合はクレジット利用料金の請求があって支払って初めて、お金を使ったと考えるからです。クレジットカードの残高は負債(借金)とはしませんが、別途利用記録のメモを付けておいた方が良いでしょう。
請求月に使ったと考えるメリット
お金が実際に動いた時だけ記録するので家計簿がつけやすく、分かりやすい部分があります。
請求月に使ったと考えるデメリット
クレジットカードで買い物をしたのが5月なのに、家計簿上はお金を使ったのが6月となる点が少し気持ち悪いことがデメリットです。クレジットカードの利用状況を把握して使い過ぎに気を付けないと、使い過ぎる可能性があります。
クレジットカードを利用してから記録するまで時間が開くので、利用時点でもらったレシートをちゃんと受け取っておかないと家計簿に書く時、これ何のお金だっけ?と分からなくなります。送られてくるクレジットカード利用明細やインターネット上の明細を活用してもいいでしょう。
まとめ
- クレジットカードで支払いをすると買った時と支払う時がずれるので家計簿のつけ方が問題になります。
- クレジットカードを使った場合の家計簿のつけ方にはクレジットカード利用時に買い物をしたと考える方法が2つと、クレジットカードの利用料金の請求時に買い物をしたと考える方法が1つあります。自分が好みった方法で処理しましょう。自分が分かればどういう方法で記録しても問題ありません。