住宅ローンを借りるメリットとデメリット
記事作成日:2019年1月23日
最終更新日:2022年8月5日
住宅ローンを借りて家を買うメリットとデメリットについてです。住宅ローンを借りるメリットとして、お金がなくても家が買えること、手元にお金が残ること、住宅ローン控除の適用があることなどが挙げられます。一方でデメリットとしては、家を売りづらくなり身動きがとりづらくなること、利息が発生すること、固定的な支出となって家計の負担となること、などが挙げられます。
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住宅ローンを借りるメリット
住宅ローンを借りるメリットとしては、お金がなくても家が買えること、手元に現金や預金を残せること、住宅ローン控除の適用を受けられる場合があることなどがあります。
お金がなくても家を買える
住宅ローンを借りることでお金が貯まっていなくても家を買うことができます。住宅ローンを利用して、利息という手数料を支払うことで将来のお金を前借りして、欲しい家が買えるのです。
もし、お金が貯まってからでないと家が買えないというのであれば、人によっては50代や60代にならないと自宅が購入できないことになってしまいます。しかし、50代や60代になってからでは新婚の時期、育児の時期は大抵の場合過ぎているため、購入した自宅を存分に活用することができなくなってしまうのです。
手持ちの現金や預金を失わなくて済む
住宅ローンを借りないで現金で住宅を購入する場合、多額の現金を支払わなければいけません。そのため、手持ちの現金や預金を失うことになりますが、急な支出が発生した時に支払いに困ってしまう可能性があります。また、他の用途にお金を使えなくなってしまいます。
例えば、現金で家を買った場合、家を買うことはできたけど、子どもの教育費が準備できなくなってしまった、重篤な病気の治療費が十分に用意できなくなった、ということが起きる可能性があります。
もし、住宅ローンを借りていれば、手元に現金を残すことができますし、毎年少しずつ住宅ローンを返済していけばいいので、常に手元に一定規模のお金を残しておくことができます。
住宅ローン控除を適用できる場合がある
住宅ローンを借りる場合、一定の条件を満たすと住宅ローンの適用を受けることができ、一定期間税金の支払いが少なくなることがあります(税額控除)。住宅ローン控除は住宅ローンの借入残高に一定の割合を掛けた金額が控除額となります。仮に住宅ローンの借入残高×1%の税額控除を受けられる場合、住宅ローンの借入金利が1%より小さければ、お金を借りているのに住宅ローン控除のおかげで利息以上の税金が戻ってくるということになります。
もちろん、住宅ローンを借りる時に発生する費用は利息だけではありませんので、印紙代など他の費用も発生しますが、借入金利が十分に低いのであれば、住宅ローン控除を活用すると、利息の実質的な負担がないまま、住宅ローンを利用できる場合があります。
団体信用生命保険が利用できる
住宅ローンを利用する時は一部の例外を除き、団体信用生命保険を利用することになります。団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に債務者が死亡または高度な障害の状態に陥った時に保険金で住宅ローンを返済できる保険です。
団体信用生命保険は、金融機関が保険料を負担するため、借りる人は無料で利用できるとされていることが多いですが、借入金利等で実質的に保険料分が調整される(上乗せされる)ことになるため実質的に無料とは言い難いですが、安心して家を購入できる仕組みです。
現金で家を購入した場合、直後に高度な障害状態になっても団体信用生命保険には入らないため、他の保険に入っていなければ困ってしまう場合があります。
住宅ローンを借りるデメリット
住宅ローンを借りるデメリットとして、住む場所が固定されて身動きがとりづらくなる、利息が発生する、固定的な支出となって家計の負担となる、などが挙げられます。
住む場所が固定されてしまい身動きがとりづらくなる
住宅ローンを借りて家を購入した場合、住む場所が固定されてしまい身動きがとりづらくなるというデメリットがあります。現金で購入しても住む場所が固定されるように思うかもしれませんが、住宅ローンがない分だけ売却しやすいため、まだ動きやすいのです。
住宅ローンを借りて家を買った場合、住宅ローンの残債を全て返済できるような売却金額で売らないと抵当権を抹消できないため、売りづらくなってしまうのです。もちろん、住宅ローンの借入残高が残る金額でしか売却できない場合でも売却する方法はありますが、現金購入の場合より手間がかかります。
自宅を購入したけれども、近所づきあいでトラブルがあるため引っ越しをしたい、両親の介護や仕事の都合などで引っ越しをしたい、という場合には住宅ローンを借りたことがデメリットとなることがあるのです。
利息が発生する分だけ一生で使えるお金が減る
住宅ローンを借りると利息が発生します。住宅ローンを利用しなければ利息が発生しないため、利息の分を他のことに使うことができます。しかし、住宅ローンを借りてしまうと、利息が発生した分、利息分だけ一生で使えるお金が減ってしまいます。
住宅ローンの借入金利は借りる時期によっては1%を下回る場合もありますが、借入金額が多く、かつ借入期間も長いため、数千万円を借りた場合、利息の支払い総額が1,000万円を超えることもあります。
住宅ローンを利用すると人生で利用できるお金が1,000万円減ってしまうと考えると、利息の1,000万円を他のもっと有意義なことに使えるのではないかと感じてしまうかもしれません。
住宅ローンの返済が固定的な支出となって家計の負担となる
住宅ローンを一度借りると、長期間住宅ローンの返済が続くことになります。そのため、家計における固定的な支出となって家計の負担となります。
もし身の丈に合わないような高額の物件を購入して、住宅ローンを多めに借りてしまった場合、返済も多くなってしまいます。物件の選択を間違えてしまった場合、家計が苦しい状態が継続してしまうことがあります。
与信枠が減って不動産投資などがしづらくなる
住宅ローンを借りるとその分、他の融資を受けづらくなります。金融機関の融資は、事業や不動産投資など融資対象のキャッシュフロー(お金の出入り)に注目する部分もありますが、融資対象者の収入と既存の借入残高と返済金額にも影響を受けます。
住宅ローンを借りていない人であれば、返済がない分ゆとりがあるとみられるため、他の融資を受けやすくなります。いざとなったら給料などの収入から返してもらえる可能性があるからです。しかし、住宅ローンを借りていると住宅ローンの返済で余裕がなくなるため、給料などの収入から返してもらえる可能性が減ります。そのため、住宅ローンを借りると、他の融資を受けづらくなることがあるのです。
住宅ローンを借りると、その分与信枠が減ってしまい、他の目的での借り入れ、例えば不動産投資のための融資を受けづらくなることがあります。一つの考え方として、若い時期に安定した給与収入を背景に融資を受けて不動産投資をして、その収入で自宅を購入するというようなものがあります。先に住宅ローンを借りるのではなく、お金を借りやすい状態を活かして投資で先にお金を増やすという考え方です。
住宅ローンを借りると他の融資を受けづらくなることがありますが、他に投資を考えている場合は与信を受けづらくなることがデメリットになること上がります。
住宅ローンを借りるための事務手数料や保証料がかかる
住宅ローンを借りると利息が発生するほか、金融機関によって名目は異なりますが事務手数料や保証料などの諸費用が発生します。また、住宅ローンの借り入れをする契約書に貼り付ける印紙代や抵当権を設定するための登録免許税、司法書士報酬などの支払いが発生します。
利息と比べると高額ではありませんが、住宅ローンを借りることで発生する費用があるため、住宅ローンを借りるデメリットとなります。
住宅ローンを借りる手続きは面倒で審査に時間がかかる
住宅ローンを借りる手続きは面倒ですし、金融機関による住宅ローンの審査には時間がかかります。住宅ローンを借りるために様々な書類を準備しなければいけなかったり、金融機関に何度か足を運ばなければいけなかったり、電話やメールなどで金融機関の担当者とやりとりをしなければいけなかったりします。また、住宅ローンの審査には時間がかかるため、購入時期が見通しづらくなってしまうことがあります。
審査があるため誰でも借りられるわけではない
住宅ローンは審査があるため誰でも借りられるわけではありません。収入が少ない人、収入が不安定な雇用形態の人、完済時の年齢が高齢となる人、購入しようとする物件の担保価値が低い場合、などは住宅ローンの審査が通らない可能性があります。
住宅ローンは誰でも借りられるわけではないため、状況によっては利用できない場合があります。
返済できなくなると住む家を失う
住宅ローンを借りる場合には通常は購入する住宅(土地や建物、区分建物)に抵当権が設定されるため、住宅ローンの返済が滞ってしまうと、自宅が競売にかけられてしまい、住む家を失ってしまう可能性があります。
そのため、住宅ローンを返し終わるまでは、本当の意味で終の棲家とはならないのです。住宅ローンのかなりの部分を返済して完済が見えてきたとしても、急に収入が途絶えて返済ができなくなった場合、家を失ってしまう可能性があります。
まとめ
- 住宅ローンを借りるメリットには、お金がなくても自宅を買えてしまう、手元のお金を残しておける、住宅ローン控除の適用を受けられる場合がある、などがあります。
- デメリットには、利息が発生する、自宅を売りづらくなって引っ越しが難しくなる、家計の固定的な支出となって負担になる、他の融資を受けづらくなる、などがあります。