住宅ローンの全期間固定金利型の特徴とメリット・デメリット
記事作成日:2016年4月13日
最終更新日:2022年7月21日
住宅ローンの金利には大きく分けると変動金利型と固定金利型の2つのタイプがあります。固定金利型には、一定期間が固定金利となるタイプと全期間が固定金利となるタイプがあります。ここでは全期間が固定金利となるタイプの特徴とメリット・デメリットについて説明しています。全期間固定金利型で有名なものがフラット35ですが、フラット35に限らず通常の住宅ローンでも全期間を固定金利とすることができる場合があります。
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全期間固定金利型の特徴
全期間固定金利型の住宅ローンの特徴についてです。
全期間金利が固定される
全期間固定金利型は名前の通り借入金利が借入の全期間で固定されます。市場の金利が上がっても下がっても借入金利は影響を受けません。住宅ローンの借り入れ時点で決められた金利が借入期間中ずっと適用されます。
固定期間が長いほど金利水準が高くなる
全期間固定金利型では金利が固定される期間が長いほど借入金利の水準は高くなります。固定される期間が長いほど、借り手にとって不確実性がなくなる分有利になりますが、貸し手が金利変動の不確実性の影響を受ける分、固定期間が長いほど金利が高く設定されます。
金利水準が高い
全期間固定金利型は変動金利や固定金利(固定金利選択型)よりも通常金利水準が高くなります。固定される期間が長くなることが理由です。そのため、毎月の支払金額が膨らみやすくなっています。
全期間固定金利型の金利は市場金利に連動
最初に借りる時の全期間固定金利型の金利は市場の金利との連動性があります。変動金利型は市場金利との連動性が高いものもありますが、政策金利に連動し市場金利との連動性が薄いものもあります。
金利のタイプは基本的に変更できない
全期間固定金利型は全期間金利が固定されているため、基本的に金利タイプを変更することができません。ただし、一部の金融機関では他の金利タイプへの変更を認めている場合もあります。
全期間固定金利型のメリット
全期間固定金利型のメリットは次のようなものがあります。
- 毎月の返済額や返済総額が確定する
- 借りた後の金利上昇の影響を受けない
- 未払い利息が発生しない
毎月の返済額や返済総額が確定する
全期間固定金利型は全期間金利が固定されているため、毎月の返済金額が返済総額が借り入れの時点で確定します。元利均等返済の場合には、毎月の返済金額が最初から最後まで一定のため、家計の見通しを立てやすいというメリットがあります。
金利上昇や金利低下によって返済金額が増減することがありません。特に金利上昇によって返済金額が増加しないので、金利上昇時に住宅ローンの返済が家計を圧迫するというようなことがありません。
借りた後の金利上昇の影響を受けない
全期間固定金利型は、金利が全期間固定されるため、借りた後に金利が上昇しても影響を受けることがありません。金利上昇のリスクを気にしないでいいため、金利の動向を気にして、金利が上がらないだろうかというような心配をする必要がありません。精神面で金利上昇の不安を抱えなくて済むのです。金利が上がるかもしれないという不安を何十年も抱えるのは案外ストレスがかかるものです。
特に日本では日本銀行が国債の買い入れを大量に行う金融緩和策を実施していますが、金融緩和策を転換し解除する時、いわゆる出口を目指すときに、国債市場が混乱し金利が急騰するのではないかということが懸念されています。
また、日本の財政が悪化していることから、財政の持続性への懸念が強まりいつか国債市場で金利が急騰するのではないかということも懸念されています。
金利急騰は生活の様々な場面に悪影響を与えることになるため、避けられるに越したことはないのですが発生しないとは言い切れません。金利上昇のリスクを気にしなくてよいというのは大きなメリットです。
未払い利息が発生しない
固定金利を選択している間は、変動金利型のような金利変動がなく、約定通りの返済を続けている限り未払い利息が発生することはありません。元本の減りが遅くなるというようなことも起きません。
全期間固定金利型のデメリット
全期間固定金利型のデメリットは次のようなものがあります。
- 借りた後の金利低下の恩恵を受けられない
- 金利水準が高い
借りた後の金利低下の恩恵を受けられない
全期間固定金利型は、金利が全期間固定されてしまうため、金利が低下しても恩恵を受けられず借入金利は変化しません。そのため、金利低下時は不利となり利息を多く支払ってしまうことになります。
日本では1999年のゼロ金利政策や2001年の量的緩和政策によって2000年代には金利低下が進みもう金利は下がらない、金利は今が底と言われましたが、2008年のリーマンショックを経て更に世界的に金利低下の動きが進みました。更に日本では2016年には日本銀行の当座預金の一部にマイナス金利が適用されるようになり、10年国債利回りがマイナスになるなど一段と金利が低下しました。
今後も金利低下が続くとは限りませんが、もう金利は下がらないという考えは思い違いになってしまうリスクは頭の片隅に入れておく必要があります。
金利水準が高い
全期間固定金利型は、変動金利や固定金利(固定金利選択型)よりも借入金利が高くなってしまうため、不確実性が減る代わりに利息を多く支払うことになってしまう可能性があります。金利水準が高いということは毎月の返済金額が多いということになるため家計を圧迫しやすくなります。
低金利の時代が続いた場合には、変動金利で借りていた方が全期間固定金利型で借りているよりも結果的に利息が少なかったということが起きえます。
まとめ
- 借入期間の全期間が固定金利となるタイプの住宅ローンは、借り入れ時点で金利が固定されるため、借りた後の金利の上昇や低下の影響をうけなくなります。毎月の返済額や返済総額が確定するため、家計の見通しが立てやすいというメリットがあります。
- ただし、変動金利や一定期間固定金利の場合と比べると金利が相対的に高いため、低金利が続いた場合には不利になることも考えられます。