住宅ローンの固定金利(固定金利選択型)の特徴とメリット・デメリット
記事作成日:2016年4月12日
最終更新日:2022年7月22日
住宅ローンの金利には大きく分けると変動金利型と固定金利型の2つのタイプがあります。固定金利型には、一定期間が固定金利となるタイプと全期間が固定金利となるタイプがあります。ここでは一定期間が固定金利となるタイプの特徴とメリット・デメリットについて説明しています。一定期間が固定金利となるタイプは当初固定金利型、固定金利選択型、固定金利特約型、固定金利指定型、期間固定型、固定金利期間選択型、10年固定型(10年以外にも2年、3年、5年、15年など他の年数もあります)などと呼ばれています。
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金利固定金利(固定金利選択型)の特徴
住宅ローンの金利固定金利(固定金利選択型)の特徴です。全期間固定のタイプを除きます。
一定期間が固定
固定金利(固定金利選択型)は1年、2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年などの借入期間のうち、一定の期間の間金利が固定されます。固定期間が過ぎた後は、変動金利か再び一定期間が固定金利となるか選択することになる住宅ローンが多いですが、住宅ローンによって扱いは異なります。
固定期間が長いほど金利が高い
固定金利(固定金利選択型)では金利が固定される期間が長いほど金利が高くなるように設定されています。金利が固定される期間が長くなるとその分借りる人にとっては不確実性が減って有利なので金利が高く設定されます。
通常は固定金利(固定金利選択型)の金利は変動金利よりは高くなる傾向があります。ただし、固定期間が短い場合で金利優遇がある場合などには、変動金利よりも一時的に有利になる場合があります。
固定金利は市場の金利と連動
借り入れる時の固定金利(固定金利選択型)の金利は、市場の金利との連動性が高くなっています。そのため借りる時の市場の金利水準に影響を受けることになります。なお、変動金利の一部のタイプには、市場金利ではなく日本銀行の政策金利との連動性が高いため、市場金利の影響を受けづらいものもあります。
固定期間終了後に金利タイプを選択できる
固定金利(固定金利選択型)の特徴は金利が固定される期間が終了すると、通常は変動金利か再び固定金利(固定金利選択型)を選ぶか選択が可能となっています。
ただし、金利は再び選択する時の金利が反映されるので、最初の契約時の金利水準から大きくかけ離れている場合があります。金利の優遇内容が固定期間の終了時に変更になる場合もあります。また、一部の住宅ローンは選択に制約がある場合があるので、契約内容をよく確認する必要があります。
固定期間終了時に毎回判断が必要になる
固定金利(固定金利選択型)では固定期間の終了時に金利選択の判断が必要になります。判断を誤ると利息を多く支払ってしまう可能性があります。そのため、金利動向について継続的な研究をしておく必要があります。
固定期間終了後に毎月の支払金額を再計算
固定金利(固定金利選択型)は金利の固定期間中は毎月の支払金額が変化しませんが、固定期間が終了した時点で金利も変わるため、通常は毎月の支払金額(返済額)も再計算されます。その時に毎月の返済額が大きく変わることがあります。
固定期間中は基本的に金利タイプを変更できない
固定金利(固定金利選択型)は金利が固定されている間は基本的に金利タイプを変更することができません。ただし、一部の金融機関では他の金利タイプへの変更を認めている場合もあります。住宅ローンによって金利タイプ変更の柔軟性が異なるため、契約前によく調べておくことが大切です。
一度変動金利型を選ぶと固定金利型に戻せない場合も
固定金利(固定金利選択型)は金利の固定期間が終了した時点で、変動金利型や固定金利(固定金利選択型)に変更することができますが、一度変動金利型を選ぶと固定金利(固定金利選択型)に戻せない場合があります。住宅ローンによって扱いが異なるため、事前によく確認しておくことが重要です。
固定金利(固定金利選択型)のメリット
固定金利(固定金利選択型)のメリットは次のようなものがあります。
- 固定金利の期間中は金利上昇の影響を受けない
- 金利が低下したら固定期間終了時に金利が下げられる
- 全期間固定金利型よりは金利が低い
- 未払い利息が発生しない
固定金利の期間中は金利上昇の影響を受けない
固定金利(固定金利選択型)は、金利が固定されている間は金利上昇の影響を受けることがありません。固定金利の期間中に金利が上昇しても固定期間が終了するまでに金利が低下していれば、金利上昇の影響を全く受けないで済むことになります。
金利が低下したら固定期間終了時に金利が下げられる
固定金利(固定金利選択型)は、金利が固定されている間は金利低下の恩恵を受けられませんが、固定期間が終了した時点で金利低下の恩恵を受けて、金利を下げることができる場合があります。
全期間固定金利型よりは金利が低い
固定金利(固定金利選択型)は、全期間固定金利型よりは固定する期間が短くなるため金利水準が低くなります。その分だけ返済負担が軽くなることはメリットです。
未払い利息が発生しない
固定金利を選択している間は、変動金利型のような金利変動がなく、約定通りの返済を続けている限り未払い利息が発生することはありません。元本の減りが遅くなるというようなことも起きません。
固定金利(固定金利選択型)のデメリット
固定金利(固定金利選択型)のデメリットは次のようなものがあります。
- 変動金利よりも金利水準が高い
- 固定金利の期間中は金利低下の恩恵を受けられない
- 金利が上昇したら固定期間終了時に金利が上がる
- 毎月の返済額や返済総額が確定しない
- 金利の変化が読みづらい
- 変動金利と全期間固定金利の悪いどこ取りになる可能性
変動金利よりも金利水準が高い
固定金利(固定金利選択型)の借入金利は、基本的に変動金利の借入金利よりも高くなっているため、利息の負担が大きくなります。金利動向によっては変動金利を選択した場合よりも利息負担が大きくなり損をする場合があります。
固定金利の期間中は金利低下の恩恵を受けられない
固定金利(固定金利選択型)は、金利が固定されている間は金利が低下しても恩恵を受けることができません。固定金利の期間を長くした場合に金利が低下しても、返済金額や利息は固定期間が終わるまで変わらないのです。
金利が上昇したら固定期間終了時に金利が上がる
固定金利(固定金利選択型)は、金利が固定されている間は金利が上昇しても影響を受けませんが、固定期間が終了した時点で金利上昇の影響を受けてしまいます。
毎月の返済額や返済総額が確定しない
固定金利(固定金利選択型)は、一定期間金利が固定されますが、固定された期間が終了した場合、再び固定金利を選べますが金利は最初の時から変化することがあります。
最初から全期間が固定金利でない限り、市場などの金利の変動の影響を受けるため、借入の時点で毎月の返済額や返済総額を確定させることができません。最初に固定金利を選んでも、固定期間が終了した時に金利が大きく上昇していたら返済額が大きく増えてしまう可能性があります。
金利の変化が読みづらい
固定金利(固定金利選択型)の固定金利は、市場金利との連動性が高くなっています。市場の金利動向は、景気や物価の動向、投資家の需要動向、日本銀行の金利政策、日本政府の財政政策、株価、為替レート、海外金利などの影響を受けるため、先行きの予測が難しいという側面があります。そのため、政策金利との連動性が高い変動金利よりは、金利の変化を読みづらい部分があります。
変動金利と全期間固定金利の悪いどこ取りになる可能性
固定金利(固定金利選択型)は変動金利と全期間固定金利の中間型のタイプです。金利上昇や金利低下の影響をほどほどに受けるようになっていて、変動金利と全期間固定金利の良いところ取りになればよいのですが、金利は変動金利よりも高く、金利は全期間固定されているわけではないため、中途半端に悪いどころ取りになってしまう可能性があります。
まとめ
- 借入期間の一定期間が固定金利となるタイプの住宅ローンは、一定の期間は金利が固定されるので金利が上昇しても固定されている期間は影響を受けなくて済みます。
- しかし、固定されている期間が終わった時点で、金利上昇を受ける可能性があり、変動金利と全期間固定金利の悪いどこ取りになる可能性があります。