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マイホームの住宅ローン返済金額が「家賃と同じくらい」に潜む罠

記事作成日:2015年7月22日
最終更新日:2022年8月2日

マイホームの住宅ローン返済金額が「家賃と同じくらい」に潜む罠

マンションや戸建てなどの不動産の広告で夢のマイホームが家賃と同じ金額で買えるというような言葉を耳にしたことはありませんか。住宅ローンの返済金額が家賃と同じような金額なので持ち家の方が得だと感じて購入意欲が高くなるかもしれません。しかし、賃貸の家賃と住宅ローンの返済金額が同じといっても、住宅ローン以外に管理・修繕費用や固定資産税が発生する、金利変動リスクがあるなどの罠が潜んでおり、十分な検討を行ってから住宅を購入しないと家計のやりくりが難しくなってしまい、生活が困窮してしまう恐れがあります。

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住宅ローン返済以外に発生する費用の罠

賃貸の場合でも毎月の家賃とは別に共益費などの名目で追加費用負担が発生する場合があります(家賃に含まれる場合もあります)。また、更新の時には更新料などの負担が発生します。住宅を購入した場合も同様に住宅ローンの返済以外に発生する費用があります。代表的なものが固定資産税と修繕費です。マンションを購入した場合は管理費の負担も発生します。

住宅を購入すると毎年固定資産税の負担が発生する

住宅を購入すると、取得時に不動産取得税が発生する場合がありますが、購入後は毎年固定資産税や都市計画税(都市計画区域内の場合)が発生し毎年支払いの負担が発生します。軽減措置の有無や、地域、広さなどにもよりますが、新築で都市部なら10~20万円前後かかる場合があり、家計にとって負担となります。

管理費や修繕費(修繕積立金)の負担が発生する

マンションを購入した場合、マンションの管理用となる管理費や将来の修繕に備えた修繕積立金が発生します。管理費や修繕積立金は通常広さに応じて発生することになり、購入当初は負担額が抑えられていることもありますが、管理費と修繕積立金を合わせて毎月2~3万円程度の負担が発生します。マンションや広さによってはもっと高額の負担となることがあります。年間では20~40万円程度の負担となります。

戸建ての場合は、定期的に管理費や修繕積立金を払う必要があるわけではありませんが、時間が経てば経年劣化や損傷のため修繕を行わなければならない場合が出てくるため、自分で自宅の修繕などの費用を貯めて、自分で修繕を行う必要があります。

自動車を保有すると駐車場代の負担が発生することがある

マンションの場合は通常駐車場を無料で利用する権利は含まれていないため、自動車を保有するとマンションの敷地内か敷地外に駐車場を借りなければいけません。そのため、駐車場代の負担が発生することがあります。

戸建ての場合は自宅の敷地内に駐車場がある物件を選べば駐車場代の追加負担は避けられますが、マンションを購入する場合は駐車場代の負担を計算に入れておく必要があります。

賃貸の時から自動車を保有しているのであれば、駐車場代が特別な追加負担となるという訳ではないかもしれませんが、マンション購入を機に自動車を購入する場合には要注意です。

通常は保険料の負担が発生する

賃貸の場合でも火災保険に加入することがほとんどだと考えられますが、購入の場合も通常は火災保険に加入します。地震保険に加入することも多いです。保険料の負担は加入する保険の内容によって異なってきますが、賃貸と同程度か賃貸以上の保険料の負担が発生することがあります。

住宅購入によって発生する負担の総額を家賃などと比較する

住宅を購入すると住宅ローンの返済だけが発生するわけではなく、固定資産税・都市計画税や管理費、修繕積立金などの負担も発生します。もし家賃と比較するのでれば、賃貸の家賃負担(共益費などを含む)と住宅購入によって発生する支払い負担の総額を比較して考える必要があります。

もし、固定資産税・都市計画税や管理費、修繕積立金などによる追加負担の増額分を見落としてしまうと、家計のやりくりが苦しくなってしまい、生活が困窮してしまう恐れがあります。比較は全ての費用で比べなければいけません。

住宅ローンの金利に潜む罠にも注意

家賃と同じ住宅ローンでは金利についても注意が必要です。最も優遇された一番低い金利で住宅ローンの返済額を計算している場合、選択する住宅ローンや金利の種類によっては実際の返済額が事前の返済額の見積もりとは異なることがあります。また、金利変動リスクも考慮しておかなければいけません。

最も低い金利を使って計算していることが多い

家賃と同じ住宅ローンの返済額とされている場合に気をつけなければいけないのが金利水準です。支払い例において、住宅ローンの借入金利が最も優遇された低い金利を使って計算されている場合があります。場合もよりますが、変動金利か短い年数の固定金利の金利で計算されていることが多いです。

もし、自分が別の金利タイプを選択する予定の場合、借入金利が上がってしまい、家賃並みの返済額ではなくなってしまうかもしれません。金利の条件をよく確認する必要があります。

金利は変動する可能性がある

家賃と同じ住宅ローンの返済額とされていても、借り入れる全期間が固定金利となる場合を除いて金利変動リスクを負うことになります。通常の支払い例では変動金利か短い年数の固定金利が使われていて、金利変動リスクを追うことになっています。

住宅ローンは長い期間借りることになりますが、長い借入期間中に金利が上昇してしまう可能性があります。金利が上昇した場合、当初想定していたよりも返済の負担は増えてしまうことになり、家賃と同額という訳にはいかなくなってしまう恐れがあります。

なお、金利変動リスクを避けるために全期間固定金利を選ぶことも可能ですが、通常固定される期間が長くなれば長くなるほど借入金利は高くなります。そのため、金利変動リスクを避けることができても返済の負担は増えてしまうことになり、家賃と同じ住宅ローンの返済額ではなくなります。

支払い例でボーナス時の増額返済がある場合も

家賃と同じ住宅ローンの返済額と説明している場合に、ボーナス時の増額返済が組み込まれている場合もあるため注意が必要です。家賃と同じ返済額とされていても、ボーナス時に増額で返済があるならば、もはや家賃と同じではないでしょう。家賃の支払いでは普通ボーナス時に家賃を多く払うということはありません。

もし、ボーナス時の増額返済をすることによって、毎月の住宅ローンの返済金額を抑えて見せているのでれば、家賃並みの返済額はまやかしとしか言えません。

仮に家賃並みということが強調されていない場合でも、ボーナス時の増額ありで返済額を計算するのは、負担を低く感じやすくするためにありがちな手法なので、ボーナス時の増額があるかどうかや、もしある場合はボーナス時の増額なしの場合にどうなるかを確認しておくことが大切です。

購入して持家だから得とは限らない

賃貸と購入はどちらが得かということはよく行われる議論ですが、経済的な有利不利を判定するためにはライフスタイルを考慮しなければならず、一概には言えない部分があります。

もちろん、仮定を置いて条件を決めれば賃貸と購入の優劣をつけることができ、土地の広さや建物や設備の質など他の条件が全て同じで、引っ越しを考えないのであれば、賃貸の場合は大家が家賃という形で利益を得る分だけ割高になり、購入する方が得ということになります。ゼロから土地を購入し、建物を立て、住むというサイクルで考えた場合、関わる人が増えるほどその分だけコストが発生するということです。なお、購入の場合は住宅ローンが発生しますが、大家が賃貸住宅を立てる際にもローンを借りて立てると考えると条件は揃います。

ただし一般的には、家賃を支払っても自分の物にはならず、住宅ローンを返済し続ければ自分の物になるから購入の方が得だというように認識されることが多いようです。

条件次第では間違ってはいないのですが、移動の自由度という面では購入は明らかに賃貸に劣ります。長期的に見れば日本の人口は減っていくとみられますが、住んでいる地域によっては住宅需要が低下して、売却などが難しくなることが考えられます。何らかの事情で家を手放したいと思っても財産的価値が大きく減ってしまう可能性もあります。

また、購入して持ち家にするとリフォームや建て替えの負担も考えなければいけません。

そのため、やはり人によって賃貸と購入のどちらが良いかは変わってきます。

まとめ

  • 家賃と同じ住宅ローンの返済金額といっても、固定資産税など他の費用負担が発生するため家賃と同額とはならない場合があるほか、全期間固定以外は金利変動リスクを負うことに注意が必要です。
  • また、返済例では、ボーナス時の増額返済があるため毎月の負担が低くなっている可能性や、自分が選択する予定のない優遇された金利で支払いが計算されている可能性にも注意が必要です。

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【マイホームの住宅ローン返済金額が「家賃と同じくらい」に潜む罠の記事は終わりです】

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