奨学金を借りると卒業後の人生や働き方に影響することも
記事作成日:2017年10月25日
最終更新日:2022年7月8日
奨学金には返済・返還義務がない給付型の奨学金と返済・返還義務がある貸与型の奨学金があります。日本では返済義務がない給付型の奨学金は少なく、多くは貸与型の奨学金で返済義務があります。貸与型の奨学金は大学などを卒様して社会人となり働き始めてから返済していくことになりますが、借金を負って働き始めることで大学などを卒業してからの働き方に影響を与えることになります。
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貸与型奨学金は借金
貸与型の奨学金は、キャッシングやカードローンなどのような普通の借金と同じ借金なので、返済できなければ(合法的な形での)取り立てを受けることになりますし、一括返済を求められることもあります。
返済が遅れれば遅延損害金(延滞金)を余計に支払わなければいけなくなることもあります。信用情報に影響を受け、クレジットカードが作れなくなったり、住宅ローンが借りられなくなったりする可能性もあります。
借りたお金は返さなかければいけないのです。なお、奨学金には、返済(返還)額を減額する制度や、返済(返還)を一定期間猶予してもらう制度など、利用者を保護する制度もありますが、必ず認められるとは限りませんし、基本的にはやむを得ない場合でないと認められません。自分の都合の場合には認められないかもしれません。
借金を抱えて社会人になると人生や働き方に制約を受ける
貸与型の奨学金を借りて大学などを卒業した場合には、社会人になってからの働き方や仕事に制約を受けることがあります。奨学金という借金を返済していくということを前提に働かなければいけないからです。収入が途切れてしまうような人生の決断を躊躇する可能性があるのです。
奨学金の返済のために就職しなければいけない
卒業後、奨学金の返済のために働かなければいけないため、就職活動が思うようにいかなかった場合でも、無理矢理働かなければいけない場合があります。
採用してもらえなければアルバイトやパート、派遣社員、契約社員など非正規労働者としてでも働かなければいけないかもしれません。非正規労働者は一般的に給与水準が低く、雇用も不安定な傾向があります。
大学卒業時の景気状況が偶々悪かった場合、人生設計が大きく狂う可能性があります。
ブラック企業でも安易に辞められない
もし卒業後にブラック企業に就職してしまった場合、借金を抱えていると返済に支障が出ると考えて辞めるのを躊躇してしまうかもしれません。
仮に借金がなかったとしても収入を失うことには抵抗を感じることも多いため、奨学金がなかった場合でもなかなかやめられないかもしれませんが、奨学金という借金があると返済できない恐怖から更に辞められなくなってしまう可能性があります。
無理して働き続けて、心や体の健康を損なってしまう恐れがあります。
転職にも慎重になってしまうかもしれない
ブラック企業でなくても、何らかの理由で転職をしたいと思うことがあるかもしれません。しかし、奨学金という借金があると転職に慎重になってしまって、仕事を辞められなくなり、思い切った決断ができなくなるかもしれません。
もし転職した先が合わなかったらどうしよう、返済できなくなったらどうしようと考えてしまって、人生のチャンスを逃してしまうかもしれません。
給与水準が低い場合家計が苦しくなることも
特に転職を考えるような場合でなくても、就職先の給与水準が低く、奨学金を返済すると家計が苦しいという場合もあります。奨学金の返済に追われてしまって、20代から30代にかけて家計が苦しい状況が続き、自分がやりたいことが思うようにできず、奨学金の返済のためだけの人生の様に感じてしまうことがあるかもしれません。
お金を使うことが制約されてしまうと、人生のチャンスを逃してしまう可能性もあります。
結婚や出産の妨げになる可能性も
奨学金の返済は数年から10数年続くことがあります。大学卒業を22歳とすると20代から30代にかけて返済が続くことになります。しかし、20代から30代という人生の期間は、人の生き方にもよりますが、生涯の伴侶(パートナー)を見つけて結婚・出産を経て家庭をつくる時期でもあります。
しかし、奨学金という借金を抱えていると経済的な不安から結婚や出産で家族を持つことに踏み切れない可能性があります。奨学金が重要なライフイベントである結婚・出産の妨げとなる可能性があるのです。
奨学金を借りるまでに卒業の負担について考える
奨学金を借りてしまうと、大学などの卒業後の20代から30代にかけての人生・働き方に重大な影響を及ぼす可能性があります。社会人なる前の段階の学生の時点では卒業後の自分の姿や家計の収支をイメージするのは極めて困難で、現実的ではないかもしれません。
しかし、奨学金を借りてしまうと、人生や働き方に大きな影響を与えることがあるので、奨学金という借金の怖さを理解しておく必要があるのです
毎月、一定の金額を返していかなければいけないというのは、自分が借りる時に想像した以上にプレッシャーとして重くのしかかり、辛いと感じることがあるのです。
まとめ
- 返済(返還)義務がある奨学金を借りると大学などを卒業した後返さなければいけません。奨学金の返済義務を負うことで人生や働き方に影響を受けることがあります。
- 奨学金の返済義務を負うことで、収入を途切れさせてはいけないという気持ちになり、職を失うことが怖くなることがあります。望まない就職をしなければいけなくなったり、ブラック企業を辞められなくなったり、転職に後ろ向きになったりしてしまう恐れがあります。