親が教育ローンを借りると老後資金が貯まらないことも
記事作成日:2016年4月17日
最終更新日:2022年7月9日
親としては子供が希望する通りに何とか進学させてあげたいものです。しかし、家計が苦しくて余裕がないという場合もあります。教育費は必要な時期や金額が事前に分かるため、なるべく早いうちから準備しておくことが重要ですが、十分にお金が貯まらなかったという場合もあります。親が教育ローンを借りる場合には親自身の老後生活への影響を慎重に検討することが必要です。子どもの教育資金は重要ですが、老後の生活を犠牲にしてしまう恐れがあります。
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教育費がないなら借りるしかない
様々な手段を尽くしても、教育費をどうしても準備できないというような場合には、給付型あるいは貸与型の奨学金に頼るという方法もありますが、親が教育ローンを借りるという選択肢もあります。
奨学金に頼るとしても、給付型の奨学金がもらえる場合には家計への負担という意味では問題がないと思いますが、貸与型の奨学金しかないような場合には、子供が卒業してからの家計負担が大きいという問題があります。
子供の教育費は親と本人(子供)のどちらが負担するか
教育費が足りないから借りるという場合には、子供の教育費は親か本人(子供)のどちらが負担するかという問題になります。子供が負担するなら本人が貸与型の奨学金を受け取り、親が負担するなら親が教育ローンを借りるということになります。
教育ローンを借りないといけないほど苦しいなら
親が教育ローンを借りないと子供の教育資金が捻出できないという場合には、親の家計に余裕がなく、貯金がほとんどないということになります。家計に余裕があるか、貯金がたくさんあるならば、教育ローンを借りなくても教育費は何とかなるためです。つまり、教育ローンを借りるということは、家計が苦しくて貯金がない状況が多いということです。
教育ローンは老後生活の資金に影響
親が教育ローンを借りる場合には親自身の老後生活への影響を慎重に検討することが必要です。親としての責任感から子供の教育費は家計の聖域になりやすく、出来る限り希望を叶えてあげたいという気持ちから、無理をしてでも負担してしまう傾向があります。また、教育ローンを借りることを考える大学などは子供の教育の最終段階になるため、負担はもうこれで最後だからあと少し無理してでも頑張ろう、という気持ちになりやすいです。
しかし、教育ローンを借りなければいけないほど家計の収支がひっ迫しているのであれば、教育ローンを借りると家計が苦しくなり、老後の生活のためのお金に影響が出てきます。かなり若いうちに出産したのでなければ、教育ローンを借りる時点で老後はかなり近づいてきているからです。
教育ローンの元本返済や利息返済で収支が悪化
教育ローンが無利子であればよいのですが、教育ローンは有利子で利息の負担が発生します。教育ローンはもともとローンの中では金利が抑えられていることや、低金利の環境でかなり金利が低くなっていることから、カードローンやキャッシングよりは利息負担は軽くなっていますが、余裕があまりない家計にとっては収支が悪化する原因になります。
老後資金をなかなか貯められない
教育ローンを借りると、教育ローンの元利金の返済負担で家計の収支が悪化して、貯金がなかなかたまらなくなってしまうことがあります。子供が大学を卒業し、経済的に自立してから定年などによって年金生活に移るまでの間は人生の中でも比較的お金を貯めやすい時期です。しかし、子供が卒業した後も教育ローンの返済を続けるのであれば、教育費負担がなくなるお金の貯め時を逃してしまうことになってしまいます。
親が高齢の場合は貯めるチャンスがほとんどない
特に比較的年齢が高い時点で出産をしている場合、教育ローンを完済する時期は、定年の時期までほとんど間がないか、定年の時期を過ぎている場合があります。定年近くまで教育ローンの負担がのしかかってしまうと、思うようにお金を貯めることができなくなってしまう可能性があります。場合によっては定年よりもかなり前の時点で会社での役職や雇用形態が変わって、給与が大きく減少することもあります。
退職金と年金だけでは心許ない
退職金をあてにして教育ローンを一括返済できる場合はまだマシといえるかもしれませんが、退職金や年金以外にほとんど老後の準備ができていないのは心許ないと言わざるを得ません。定年に達して、働くことが難しくなってしまうと、収入を増やす手段が限られてしまいます。
親が教育ローンを借りる時に出来ること
やむを得ず教育ローンを借りるという場合に、出来ることや注意しておきたいことがあります。
子供に国立や公立の大学への進学を優先してもらう
教育ローンを借りる場合には、借りる金額を最小限に抑えることが重要です。入学金や授業料を抑えるために出来る限り国立や公立の大学への進学を優先するようにしましょう。私立の大学は国立や公立の大学よりも入学金や授業料が高い場合が多いためです。特に、医学部の場合には私立の学費は入学から卒業まで数千万円の差が生じることがあるため、できれば国立や公立への進学を優先しましょう。
なるべく低い金利で借りる
教育ローンに限らず、借金を借りなければいけない時の鉄則ですが、一番低い金利で借りるようにしましょう。一番低い金利で借りるためには金融機関を選ぶことが必要ですが、お金が必要になる直前に慌てて教育ローンを借りようとすると、短期間で融資を受けられる金融機関しか選べなくなります。
そのため、教育ローンを借りなければいけない可能性が出てきたら、早めに金融機関の融資の審査を受けることが重要です。金融機関によって審査や融資実行までの期間に大きな差があるので、時間的なゆとりを持つことが重要になります。
間違っても金利負担が高い資金使途が基本的に自由なキャッシングやカードローンで教育費をまかなおうと考えてはいけません。ちゃんと教育ローンを借りれば利息の負担が大幅に抑えられます。
子供と負担を分担する(奨学金を併用)
親としては出来る限り避けたい事かもしれませんが、教育ローンを負担することで老後の生活が苦しくなりそうな場合には、子供と話し合ったうえで、大学などの進学費用について子供と負担を分担することが考えられます。
奨学金と併用する
教育ローンは日本学生支援機構が提供している奨学金と併用可能なものが多いため、奨学金と教育ローンの借入金額を調整することで親と子で負担を分担することができます。事前によく話し合って、いくらを奨学金で準備し、いくらを教育ローンで準備するのか決めておくようにしましょう。
親子リレー返済を利用する
教育ローンの中には、途中まで親が返済を行い、子が途中から返済を引き継ぐ親子リレー返済が利用できる場合があります。例えば、在学中は親が返済を行い、卒業時に子供が返済するように切り替えるといったようなことが考えられます。
子供の返済能力がない間は親が返済し、子供が返済できるようになったら子供が返済するということで、親の老後生活への影響を最小限にとどめ、子供への負担も子供が全額負担する場合よりは若干軽くなります。
親が借りて子供にいくらか負担してもらう
親が教育ローンで全額教育費を負担する代わりに、子供に教育ローンの返済原資や親の生活費として一定金額を援助してもらう方法があります。親が借金返済のリスクは負うことにして、子供が返せるようになったら返してもらうという、出世払いのような形になります。
子供の収入がないあるいはとても低いような場合は、子供がお金を親に渡せない可能性があるというデメリットがありますが、子供の収入の状況に応じて柔軟に対応できるということがメリットです。
まとめ
- 親が教育ローンを借りる場合には親自身の老後生活への影響を慎重に検討することが必要です。
- 教育ローンを借りると、教育ローンの元利金の返済負担で家計の収支が悪化して、貯金がなかなかたまらなくなってしまうことがあります。