預金保険制度、ペイオフと口座管理
記事作成日:2015年5月10日
預金保険制度やペイオフを踏まえた口座管理について説明しています。ペイオフへの対策は預金保険制度で保護される内容を踏まえて、金融機関にお金を分けて預けるということです。ただし、高額の資産がある場合にペイオフ対策をしようとすると、複数の銀行にお金を分けることになるため管理が面倒になってしまいます。
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預金保険制度とは
預金保険制度とは、銀行などの金融機関が破綻した時に、預金者の預金を一定の範囲内で保護する制度です。預金者は、政府などが出資を行っていて金融機関が保険料を支払っている預金保険機構が、保険金を支払うことで保護されます。
ペイオフとは
ペイオフとは金融機関が破綻した場合に、預金者に保険金が支払われることを指しています。ただし、預金が全額ではなく1000万円までしか保護されないことを指す場合もあります。
預金者を保護する制度としては、資金援助方式と保険金支払方式(ペイオフ)があり、資金援助方式は救済する金融機関に預金などを移して救済する金融機関に資金援助を行う方法です。業務が引き継がれるため、混乱を最小限にとどめることができるとされています。一方で保険金支払方式は業務の引継ぎを前提としていないため、最後の手段とされています。
預金保険制度の対象となる金融機関
預金保険制度の保護の対象となる金融機関は銀行、長期信用銀行、信用金庫、信金中央金庫、信用組合、全国信用協同組合連合会、労働金庫、労働金庫連合会、商工組合中央金庫です。
預金保険制度の対象とならない金融機関
一方対象とならないのは、保護の対象となる金融機関の海外支店、政府系の金融機関、外国銀行の日本支店、農林中央金庫、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合連合会、農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合、保険会社、証券会社です。
ただし、農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合等は別の「農水産業協同組合貯金保険制度」、保険会社は「保険契約者保護機構制度」、証券会社は「投資者保護基金制度」という別の保護制度があります。
預金保険制度の対象となるもの
当座預金、普通預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金、定期預金、別段預金、定期積金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託、保護預かり専用商品である金融債などとなっています。
預金保険制度の対象とならないもの
外貨預金、譲渡性預金、オフショア預金、金融債、無記名預金、他人名義預金、架空名義預金、導入預金となっています。
預金保険制度の保護の範囲
預金保険制度で保護される範囲は次のとおりとなっていて、決済用預金は全額、一般預金等は金融機関ごとに預金者1人あたり元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護対象となっています。
種類 | 具体例 | 保護範囲 |
---|---|---|
決済用預金 | 当座預金、利息のない普通預金等 | 全額保護 |
一般預金等 | 普通預金、定期預金など | 金融機関ごとに1人当たり元本1000万円+破綻日までの利息 |
(注)預金保険制度で保護されない部分についても破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われる場合があります。
預金保険制度を踏まえた口座管理方法
金融機関の破綻はそんなにあることではないかと思うかもしれませんが、金融危機が発生すれば数多くの金融機関が近い時期に連鎖的に破綻することもありえます。金融危機は何をきっかけに発生するか分かりません。国内の要因に限らず、海外の要因から国内の金融危機が引き起こされる可能性も否定できません。そのため、預金保険制度の保護の範囲を踏まえて口座の管理を行うことが大切です。
そもそも、特定の金融機関に資産を集中させることは、リスクを分散させる観点から適切ではありません。そのため、預金残高が1000万円を超えるような状況になったら、預金口座を分散させましょう。理想は、各金融機関で1000万円ずつに分散することです。預金保険制度が機能する限り、預金は保護されることになります。