60代の貯金額の平均
記事作成日:2016年1月15日
60代の貯金の平均額や中央値のデータについてです。60代は現役を退き年金生活に入る時期で、貯金はピークとなりますが、60代以降は貯金を取り崩していくことになります。総務省が実施している全国消費実態調査と金融広報中央委員会が実施している家計の金融行動に関する世論調査のデータから60代の貯金について紹介します。
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60代の貯金の平均額と中央値
60代では貯金がピークを迎えますが、60代は人生の大きな転換点になります。2025年4月には65歳までの雇用継続が義務化されますが、現在では60代前半で会社を退職する人が多くなり、年金生活に入ります。65歳まで雇用が継続された場合でも通常は50代後半から60代前半にかけて役員などでない限り給与は大きく減少することがほとんどです。一方で、60代前半にはまとまった金額の退職金を手にする人も多くなります。
60代の貯金の平均額(全国消費実態調査)
世帯種類 | 全世帯 | 1人の世帯 (独身など) | 2人以上の世帯 (夫婦など) | |
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | |||
貯蓄合計 | 1991 | 1611 | 1622 | 2133 |
普通預金 | 395 | 428 | 290 | 414 |
定期預金 | 849 | 493 | 697 | 938 |
生命保険等 | 420 | 288 | 359 | 454 |
株式等 | 210 | 286 | 184 | 205 |
債券等 | 76 | 49 | 73 | 81 |
信託商品 | 21 | 36 | 9 | 21 |
その他 | 19 | 31 | 10 | 20 |
世帯種類 | 全世帯 | 1人の世帯 (独身など) | 2人以上の世帯 (夫婦など) | |
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | |||
預金合計 | 1245 | 922 | 987 | 1352 |
(注)2014年11月末時点の調査です。項目は分かりやすさの観点から、調査の表現から別の表現に言い換えているものがあります。預金での貯金額は普通預金と定期預金を単純に合計したもので当サイトによる計算値です。普通預金には普通貯金を、定期預金には定期貯金等を、株式等は株式投資信託を、債券等は公社債投資信託を含み、信託商品は貸付信託と金銭信託を指しています。四捨五入の関係から各項目の合計と貯蓄合計は一致しない場合があります。
(出典)総務省統計局「平成26年全国消費実態調査」を加工して当サイトが作成
60代の貯蓄額の平均
60代の貯蓄額の平均は、総務省統計局の「平成26年全国消費実態調査」によると全世帯で1,991万円となっています。世帯の種類別にみると、1人の世帯(独身世帯など)の男性で1,611万円、女性で1,622万円となっている一方、2人以上の世帯では2,133万円となっており、2人以上の世帯の方が多くなっています。
60代の預金での貯金額の平均
貯金額として普通預金・普通貯金と定期預金・定期貯金の預金に限った金額の平均額をみると60代の貯金額の平均は全世帯で1,245万円、1人の世帯の男性で922万円、女性で987万円、2人以上の世帯で1,352万円となっていて、2人以上の世帯の金額が多くなっています。
60代の貯蓄額の内訳の特徴
貯蓄の内訳の特徴をみると、預金が多い傾向は他の年代と変わらないのですが、生命保険や株式等の金額が多くなっています。総世帯で見ると、生命保険等と株式半分で貯蓄の約3分の1を占めています。
60代の貯金の平均額と中央値(家計の金融行動に関する世論調査)
世帯種類 | 1人の世帯 | 2人以上の世帯 |
---|---|---|
金融資産 | 1620 | 1664 |
普通預貯金 | 261 | 300 |
定期預貯金 | 452 | 607 |
財形貯蓄 | 10 | 26 |
生命保険 | 168 | 259 |
損害保険 | 8 | 46 |
個人年金保険 | 125 | 117 |
株式 | 234 | 133 |
債券 | 66 | 33 |
投資信託 | 273 | 117 |
信託商品 | 7 | 21 |
その他 | 15 | 5 |
世帯種類 | 1人の世帯 | 2人以上の世帯 |
---|---|---|
預金合計 | 723 | 933 |
世帯種類 | 1人の世帯 | 2人以上の世帯 |
---|---|---|
金融資産中央値 | 495 | 770 |
(注)2015年6月から7月時点の調査です。結果は中央値と記載がないものは全て平均額。普通預貯金は預貯金全体から定期預貯金の控除した当サイトによる推計値です。項目は分かりやすさの観点から、調査の表現から別の表現に言い換えているものがあります。四捨五入の関係から各項目の合計と貯蓄合計は一致しない場合があります。預金での貯金額は普通預貯金と定期預貯金、財形貯蓄を単純に合計したもので当サイトによる計算値です。信託商品は貸付信託と金銭信託を指していて投資信託は含まれていません。
(出典)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成27年調査結果」、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成27年調査結果」を加工して当サイトが作成
60代の金融資産保有額の平均
60代の金融資産の平均は、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成27年調査結果」、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成27年調査結果」によると、1人の世帯で1,620万円、2人以上の世帯で1,664万円とともに1,000万円を超えています。こちらの調査では1人の世帯と2人の世帯で目立った差はありません。
60代の金融資産保有額の中央値
60代の金融資産の保有額をデータの真ん中の値を示す中央値でみると、1人の世帯で495万円、2人以上の世帯で770万円となっています。50代では1人の世帯の中央値は110万円と低かったのですが、60代になると1人の世帯でも500万円近くと大きく増えています。退職金としてまとまったお金が手に入る人が多いことが影響しているとみられます。
60代の預金での貯金額の平均
貯金額として普通預貯金と定期貯金、財形貯蓄の預金だけに限った金額の平均額をみると60代の貯金額の平均は1人世帯(単身世帯)で723万円、2人以上世帯で933万円となっています。
60代の金融資産の内訳の特徴
金融資産の内訳の特徴をみると、預金が中心ですが、生命保険や個人年金保険、株式や投資信託などの他の金融資産の金額も多くなっています。
60代で貯蓄(貯金)や金融資産を持たない比率
60代で貯蓄や金融資産を持っていない世帯の比率についてのデータです。
全国消費実態調査のデータ
世帯種類 | 全世帯 | 1人の世帯 (独身など) | 2人以上の世帯 (夫婦など) | |
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | |||
貯蓄がない | 5.6 | 10.5 | 6.2 | 4.7 |
普通預金がない | 12.1 | 15.3 | 13.3 | 11.4 |
定期預金がない | 24.5 | 46.3 | 25.2 | 21.0 |
生命保険等がない | 38.6 | 57.1 | 44.8 | 34.4 |
有価証券がない | 70.6 | 71.0 | 77.1 | 69.0 |
(注)2014年11月末時点の調査です。項目は分かりやすさの観点から、調査の表現から別の表現に言い換えているものがあります。非保有率は保有率から当サイトが計算した数値です。有価証券は、株式、債券、投資信託、貸付信託、金銭信託が含まれます。
(出典)総務省統計局「平成26年全国消費実態調査」を加工して当サイトが作成
他の世代と同様貯蓄がない世帯は少ない
60代で貯蓄や金融資産を持っていない世帯の比率について、総務省統計局の「平成26年全国消費実態調査」によると、全体で5.6%、1人世帯(単身世帯)の男性で10.5%、女性で6.2%、2人以上世帯で4.7%が貯蓄がない世帯となっていて、他の世代とあまり変わらない比率となっています。
定期預金がないのは4分の1程度
60代で定期預金を持っていないという世帯は全世帯で24.5%と約4分の1となっています。60代になると給与による収入が得づらくなるため、貯金が少ないと今後の生活にかなり不安が残ります。
家計の金融行動に関する世論調査のデータ
世帯種類 | 1人の世帯 | 2人以上の世帯 |
---|---|---|
金融資産非保有率 | 34.9 | 30.1 |
(注)2015年6月から7月時点の調査です。項目は分かりやすさの観点から、調査の表現から別の表現に言い換えているものがあります。
(出典)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成27年調査結果」、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成27年調査結果」
60代で金融資産を持っていない世帯は、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成27年調査結果」、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成27年調査結果」によると、1人の世帯で34.9%、2人以上世帯で30.1%となっています。老後の生活の破綻や困窮が社会問題化しつつありますが、60代以降は家計の面で打てる手段か限られてくるため、非常に辛いデータであると言えます。
全国消費実態調査と家計の金融行動に関する世論調査の貯金データの違いの原因について
全国消費実態調査と家計の金融行動に関する世論調査では、家計の金融行動に関する世論調査の方が平均値が低めで、貯蓄・金融資産を持っていないとする比率が高いという特徴があります。
家計の金融行動に関する世論調査では「貯蓄」ではなく「金融資産」と聞いていること、日常的な出し入れや引き出しに備えている部分を除くとしていること、事業用資産を含まないことなどが影響しているとみられます。
家計の金融行動に関する世論調査では運用や将来に備えた貯金として調査しており、貯金の実感としては近いのではないかと当サイトでは判断しています。
まとめ
- 総務省統計局の「平成26年全国消費実態調査」によると、60代の貯蓄額の平均は全世帯で1,991万円となっています。
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成27年調査結果」、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成27年調査結果」によると、60代の金融資産の平均は1人の世帯で1,620万円、2人以上の世帯で1,664万円となっています。