大学専攻科とは・特徴やメリットとデメリットや注意点
記事作成日:2018年7月16日
大学には4年あるいは6年制の学部のほかに専攻科、別科と呼ばれる課程が設置されている場合があります。大学の専攻科は大学を卒業した人が更に深く学ぶための課程で、主に資格取得を目的としていて、修業年限は1年以上と定められています(実際には1年が多い)。ただし、大学院とは異なるため、大学の専攻科を修了しても修士号が取得できるわけではありません。
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大学専攻科の特徴やメリット
大学専攻科は大学卒業後により深く学ぶために置かれる大学の課程の一種で、実態としては教員免許状や助産師の国家試験受験資格の取得などのために活用されています。修業年数は1年以上と定められていて、大学院修士が2年であることもあってか、大学専攻科は1年の課程が多くなっています。
大学専攻科は大学卒業後の進路の1つ
大学の専攻科は大学卒業後の進路の1つとなっていて、大学卒業相当の人が入学する課程となっています。
大学専攻科は大学学部よりも深く学ぶ
大学の専攻科は大学の学部よりも深く学ぶための課程です。ただし、学問を深める、研究をするという意味では通常は大学の専攻科よりも大学院が進路の選択肢となります。
大学専攻科の修業年限は1年以上
大学専攻科の修業年限は1年以上となっています。修業年限を2年とすると大学院修士課程と同じになってしまうため、1年の課程が多くなっています(2年の課程もあります)。
学校教育法第91条第1項 大学には、専攻科及び別科を置くことができる。
学校教育法第91条第2項 大学の専攻科は、大学を卒業した者又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的とし、その修業年限は、一年以上とする。
(出典)学校教育法より引用
大学専攻科は資格取得が主な目的となっている
大学の専攻科は深く学ぶ場合、研究をする場合は大学院という選択肢があることから、特定の資格を取得することが主な目的となっている傾向があります。
教員の免許状(専修免許状・特別支援学校関係)
大学専攻科で多いのが教員の専修免許状の取得です。特に、特別支援学校に関する教員免許状の取得に関する専攻科が多くあり、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教員資格(普通免許状(通常は1種))を持っている人を対象に特別支援学校教諭1種免許状を取得するコース、特別支援学校教諭1種免許状を持っている人を対象に特別支援学校教諭専修免許状を取得するコースが設置されている場合があります。
また、特別支援学校関係でない場合でも、特定の1種免許状(大学卒業相当)を取得している場合、特定の専修免許状を1年で取得できる課程があります。
助産師・言語聴覚士の国家試験受験資格
大学専攻科では助産師の課程も多くみられます。助産に関する大学の専攻科を修了することで、助産師の国家試験受験資格を得られる場合があります。
また、言語聴覚士の国家試験受験資格に対応した大学の専攻科もあります。
大学専攻科のデメリットや注意点
大学専攻科は基本的に教員免許状や助産師の国家試験受験資格の取得などを目的としていて、さらに深く学びたい場合、研究をしたい場合は大学院進学が選択肢になると考えられます。専攻科の位置づけを理解していないと、進路選択を誤ってしまう場合があります。
大学専攻科を修了しても学位はもらえない
大学専攻科は大学の学部を卒業した人(学士相当)が進学しますが、専攻科を修了したからといって新たに学位が授与されるわけではありません。大学院に進学すれば、修士や博士を取得できる可能性がありますが、専攻科を修了しても、あくまで大学専攻科修了なのです。
そのため、大学専攻科を修了しても修士の学位を取得しているわけではないため、大学院博士後期課程に進学するためには修士の学位以外の入学資格を満たす必要が出てきます。
学歴は大学専攻科修了になる
大学専攻科を修了すると学歴は大学専攻科修了となり、大学院修了などにはなりません。専攻科の位置づけを理解している人であれば、大学の学部卒業よりも専門性があるということを理解できますが、専攻科の認知度は低いため、学部との違いが分かってもらえない場合も多いと考えられます。
大学専攻科の学生数は非常に少ない
大学専攻科に在籍する学生の数は非常に少なくなっていて、文部科学省学校基本調査によると2017年度では専攻科が893人となっています。そのため、卒業後のキャリアなどを考える上で参考となる人の事例が少ないというデメリットがあります。
まとめ
- 大学専攻科は、大学の学部を卒業した人の進路の選択肢の1つで、学部よりも深く学ぶ課程で、主に資格の取得を目的としています。
- 大学専攻科を修了しても、大学院のように修士号を取得できるわけではないことに注意が必要です。