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転職で額面年収が変わっても手取りはあまり変わらないことも

記事作成日:2016年8月15日

転職をする時には額面の給与(年収)が上がる場合もあれば、下がる場合もあります。しかし、転職で額面の給与(年収)が大幅に上がったはずなのに、それほどもらっている実感がない、生活が楽になっていないというような場合があります。また逆に、転職で額面の給与(年収)が下がったはずなのに、それほど下がった実感がない、思ったほど生活が苦しくなっていないという場合もあります。

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転職では額面の年収だけでなく手取りや公的給付の変化も考える

転職を決断する時に、額面の年収がどのように変化するかは重要な判断材料になります。しかし、額面の年収が変わっても、手取りともらえる公的給付の合計額はそれほど変わらない場合があります。収入が変わると所得税や公的な給付の金額が変わってくるからです。

そのため、転職では額面の年収の変化だけでなく、手取りや公的な給付がどう変わるのかまで考慮した方が良い場合が多いです。額面の年収が変化しても、実際には手取りと公的給付の合計額がそれほど変わらないため、収入の面でのメリットやデメリットが実質的になくなってしまうことがあるのです。

所得税の影響で額面の年収よりも手取りの変化は小さくなる場合も

額面の年収が変わっても手取りがあまり変わらなくなってしまうのは所得税が累進課税となっていること、給与所得控除は給与収入に応じて変わることが理由として挙げられます。

所得税の税率は累進課税で所得が多いほど高くなる

額面の給与から差し引かれる税金や社会保険料などのうち、所得税は所得が増えるほど税率が上がる仕組みになっているため、収入の増加で税率がちょうど変化すると、額面が伸びても手取りはそれほど伸びない場合があるのです。

給与所得控除は所得が増えると伸びなくなる

さらに所得税の給与所得を計算する場合に、額面の給与収入から差し引くことができる給与所得控除がありますが、給与が増えるほど給与所得控除が増えなくなっていくため、額面給与のうち課税されてしまう部分が多くなっていきます。そのため、給与が増えるほど所得税が増えやすくなります。

収入が変わると児童手当や子どもの医療費など公的給付も変わる

収入が変わると児童手当や子どもの医療費などの公的な給付の支給内容も変化します。金額が大きいため影響が大きいと考えられるのは、児童手当、子供の医療費、幼稚園の補助金の3つです。

児童手当

所得制限に当てはまるかどうかで支給内容が大きく変わる公的な給付の代表例が児童手当です。児童手当では0歳から3歳未満の場合、所得制限よりも所得が多ければ1人あたりの手当の月額は5,000円ですが、所得制限に引っかからなければ月額は15,000円です。1か月で10,000円の差となり、1年では12万円の差になります。0歳から3歳未満の子どもが2人いれば年間で24万円の差になります。

3歳から小学校終了までは所得制限があると月額5,000円ですが、所得制限がなければ月額10,000円か15,000円で月あたり5,000円か10,000円の差が出ます。中学生の場合は所得制限があると月額5,000円ですが、所得制限がなければ月額10,000円で月あたり5,000円の差になります。

子どもの医療費の助成

子どもの医療費も所得制限に当てはまるかどうかで変わってくる場合があります。マル乳と呼ばれる乳幼児に対する医療費の助成やマル子と呼ばれる小学生や中学生など義務教育就学児に対する医療費の助成は自治体によっては児童手当と同様の所得制限がある場合があります。

所得制限に当てはまるかどうかで実際の負担額で年間10万円以上の差が出る場合もあります。子どもに対する医療費の助成は自治体によって所得制限があったりなかったりするほか、助成対象も中学生までの場合もあれば高校生も含まる場合もあるなど大きく異なっています。住んでいる自治体によっても大きな変化があるので要注意です。

幼稚園に通うための補助金

子どもが幼稚園に通う場合にもらえる補助金も所得の多い少ないによって金額が変わってきます。子どもが幼稚園に通う場合に補助金がもらえる幼稚園の就園奨励事業は市区町村が行う事業で住民税の課税状況によって支給内容が変化しますが、収入が多いともらえる金額は少なくなり、収入が少ないともらえる金額は多くなります。

ちょうど幼稚園に通う年齢のお子さんがいる家庭では年収が変化すると幼稚園に通う補助金が変わるため注意が必要です。

額面の年収が増えた効果がほとんどなくなってしまうことも

額面の年収が50万円増えても、ちょうど所得制限に当てはまらなくなってしまうと、24万円の児童手当を失ってしまうことになり年収アップの効果が半減します。さらに所得税や他の公的給付にも影響すれば、収入アップの効果がほとんどなくなってしまうことがあります。

児童手当や子供の医療費など公的な給付の所得制限に当てはまるかどうかは、社会保険料の不安が発生するかどうかの130万円の壁と似ていますが、家計に大きな影響があるので要注意です。

年収の変化はそれほど気にしないで転職できるかも

やりたいことができる転職先を見つけたけれど、収入がダウンするから迷ってしまうという時でも、手取りと公的給付の合計額で考えてみると額面の収入よりも減少幅が小さくなるので生活への影響が限られる場合があります。

また、転職で額面の年収が大幅にアップした場合でも、所得税が増えることや公的給付が減少することで手取りと公的給付の合計額がほとんど伸びないという場合もあります。特に高収入になると税金や公的給付の影響が大きくなる場合があるので、年収が伸びても実感がなかなかできないことがあります。

まとめ

  • 転職で額面の年収が増えたり減ったりした場合でも、実際の(給与の)手取りと公的給付の合計額はそれほど変化しない場合があります。年収が増えると所得税が増えやすくなる一方で、児童手当など公的な給付は所得制限に引っかかり減少することがあるためです。
  • 転職をするかどうかで年収の条件を判断する場合は、手取りと公的給付の合計額がどのように変わるかまで考えるようにすると、より家計への影響を正確に把握できるようになります。給料がダウンすると思っていた場合でも実は生活にはそれほど大きな影響がないということもあり得ます。

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【転職で額面年収が変わっても手取りはあまり変わらないこともの記事は終わりです】

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