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小中一貫教育・小中一貫校とは何か・メリットとデメリット

記事作成日:2018年5月5日

小中一貫教育・小中一貫校とは何かということと、小中一貫教育・小中一貫校のメリットとデメリットについてです。小中一貫教育とは、小学校と中学校の9年間一貫で行われる体系的・継続的な教育のことで、小中一貫教育を行う学校を小中一貫校といいます。小中一貫教育・小中一貫校の制度上の形態として義務教育学校、併設型の小学校・中学校、連携型の小学校・中学校があります。また制度に基づかない実質的な小中一貫教育・小中一貫校もあります。

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小中一貫教育とは

小中一貫教育とは、小学校(初等教育)と中学校(前期中等教育の期間)の義務教育期間の9年間で行われる一貫した系統的・継続的な教育のことを指します。小学校段階と中学校段階の教員が教育上の目標を共有して教育が実施されること、9年間で系統的・継続的な教育カリキュラムが編成されること、9年間学習環境が安定することなどが特徴です。

小中一貫教育では、学習内容の系統図などを活用した系統的・継続的な教育、小中一貫教科等の設定、小学校・中学校間や学年間での指導内容の入れ替えなどの教育カリキュラムの工夫、6-3制とは異なる学年区分の導入による生徒の発達段階に応じた指導、異学年間での生徒の交流、教員間の緊密な情報交換や相互乗り入れによる指導、小学校での教科担任制の導入などの取組が行われます。

小中連携教育とは

小中一貫教育とは別に小中連携教育という言葉があります。小中連携教育とは、小学校と中学校の教員が相互に情報交換や交流を行うことによって、小学校教育から中学校教育への進学を円滑に行うことを目指す教育上の取り組みのことをいいます。

小中連携教育は、小中一貫教育よりも広い概念で、緩やかな小学校と中学校の連携の取り組みも含まれます。なお、制度上の小中一貫教育のうち、異なる設置者による連携型の小学校・中学校は連携型と名前がついていますが、小中一貫教育と位置付けられています。

小中一貫校とは

小中一貫校とは、小中一貫教育を実施している学校を指します。ただし、私立では事実上小学校から中学校へ内部進学が可能など、緊密な連携が行われている場合があり、小中一貫校と呼ぶ場合があります。この場合、制度上の小中一貫校ではなく、事実上の小中一貫校ということになります。

制度上の小中一貫教育

日本では、以前から中1ギャップ解消などを目指して小中連携教育・小中一貫教育の推進が行われてきましたが、2016年4月から小中一貫教育として義務教育学校が制度化されました。また、2016年4月から同一の設置者による併設型の小学校・中学校、異なる設置者間による連携型の小学校・中学校における教育課程の基準の特例が施行されることになりました。

そのため、制度上の小中一貫教育の実施形態には、義務教育学校、同一の設置者による併設型の小学校・中学校、異なる設置者間による連携型の小学校・中学校の3つがあることになります。

  • 義務教育学校(小学校と中学校を1つの学校に)
  • 併設型の小学校・中学校(同一設置者の学校)
  • 連携型の小学校・中学校(別の設置者の学校)

なお施設の形態に関しては、義務教育学校、同一の設置者による併設型の小学校・中学校、異なる設置者間による連携型のいずれにおいても、同じ施設の施設一体型、施設が隣接している施設隣接型、施設が離れている施設分離型いずれも可能となっています。

義務教育学校

義務教育学校は、初等教育の小学校と前期中等教育の中学校を同じ1つ学校としたものです。義務教育期間9年間の教育を実施する学校なので義務教育学校と名づけられました。小学校に相当する前半6年間を前期課程、中学校に相当する後半3年間を後期課程といい、前期課程を修了すると小学校を卒業したことになります。

義務教育学校では、小中一貫教育のための独自教科(小中一貫教科)等を追加したり、小中一貫教科等により他の各教科等の代替をしたり、小中一貫教科等の授業時数で他の各教科等の授業時数を代替したりすることが可能です。

また、小学校段階・中学校段階の各教科等の内容のうち相互に関連するものを入れ替えたり、小学校段階・中学校段階のそれぞれの指導内容を中学校段階に後送り・小学校段階に前倒しによる移行をしたり、学年間の指導内容の後送り・前倒しによる移行を行ったりすることもできます。

公立の義務教育学校は通常の公立の小学校と同じように義務教育の就学指定の対象となるため、入学者の選抜を行わないこととなっています。国立や私立の義務教育学校はこの限りではありません。

併設型の小学校・中学校

併設型の小学校・中学校は、同じ設置者による小学校と中学校が同じ学校にならないで別々の学校のまま小中一貫教育を行うものです。

併設型の小学校・中学校では、小中一貫教育のための独自教科(小中一貫教科)等を追加したり、小中一貫教科等により他の各教科等の代替をしたり、小中一貫教科等の授業時数で他の各教科等の授業時数を代替したりすることが可能です。

また、小学校・中学校の各教科等の内容のうち相互に関連するものを入れ替えたり、小学校・中学校のそれぞれの指導内容を中学校に後送り・小学校に前倒しによる移行をしたり、学年間の指導内容の後送り・前倒しによる移行を行ったりすることもできます。

併設型の小学校から同じ併設型の中学校への進学においては、希望すれば基本的に進学することができます(エスカレーター式、エレベーター式)。ただし小学校と中学校は別の学校なので、基本的に外部からの生徒の受け入れを行います。

公立(市区町村立)の併設型小学校・中学校は、通常の公立の小学校と同じように義務教育の就学指定の対象となるため、入学者の選抜を行わないこととなっています。

連携型の小学校・中学校

連携型の小学校・中学校は、小学校と中学校の設置者が異なる場合に、設置者が異なるまま小中一貫教育を行うものです。特に公立の小学校と中学校の場合に設置した市区町村が異なる場合でも小中一貫教育が実施できるように配慮されて制度化されたものです。

連携型の小学校・中学校は義務教育学校や併設型の小学校・中学校よりも緩やかな小中一貫教育と位置付けられますす。

連携型の小学校・中学校では小学校と中学校の教科の入れ替えや指導内容の学校段階間や学年段階間での移行はできませんが、小中一貫教育のための独自教科(小中一貫教科)等を追加したり、小中一貫教科等により他の各教科等の代替をしたり、小中一貫教科等の授業時数で他の各教科等の授業時数を代替したりすることが可能です。

公立(市区町村立)の連携型小学校・中学校は、通常の公立の小学校と同じように義務教育の就学指定の対象となるため、入学者の選抜を行わないこととなっています。

事実上・実質的な小中一貫教育・小中一貫校

日本では小中一貫教育として義務教育学校などが制度化される以前から小中連携教育、小中一貫教育に関する取組が進められてきました。私立の学校を中心に、小学校から中学校への無試験あるいは通常の選抜よりも緩やかな選好による内部進学、小学校と中学校間における教育理念の共有、小学校と中学校の先生や生徒の交流などが行われています。

そのため、制度上の小中一貫教育・小中一貫校(義務教育学校、併設型小学校・中学校、連携型小学校・中学校)だけではなく事実上・実質的な小中一貫教育・小中一貫校が存在することになります。

事実上・実質的な小中一貫教育を行う小中一貫校では教育課程の基準の特例などは活用できませんが、小学校と中学校が緊密に連携し、一貫的な教育が行われていることがあります。特に内部進学制度があり、小学校と中学校間の教育上の連携が図られている場合には、事実上・実質的に小中一貫教育・小中一貫校であると考えられます。

小中一貫教育・小中一貫校のメリット

小中一貫教育・小中一貫校のメリットとして、小学校から中学校への円滑な移行ができない中1の壁の解消、9年間の系統的な教育、異学年交流による精神的な発達などが挙げられます。

中1の壁・小中ギャップの緩和・解消

小学校と中学校では学習環境、生活環境、人間関係などが大きく変化するため、変化に対応しきれない中1の壁、小中ギャップという問題があります。

小中一貫教育によって、小学校教育から中学校教育への円滑な移行を促すことによって、小学校と中学校の段差が少なくなり、中1の壁や小中ギャップと呼ばれる問題が緩和・解消する効果が期待されます。

系統性・連続性を意識した教育

小中一貫教育では系統的・継続的な学習によって教育効果が高まることが期待されます。

小中一貫教育では、小学校と中学校で学ぶ内容の系統性や連続性に配慮して教育カリキュラムを作成したり、指導を行ったりすることが可能となり理解度の向上が期待できます。具体的には、9年間で学ぶ内容の系統図を作成して生徒指導に役立てる取り組みなどが実施されています。

その他にも、教科内や教科間の学習内容の関連性を意識して指導順序や指導内容を工夫する、理解が難しいや生徒がつまづき易い内容は後の学年でも繰り返し指導をする、後の学年でつまづき易い内容は前の学年で時間を割いて重点的に丁寧な指導をするなどの工夫が可能となります。

異学年交流による精神的な発達

小学1年生から中学3年生(義務教育学校では9年生)が異学年交流を行うことによって、上級生から下級生に対する思いやりの心、上級生・下級生の規範意識、下級生から上級生に対する憧れの気持ちなどの醸成が期待されます。異学年交流によって精神的な発達が促進されたり、社会性が養われたりするのです。

継続的な生徒に対する指導

小中一貫教育では9年間継続して生徒に対する指導が行われます。そのため教員間で生徒の情報を共有しやすく、生徒指導を効果的に行うことができるようになります。

小中一貫教育・小中一貫校のデメリット

小中一貫教育・小中一貫校のデメリットとして、中高一貫教育との整合性が取れない、小学校高学年でリーダーシップや自主性が養われなくなる、人間関係が固定化しやすいなどが挙げられます。

実態として中高一貫教育・中高一貫校の方が重要となっている

小中一貫教育は中高一貫教育と整合性が取れないため、どちらかを選ぶことになります。一方、日本では進学実績などを踏まえると、中学受験が盛んな地域では中高一貫教育・中高一貫校の方が重要であると考えられます。そのため、中高一貫教育が盛んな地域では、小中一貫教育・小中一貫校の存在意義自体が位置付けづらいと考えられます。

中学受験で外部に出るのは特殊な事例となる

義務教育学校、併設型の小学校・中学校、連携型の小学校・中学校でも途中の転出入は可能で、中学受験をすること自体は可能です。しかし、基本的にそのまま後期課程(義務教育学校の場合)や中学校に進学することが想定されるため、周りの生徒との関係が難しくなってしまう場合があります。

高校受験が必要となる場合がある

公立の小中一貫校の場合は高等学校とは一貫していないため、高校受験が必要となります。小中高一貫教育・小中高一貫校となっていない場合は高校受験が必要となるため、中高一貫教育・中高一貫校との比較にならざるを得ず、中高一貫教育・中高一貫校を選んだほうが良い場合もあります。

選抜がない場合には学力差が生じやすい

公立の小中一貫校(義務教育学校、併設型・連携型の小学校・中学校)では義務教育の就学指定の対象となり、入学者選抜が行われないため、生徒の学力の水準にばらつきが生じやすく、9年間で学力の差が拡大していった場合には、習熟度・理解度に応じた丁寧な指導が行われないと教育効果が薄くなる可能性があります。

中学校の目新しさが失われてしまう

義務教育学校や併設型の小学校・中学校で小学校と中学校の物理的な距離が近く交流も盛んな場合は、中学校の目新しさが失われてしまう可能性があります。

中1ギャップや小中ギャップは小学校と中学校に段差があることが原因であるため逆説的になってしまいますが、小学校と中学校の段差がなくなりすぎると新鮮さがなくなり、学習意欲などを駆り立てることが難しくなる場合もあるのです。

小1と中3は差がありすぎる

義務教育学校などでは小学1年生(1年生)から中学3年生(9年生)に相当する生徒が在籍しますが、異学年交流や学年の縦割り活動などを行う場合、小1と中3では発達段階に差があり過ぎて同じ活動をするためには相当な配慮が必要となる可能性があります。

小1と中3でなくても小学校中学年・高学年と中学生の間でも問題となることがあります。心身の発達に差があり過ぎるのです。

中学生の悪い影響を受ける可能性に配慮が必要

一般的に中学生の段階になると、精神的に発達し、思春期・第二次反抗期に当たるため、不登校やいじめ、暴力事件などの問題が増えやすい時期となります。そのため、中学生の行動や振る舞いが小学生の心身の発達に悪影響を及ぼす可能性にも配慮しなければいけません。

学年数が増えて施設利用の調整が必要に

同じ施設で小中一貫教育を実施する場合には、学年数が中学校の3年あるいは小学校の6年から9年になり学級数が増加します。そのため、学校の体育館、運動場、プールなど1つしかない施設・設備を利用する場合には、スケジュールの調整が難しくなってしまう場合があります。

小学校卒業の達成感がない・薄れる

義務教育学校の場合には小学校と中学校が1つの学校になるため、小学校を卒業するということがなくなります。前期課程修了になるため修了式を行う場合がありますが、卒業式と比べると達成感はなくなります。

併設型の小学校・中学校の場合でも、小学校と中学校の距離感が近い場合、小学校卒業という実感が湧きづらい・薄れる場合があります。

小学校高学年のリーダーシップや自主性が養われない

小中一貫教育では学年段階の区切りや施設の距離感などによっても異なりますが、最高学年が中学3年生(義務教育学校では9年生)となり、小学6年生は最高学年ではなくなります。

学校組織の中で高学年になると、学校生活や学校行事などで高学年の自覚・自主性、リーダーシップが養われますが、小中一貫教育では高学年となる機会が1回少なくなるのです。

同様の問題は中高一貫教育でも生じえますが、年齢が低い段階で最高学年になるかどうかという部分が異なっていて、小中一貫教育の方がより悩ましい問題であると考えられます。

人間関係が9年間固定化しやすい

小中一貫教育では外部からの生徒の受け入れはあるにしても、9年間同じ学校で生活を送ることになります。小中一貫教育ではない公立の小学校・中学校でも同じですが、生徒の出入りは通常の小学校から中学校の方が多いと言えます。

9年間同じ学校で生活を送ると、人間関係が固定しやすく、一度仲間はずれになる、一度からかいの対象となるとずっと続いてしまう可能性があり、立ち直るチャンスが得られないことがあります。

他の学校に移るときに苦労する

小中一貫教育は、通常の小学校や中学校とは異なるカリキュラムが組まれている場合があります。小中一貫教育をしている学校の方が授業進度が早い場合も想定されますが、学習進度が遅れている、学んでいない内容があるなどの理由で移った先の学校で授業についていくのに苦労してしまう場合があります。

学校が巨大化し目が届きづらくなる恐れ

小中一貫教育で施設形態をどうするかなどによって変わってきますが、学年数・学級数が増加して巨大化すると、細部まで目が届きにくくなって、重大な問題に気付くのが遅れてしまう場合があります。

学校統廃合に利用される恐れがある

少子高齢化で子どもの数が減る中で、小中一貫教育の制度が学校の統廃合に事実上利用されてしまう可能性があります。小中一貫教育・小中一貫教育は中1ギャップ・小中ギャップの解消などを目的としていて、学校の統廃合や予算の削減を目的としたものではありませんが、時間が経過して制度の本来の趣旨とは異なる利用がなされる恐れがあります。

まとめ

  • 小中一貫教育とは、小学校と中学校の義務教育期間9年間一貫で行われる系統的・継続的な教育のことをいい、小中一貫教育を行う学校を小中一貫校といいます。小中一貫教育・小中一貫校の制度上の形態としては、義務教育学校、併設型の小学校・中学校、連携型の小学校・中学校があります。
  • 小中一貫教育・小中一貫校のメリットとして、中1の壁の解消、9年間の系統的な教育などが挙げられます。一方でデメリットとして、中高一貫教育との整合性が取れない、小学校高学年でリーダーシップが養われづらくなる、人間関係が固定化しやすいなどが挙げられます。

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【小中一貫教育・小中一貫校とは何か・メリットとデメリットの記事は終わりです】

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