幼稚園受験と小学校受験の違いとどちらを選ぶかについて
記事作成日:2018年7月16日
幼稚園受験(こども園受験)と小学校受験の違いと、幼稚園受験(こども園受験)と小学校受験のどちらを選ぶべきなのかということについてです。国立や私立の小学校に入学を検討している場合、小学校に内部進学が可能な系列の幼稚園・こども園があるのであれば、幼稚園受験・こども園受験を積極的に検討すべきだと考えられます。
なお、ここでいうこども園受験とは保育の必要性に応じて地方自治体によって入園が決まる場合ではなく、園によって選考(選抜)が行われる場合を意味しています。
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幼稚園受験(こども園受験)と小学校受験の違い
幼稚園受験・こども園受験と小学校受験を比較すると次のようになります。
区分 | 幼稚園受験 (こども園受験) | 小学校受験 |
---|---|---|
通学・通園範囲 | 狭い傾向 | やや広い |
挑戦回数 | 幼と小の2回 | 小学校1回 |
親の影響 | 大きい | やや小さい |
受験対策 | 難しい | 行いやすい |
内部進学 | あり | なし |
幼稚園生活 | 気を遣う | 失敗しても大丈夫 |
不合格の影響 | 小さい | 大きい |
幼稚園受験(こども園受験)の特徴
幼稚園受験・こども園受験の特徴についてです。主に小学校受験との比較を中心に説明しています。
通園範囲は基本的に狭い
幼稚園・こども園の場合、小学校と比べると通園可能な地域が狭くなる傾向があります。園バスが充実している場合は別ですが、子どもの体力に限界があること、病気や災害など緊急時の引き渡しが困難となる場合があることなどから、幼稚園・こども園の段階から遠距離の園に通うということはあまり一般的ではありません。
そのため、近隣地域に希望する幼稚園・こども園がない場合は受験自体が難しいこともあります。園側も遠方からの通園は断る場合があります。
幼稚園と小学校で2回受験できる
系列の小学校への内部進学による入学を見据えている場合、幼稚園受験から始めれば、幼稚園受験と小学校受験の2回挑戦することが可能です。もし幼稚園受験で上手くいかなくても、小学校受験の段階で再挑戦できるのです。
系列の小学校への内部進学を前提としている場合には、小学校ではなく、幼稚園の段階から入園に挑戦した方が最終的に小学校に入学できる可能性を高めることができるのです。
幼稚園受験は親の影響が大きい
幼稚園・こども園の受験では、子どもよりも親の影響が大きくなることがあります。幼稚園やこども園に入園する段階では子どもはまだ十分に成長しているとはいいがたく、これから成長をしていくため、個性や能力の見極めが難しい部分があります。
一方で親の人となりや教育方針によって子どもが受ける影響も大きいため、幼稚園受験では親を見極めようとする傾向があるのです。そのため、子どもだけでなく、親の様子も入園の判断材料となるため、幼稚園受験の場合は親の努力で対応できる部分が大きくなるのです。
子どもへの受験対策が難しい
幼稚園・こども園の受験をするような時点では、子どもはまだかなり小さいため、受験対策が非常にやりづらい部分があります。小学校に入学する時期が近くなる年中後半から年長であれば、子どもは言葉をある程度使いこなせるようになりますし、親や先生が話している内容を正確に理解できるようになり、受験対策もしやすいと言えます。また、ペーパー対策はやるべきことが分かりやすいです。
しかし、幼稚園・こども園の受験の場合は、子どもの特性をしっかりと理解した上で対策をしなければいけないため、親では対応が難しく、専門の塾などに頼らなければいけない部分が大きくなることがあります。
系列の小学校に内部進学できない場合がある
系列の小学校への内部進学を目指して幼稚園やこども園から入園する場合に気をつけなければいけないのは、内部進学の状況がどうなっているかということです。学校の方針次第ですが、幼稚園やこども園から系列の小学校に内部進学がしやすい場合と、内部進学と外部からの受験がほとんど同じ条件の場合があります。
系列の小学校に内部進学することを検討している場合には、内部進学ができないと子どもの進路を変更しなければいけなくなります。内部進学ができないと分かる時点が早ければ別の学校に進学できる可能性もありますが、ぎりぎりまで分からない場合には、他の学校の受験対策をしておかないと、内部進学不可となった時点では手遅れになってしまうこともあるのです。
内部進学を考える場合は幼稚園の生活に気を遣う
系列の小学校に内部進学を考えている場合には、子どもの園での生活態度、親の園に対する接し方なども内部進学の可否の判断材料となってきます。
そのため、親も子も幼稚園やこども園での生活や態度に気をつけなければならず、園の行事やPTAなどへの協力等も積極的に行わなければいけません。また、園に不満がある場合や、改善を申し入れたい場合でも、言葉を飲み込んで我慢しなければいけなくなることがあります。
幼稚園やこども園での生活に気を遣わなければいけなくなってしまうことが精神的に負担となることがあるのです。
幼稚園受験は失敗しても子どもは傷つきづらい
幼稚園受験の場合には、子どもへの接し方にもよりますが、受験という概念を子どもが十分に理解できていないため、合格や不合格ということがあまりよく分かっておらず、子どもが傷つきづらいと言えます。
そのため、幼稚園やこども園の受験の場合には上手くいかなかった場合でも子どもへの影響を少なくすることができるのです。
小学校受験の特徴
小学校受験の特徴についてです。主に幼稚園・こども園受験との比較を中心に説明しています。
小学校の通学可能範囲は幼稚園やこども園よりも広い傾向
小学校の通学可能範囲は幼稚園やこども園よりも広くなる傾向があります。子どもに体力がついてくること、子どもが電車やバスなどを利用して自力で通学できるようになること、幼稚園やこども園の時ほど親への緊急の引き渡しが想定されなくなることなどから、多少遠方からの児童も受け入れるようになるためです。
小学校受験の1回しかチャンスがない
希望する小学校に入学するチャンスは小学校受験の場合1回しかありません。もちろん、複数回選考をする場合もありますが、幼稚園受験と小学校受験の2回のうち1回という意味です。
幼稚園やこども園から小学校に内部進学が可能な場合には、幼稚園やこども園から受験すれば、幼稚園・こども園の受験と小学校受験で2回受験のチャンスがあるのです。
子どもが評価の中心となる
小学校受験の場合には、子どもがある程度成長しているため、幼稚園受験の場合と異なり親ではなく子が評価の中心となります。親はほとんど評価対象とならない場合もあります。
そのため、親が直接的に受験結果を左右することは少なく、子どもの頑張りが受験結果を左右することになります。
努力が結果に反映されやすくなる
小学校受験の場合には、受験対策の努力がそのまま成果に結びつきやすくなります。近年の小学校受験では行動観察などペーパーテスト以外の要素も重視されるようになっていますが、ペーパーテストの結果も依然として重要です。小学校は勉強をする場所になるため、ペーパーテストによって測定可能な能力は評価の要素として重要なのです。
ペーパーテストは、どれだけ事前にしっかりと学んだか、対策をしたかが反映されやすいため、努力が実を結びやすいと言えます。
内部進学を気にして幼稚園生活で気を遣う必要がない
小学校から受験をする場合には、基本的に幼稚園からの内部進学ではなく、外部からの受験ということになります。そのため、幼稚園やこども園から小学校に内部進学するために園生活で過度に気を遣う必要はなく、幼稚園やこども園でのびのびと振る舞うことができるのです。
内部進学を考えている場合には、園から悪く思われないために細心の注意が必要となりますが、外部受験の場合には過度に気にする必要はなくなります。もちろん、園から推薦を受けなければいけない場合もあるため、悪いふるまいは厳禁ですが、そこまで神経質にならなくて済むということです。
小学校受験は失敗を子どもが理解してしまう
小学校受験の場合、親の説明の仕方や接し方にもよりますが、上手くいかなかった場合に子どもが影響を受けてしまう場合があります。小学校受験に失敗したことは子どもも理解できる年齢になっていますし、この学校に通うためにしっかりと勉強しようというように子どもを動機付けしていた場合、失敗すると影響が大きくなってしまい、小学校生活への意欲が交代してしまうこともあります。
受験に失敗した時のことはあまり考えたくないことですが、もし上手くいかなかった場合には子どもに対するケアが重要となるのです。親が失望したり、がっかりしている場合ではなくなるのです。
幼稚園受験と小学校受験どちらをすべき?
国立や私立の小学校を希望していて、小学校に内部進学可能な系列の幼稚園(こども園)があるなら幼稚園受験を検討した方が良いでしょう。理由は次の通りです。
系列の幼稚園にいれば小学校の情報は自然と入ってくる
系列の幼稚園やこども園にいれば小学校の情報は自然と入ってくるものです。在園児の中には兄や姉がいて小学校に通っているという場合も多く、ママ友のつながりなどを通じて小学校の情報が入ってきます。
また、幼稚園やこども園での教育・保育の状況を見てその系列の学校が合っているのかを判断するヒントが得られることもあります。同じ系列の小学校と幼稚園・こども園であれば、ある程度は教育方針に共通性が出てくるためです。
合わないなと感じたら小学校の時点で進路変更できる
私立の小学校に通うための費用はかなりの負担になるため、どの小学校に進学するのかはできる限り慎重に考えた方が良いです。系列の幼稚園やこども園に在園することで小学校の情報が入ってくるため、系列の小学校に進学すべきか判断材料が増えます。
そして、幼稚園受験であれば内部進学が可能な小学校が合わないなと感じた場合に、小学校に進学する時点で別の国立・私立の小学校を受験したり、公立小学校に進路を変更することも可能なのです。
内部進学は外部から受験するよりも有利な場合がある
内部進学は外部から受験するよりも有利な場合があります。学校グループの方針にもよるため一概には言えませんが、内部進学は希望すればほぼ通る場合、外部受験よりも有利な条件で選好が行われる場合があります。そのため、希望する小学校があって、系列の幼稚園やこども園がある場合は、幼稚園から入園した方が希望する小学校に進学しやすいことがあるのです。
もし、内部進学が外部からの受験よりも不利なのであれば、小学校が幼稚園やこども園で育った子は受け入れたくないという意思を示していることに他ならず、系列の幼稚園やこども園での教育を自己否定していることになりかねません。そのため、通常は内部進学は外部進学と同等の条件かやや有利な条件となることが多いのです。
もし幼稚園受験が上手くいかなくても小学校受験で再挑戦できる
幼稚園やこども園の受験をして万が一縁がなく不合格となった場合でも、小学校受験で再挑戦することが可能です。幼稚園・こども園で入園を許可されなかったから小学校でも無理だろうと思うかもしれませんが、幼稚園・こども園の3年間があれば子どもも成長するため、同じ不合格という結果になるとは限りません。
幼稚園受験から挑戦すれば、幼稚園受験と小学校受験で2回希望する学校に挑戦することができるのです。
まとめ
- 小学校受験を検討している場合で、内部進学が可能な系列の幼稚園やこども園がある場合、幼稚園受験・こども園受験によって子どもが希望の小学校に入学する可能性を高めることができます。
- ただし、内部進学がどの程度容易なのか、難しいのかについて情報を集めておくことが必要ですし、内部進学を考える場合には園での生活態度などにも気を遣う必要があります。