学歴は必要?学歴の大事さ・重要さと就職の関係・学歴フィルター
記事作成日:2018年3月29日
学歴は必要なのかどうかについてです。仕事、特に就職をする時点では学歴はとても重要で大事です。学歴以外の判断要素が少ないため、必然的に学歴が重要な採用の判断材料になりやすいためです。採用側からすると大学名などによる学歴フィルターで選抜が行われることがありますが、候補者を判断する材料の1つとして学歴は重要なのです。もちろん、学歴は就職だけでなく、恋愛や友人付き合いなどの人間関係にも影響がありますが、ここでは学歴と就職の関係を中心に説明しています。
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学歴とは・学歴の意味
学歴とは学び(学業)の履歴という意味です。学歴は、最終的に卒業あるいは中途退学等した教育機関で示すか(○○大学○○学部卒業)、過去に卒業した教育機関の履歴で示されます(○○高等学校卒業、○○大学○○学部卒業)。日本で履歴書で学歴を記載する場合は、高等学校以降に入学・卒業(修了)した教育機関を全て記載するのが一般的です。
3つの学歴の種類
学歴には、大きく分けて教育水準(レベル)による学歴、大学名・学校名による学歴、学部・学科による学歴の3つの学歴があります。
教育水準(レベル)による学歴とは、卒業した学校の教育水準(レベル)の高さの違いによる学歴です。例えば、最後の学歴(最終学歴)が中学卒業なのか、高等学校卒業なのか、短期大学卒業なのか、大学卒業なのか、大学院修了なのかといった違いです。
大学名・学校名による学歴は、同じ教育水準(レベル)の中で、大学名・学校名の違いによる学歴です。同じ大学卒業であっても、有力とされる大学を卒業した人と、名が通っていない大学を卒業した人では周りに与える印象が変わってきます。
学部・学科による学歴は、同じ大学・学校の中でも、どのような学部・学科を出たのかということによる違いです。専門分野の違いと考えることもできます。同じ大学でも、学部によって入学するための難易度が違う場合があり、難関とされる学部ほど周りに与える印象が良くなる場合があります。
- 教育水準(レベル)による学歴
- 大学名・学校名による学歴
- 学部・学科による学歴
教育水準(レベル)による学歴と就職・出世
教育水準(レベル)による学歴と就職・出世との関係です。高卒なのか、大卒なのか、院卒なのかということと就職や出世との関係性についてです。
教育水準(レベル)による学歴の種類
国際標準教育分類(ISCED 2011)を参考にすると日本の教育水準(レベル)による学歴の種類は次のようになります。
ISCEDのレベル | 学歴の種類 | 日本の学校・課程等 |
---|---|---|
0 | 幼児教育 | 幼稚園・保育園・認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地域裁量型) |
1 | 初等教育 | 小学校・義務教育学校(前期課程)・特別支援学校小学部 |
2 | 前期中等教育 | 中学校・義務教育学校(後期課程)・中等教育学校(前期課程)・特別支援学校中学部 |
3 | 後期中等教育 | 高等学校(本科・別科)・中等教育学校(後期課程)・高等学校別科・専修学校高等課程(高等専修学校)・高等専門学校(1~3年、高専)・特別支援学校高等部(本科・別科) |
4 | 中等教育後非高等教育 | 高等学校専攻科(看護・水産など)・短期大学別科・大学学部別科(留学生別科など)・特別支援学校高等部専攻科 |
5 | 短期高等教育 | 短期大学(本科・専攻科)・高等専門学校(4~5年・専攻科、高専)・専修学校専門課程(専門学校) |
6 | 学士号・学士号同等 | 大学(学部・専攻科(4年制の学部))・短期大学専攻科(特例適用)・高等専門学校専攻科(特例適用) |
7 | 修士号・修士号同等 | 大学院修士課程(博士課程前期)・大学(医学・歯学・獣医学・薬学の6年制の学部) |
8 | 博士号・博士号同等 | 大学院博士課程(博士課程後期) |
(注)専修学校一般課程(受験・補習など)や各種学校(予備校、自動車学校など)はISCED2011では他に分類されないものとなり上記レベルには該当しません。
(出典)学校教育法及びISCED Mappingsを参考にfromportal.comの担当者が作成
教育水準(レベル)別の学歴の割合
総務省統計局の就業構造基本調査(2012年)を基に、同年代で教育水準(レベル)別の学歴の割合を比較すると、大学院博士課程修了後の年齢階級となる30~34歳では高校卒業が4割弱と最も多く、続いて大学卒業が3割程度となっています。短大・高専卒と専門学校卒はともに1割強となっていて、大学院卒と中学卒は5%程度となっています。
(注)小学校・中学校についてはまとめて中学としました。専門学校は修業年限が2年以上4年未満で、1年以上2年未満は高校に、4年以上は大学に含まれます。
(出典)総務省統計局の就業構造基本調査(2012年)を基にfromportal.comの担当者が作成
教育水準(レベル)による学歴と出世・賃金
一般的に教育水準(レベル)が高いほど、人材としての質が高いと評価される傾向があり、待遇(給与・給料・賃金・年収)が良くなる傾向があります。厚生労働省の平成28年賃金構造基本統計調査では学歴別・年齢別の賃金が調査されていますが、賃金の水準は高い順に大学・大学院卒→高専・短大卒→高校卒→中学卒となっています。
(出典)厚生労働省の平成28年賃金構造基本統計調査を基にfromportal.comの担当者が作成
大学や大学院の学歴が賃金(収入)と結びつく理由
大学や大学院を卒業・修了したという学歴が賃金(収入)に結びつく理由としては、大学や大学院で学んだ分だけ仕事に関する知識・技能・能力が向上したという側面(人的資本の蓄積)と、大学や大学院に入学することで大学や大学院に入学するだけの能力があることを示したという側面(シグナリング効果)があります。
もちろん、学歴がない場合でも仕事で成果を上げれば高い賃金(収入)を得られることもありますが、大学などに進学することで有利になる部分があるのです。
大学や大学院で学ぶ内容(高等専門教育)と仕事の関係
大学や大学院などの高等教育機関で学んだことが直接的あるいは間接的に仕事に役に立つ場合もあります。高度な仕事、専門的な仕事、技術的な仕事などでは、大学あるいは大学院などの高等教育機関で学んだ知識や得た経験が仕事をする上で役に立つ場合があります。
ただし、大学や大学院で学ぶことの中には仕事とは直接関係がないこともありますし、就く仕事によっては大学や大学院で学んだことが全く役に立たないような場合もあります。専門的な知識や技能をほとんど必要としないような仕事、誰でもできるような仕事に就く場合には、仕事で求められる学歴と自分が得た学歴が釣り合わないことがあります(オーバーエデュケーション)。
オーバーエデュケーションとは
オーバーエデュケーションとは直接的な意味は教育が超えてしまうということですが、仕事で必要とされる教育水準(学歴)よりも自らの教育水準(学歴)が高く、過剰な教育になっているという意味になります。
自分が学び過ぎたと捉えることもできますし、世の中に高い学歴に見合った仕事があまりないと捉えることもできます。学歴を高める場合、特に大学院に進んで修士課程や博士課程に進む場合には大学院で学ぶ専門的な知識を活かすような仕事があるのか、専門的な知識を活かすことができる仕事に就きたいのかよく考える必要があります。
なお、世の中には大学を出ていなくてもできる仕事はたくさんありますが、大学に進学することは一般的になりつつあるため、オーバーエデュケーションとなってしまうこともあるかもしれませんが、大学までは進学・卒業しておいた方が職業の選択肢を広げることにつながるため、有益だと考えられます。
日本では大学院修了(修士号・博士号取得)があまり評価されないことも
オーバーエデュケーションに関する問題として、大学院に進むべきかどうかという問題があります。本来、大学院に進学して、修士号や博士号を取得することで、専門的な能力がある人材となるはずなのですが、日本では修士号や博士号はあまり評価されない場合があります。
仕事の能力は大学や大学院での学業・研究では身に付かず、仕事の実務を通じて身に付けていくものだという考え方が根強いためです。大学院で学ぶよりも、早く実務を通じた経験によって学んでほしいという考えを持っている場合があります。
大学院に進学することで社会に出る時期が遅れてしまいますが、大学院での2年間よりも、社会人として働いた2年間の方が評価される場合があるため、修士号や博士号を取得することで逆に職業の選択肢を狭めてしまうことがあるのです。
大学名・学校名による学歴と就職・出世
大学に進学することが一般的になりつつあることで、単に大学を卒業したというだけでは人材を選ぶ基準となりづらくなったため、どんな大学を出たのかという大学名・学校名による学歴が重視されることがあります。
入学時の難易度(偏差値の目安)が高い国立大学、私立大学を卒業している人は、難関の大学入試を突破してきた人であるため、人材として有能である可能性が高いと判断されて、就職活動が有利となる場合があります。
大学名・学校名による学歴フィルターと就職
学歴フィルターとは、就職活動や転職活動などにおいて企業などの採用側が志望者を選別するために用いる学歴、特に大学名・学校名による選考基準のことをいいます。例えば、A大学の学生は無条件で書類選考を通過する一方で、B大学の学生は書類選考で落ちる場合があり、C大学の学生は全員書類選考で落ちるというように大学名・学校名を基準に用います。
新卒は同時期に一斉に就職活動が始まる日本では企業などの採用側は大量の学生からの応募を受けることになるため、何らかの指標を用いて選考を行わなければ、採用期間内に採用活動が終わらないという悩みがあり、大学名や学校名が選考過程で何らかの選好基準となることがあります。
学歴フィルターと呼ばれる場合には、通常は教育水準・レベルによる学歴(高校卒業か、大学卒業か、大学院卒業かなど)よりも大学名・学校名による学歴による選考基準を指します。
学部や学科による学歴は多くの場合問題となりませんが、特定の分野に詳しい学生が欲しいという考えを採用側が持っている場合は学部や学科が学歴フィルターとして選考基準となることもあります。
就職活動の幅を広げるためには有名な大学を選んだ方が無難
採用活動では、志望者の人柄などを総合的に判断することになりますが、どんな大学を出たかという大学名・学校名による学歴もその人の人となりの一部を示す重要な情報になります。
就職活動で選択肢の幅を広げたいと考えているのであれば、出来る限り有名な大学、有力な大学を卒業した方が無難です。学部・学科に関する学歴と就職・出世
就職や働き出してからの昇給・出世に関してはどんな学部や学科の出身かは多くの場合大きな影響がありません。どんなことを学びたいのかで選んでも就職や出世にはあまり影響がありません。
中央省庁や一部の大企業は学部が影響
しかし、中央省庁で勤務する場合、一部の大企業で勤務する場合には学部が重要な要因となることがあります。例えば、中央省庁の幹部は法学部出身が多いといったようなことが挙げられます。
また、日本の中央官庁では、基本的に文系出身者(通常は文系の区分で試験を受けて事務官になる)の方が優遇される傾向があり、理系出身者(通常は理系の区分で試験を受けて技官になる)は出世などの面で遅れる傾向があります。
学部・学科の内容と仕事との関係性
そのほか、仕事内容と学部や学科の関係性が深い場合は、優遇されるような場合もあります。理系の場合には、会社の業務分野と大学などにおける学部や学科との関係性が重要視される場合があります。
学部間の入学難易度の違い
同じ大学の中で、学部の違いなどによって入学や卒業の難易度が違う場合にも、卒業した学部によって与える印象が異なる場合があります。名門と呼ばれる学部を卒業していると、面接などで良い印象を与えられる場合があります。
学歴は就職や働くことと関係がないのではなく関係がある
学歴は就職や働くことと関係がないのではなく、とても関係があります。学歴だけでその人のことを判断できるわけではありませんが、学歴はその人の人生の重要な部分であり、学歴を敢えて見ないで除いて判断することも不自然です。
特に最初に仕事に就く時点では、職務経歴がないため、採用を決める上で、必然的に学歴が果たす役割が大きくなります。学歴にかかわらず採用を行う企業もありますが、完全に学歴を無視するということは珍しいのです。
まとめ
- 学歴には、教育水準による学歴、学校名による学歴、学部による学歴があります。
- 最初に仕事に就く時点では、採用側が採用するかどうかを判断する際に、職務経歴がないため学歴が重要な役割を果たします。学歴は就職との関係が深く、学歴は働くためにはとても重要です。