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国際標準教育分類と日本の学校・教育制度との対応関係

記事作成日:2017年12月16日

ユネスコ統計研究所(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO) Institute for Statistics:UIS)のInternational Standard Classification of Education 2011(国際標準教育分類(2011):ISCED 2011)では、教育水準(学歴)についてレベル0~8までの9段階の分類が示されています。また、レベル0~8以外に他に分類が不能なもの(Not elsewhere classified)という区分もあります。国際標準教育分類と日本の学校・教育制度との対応関係についてです。

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国際標準教育分類(ISCED 2011)

国際標準教育分類(ISCED 2011)の分類は次のようになっています。

国際標準教育分類(ISCED 2011)の分類
ISCED分類該当する日本の学校・課程等
level0Early childhood education
(幼児教育・就学前教育)
幼稚園・保育園・認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地域裁量型)
level1Primary education
(初等教育)
小学校・義務教育学校(前期課程)・特別支援学校小学部
level2Lower secondary education
(前期中等教育)
中学校・義務教育学校(後期課程)・中等教育学校(前期課程)・特別支援学校中学部
level3Upper secondary education
(後期中等教育)
高等学校(本科・別科)・中等教育学校(後期課程)・高等学校別科・専修学校高等課程(高等専修学校)・高等専門学校(1~3年、高専)・特別支援学校高等部(本科・別科)
level4Post-secondary non-tertiary education
(中等教育後非高等教育)
高等学校専攻科(看護・水産など)・短期大学別科・大学学部別科(留学生別科など)・特別支援学校高等部専攻科
level5Short-cycle tertiary education
(短期高等教育)
短期大学(本科・専攻科)・高等専門学校(4~5年・専攻科、高専)・専修学校専門課程(専門学校)
level6Bachelor's or equivalent level
(学士号・学士号同等)
大学(学部・専攻科(4年制の学部))・短期大学専攻科(特例適用)・高等専門学校専攻科(特例適用)
level7Master's or equivalent level
(修士号・修士号同等)
大学院修士課程(博士課程前期)・大学(医学・歯学・獣医学・薬学の6年制の学部)
level8Doctoral or equivalent level
(博士号・博士号同等)
大学院博士課程(博士課程後期)
-Not elsewhere classified
(他に分類できないもの)
専修学校一般課程(受験・補習など)・各種学校(予備校、自動車学校など)

(出典)学校教育法及びISCED Mappingsを参考にfromportal.comの担当者が作成

国際標準教育分類(ISCED 2011)と日本の学校・教育制度との対応関係

日本の学校・教育制度と、国際標準教育分類(ISCED 2011)での位置付けについて図示したものが次の図になります。図表は学校教育法及びISCED Mappingsを参考に当サイトが作成しました。

日本の学校の種類・教育制度と国際標準教育分類(ISCED2011)

(出典)学校教育法及びISCED Mappingsを参考にfromportal.comの担当者が作成

国際標準教育分類(ISCED 2011)の意義

日本では、義務教育段階の小学校と中学校までは、義務教育学校や中等教育学校を除けば選択肢がなく教育水準の段階として理解しやすいのですが、中学校卒業以降は、高等学校、高等専修学校(専修学校高等課程)、高等専門学校(高専)と選択肢が複数になります。

更に高等学校卒業相当以降は、高等学校専攻科、短期大学、大学(4年制学部、6年制学部)、専門学校(専修学校専門課程)、高等専門学校(高専)専攻科と複線化し、分かりづらくなります。

日本の学校・教育制度が国際標準教育分類上どこに対応していて、どの教育機関が、どの教育水準に位置付けられるのかを理解することで、学校(教育機関)を選びやすくなると考えられます。

国際標準教育分類(ISCED 2011)の各分類の概要

国際標準教育分類(ISCED 2011)の各分類の概要は次の通りです。

ISCED Level0:幼児教育

ISCEDのレベル0の幼児教育(就学前教育)(Early childhood education)は、認識的、身体的、社会的、感情的な発展を支援するため包括的なやり方で設計されていて、家庭以外で行われる組織的な指導です。学校や社会に参加するために必要な社会的・感情的な技能を育てるために行われます。創造的で遊びに基づく活動を通じて学びます。

ISCEDのレベル0には、0~2歳児を対象にした「early childhood educational development」(幼児教育開発)と3歳から初等教育開始前までの子供を対象にした「pre-primary education」(初等前教育・就学前教育)があります。

日本では、幼稚園、保育園(保育所)、認定こども園などが該当します。保育園(保育所)は保育を行うところですが、上記のISCEDレベル0の機能に当てはまるため該当します。日本では、多くの幼児が幼稚園・保育園・認定こども園のいずれかに通いますが、通うことは義務ではありません。

ISCED Level1:初等教育

ISCEDのレベル1の初等教育(Primary education)は、前期中等教育の準備のため、読み、書き、算数の基本的な能力を習得し、学びや理解のための基盤を確立するように設計されています。通常は、特定の科目を指導するのではなく、広い領域を学習し、1人の先生がグループの学習に責任を持ちます。

通常は、5~7歳の年齢に達すると入学することになり、4~7年程度、通常は6年間学習を行います。

日本では、小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校小学部が該当します。日本の初等教育は義務教育です。

ISCED Level2:前期中等教育

ISCEDのレベル2の前期中等教育(Lower secondary education)は、初等教育を前提に、更なる教育の機会を拡大できるような生涯の学習や人間の発達のための基礎を築くことを目的に設計されています。一部では、職業教育が行われる場合があります。通常は先生は科目ごとに指導を担当します。

前期中等教育は初等教育に続いて10~13歳まで、通常は12歳まで行われます。修業年限は2~5年で通常は3年です。

日本では、中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程、特別支援学校中学部が該当します。日本の前期中等教育は義務教育です。

ISCED Level3:後期中等教育

ISCEDのレベル3の後期中等教育(Upper secondary education)は、高等教育の準備のための教育、職業に関する技能を習得するための教育、あるいは両方のための教育として設計されています。前期中等教育よりも、多様で、専門的で、深い指導が行われます。先生はより高度な資格を有している場合があります。

後期中等教育は14~16歳の間に開始し、17~18歳前後で終わります。修業年限は2~5年で通常は3年です。

日本では、高等学校(本科・別科)、中等教育学校の後期課程、専修学校高等課程(高等専修学校)、高等専門学校(高専)の1~3年生、特別支援学校高等部(本科・別科)が該当します。

ISCED Level4:中等教育後非高等教育

ISCEDのレベル4の中等教育後非高等教育(中等教育後教育)(Post-secondary non-tertiary education)は、中等教育を修了した人に対して、就職や高等教育の準備のための行われる教育で、高等教育に至らない程度の複雑さの水準の知識・技能・能力を獲得することを目的としています。

中等教育後非高等教育(レベル4)を受けずに、後期中等教育(レベル3)から高等教育(レベル5以降の水準の教育)に進むこともできます。修業年限は6か月~2、3年程度です。

日本では、中等教育後非高等教育(中等教育後教育)はあまり一般的ではありませんが、高等学校の看護や水産系の専攻科、短期大学や大学学部の別科(留学生別科など)、特別支援学校高等部専攻科が該当します。

ISCED Level5:短期高等教育

ISCEDのレベル5の短期高等教育(Short-cycle tertiary education)は、中等教育を修了した人に対して、短期間の高等教育を提供します。学生が専門的な知識・技能・能力を習得できるように設計されています。短期高等教育は、通常は、実用的で職業特有のものであって、就職の準備のために行われます。ただし、他の高等教育の準備のために行われる場合もあります。

修業年限は通常は2~3年です。短期高等教育(レベル5)を受けずに、後期中等教育(レベル3)や中等教育後非高等教育(レベル4)から学士号(レベル6)に進むことが可能です。

日本では短期大学(本科・専攻科)、高等専門学校(高専)の4~5年生と専攻科、専修学校専門課程(専門学校)が該当します。

ISCED Level6:学士号・学士号同等レベル

ISCEDのレベル6の学士号・学士号同等レベル(Bachelor's or equivalent level)は、中等教育を修了した人に対して、中間的な学術的で専門的な知識・技能・能力が習得できるように設計されていて、第1の学位と結びついています(学士号)。教育内容は理論に基づきますが、実習・実技の要素を含むことがあるほか、最先端の研究や最良の専門的な事例に基づいています。

修業年限は後期中等教育(レベル3)から進んだ場合には3~4年です。学士号・学士号同等レベル(レベル6)を修了することによって、修士号・修士号同等レベル(レベル7)に進むことができます。

日本では、大学(4年生の学部)の学部・専攻科、特例適用される短期大学専攻科、特例適用される高等専門学校専攻科が該当します。

ISCED Level7:修士号・修士号同等レベル

ISCEDのレベル7の修士号・修士号同等レベル(Master's or equivalent level)は、より高度な学術的で専門的な知識・技能・能力が習得できるように設計されていて、第2の学位と結びついています(修士号)。教育内容は理論に基づきますが、実習・実技の要素を含むことがあるほか、最先端の研究や最良の専門的な事例に基づいています。

修士号・修士号同等レベルは、博士号・博士号同等レベルに至らない水準の教育内容です。

修業年限は、学士号・学士号同等レベル(レベル6)から進んだ場合は1~4年で、後期中等教育(レベル3)から直接進んだ場合は5~7年です。

日本では、大学院修士課程(博士課程前期)、大学の6年生の学部(医学・歯学・獣医学・薬学)が該当します。

ISCED Level8:博士号・博士号同等レベル

ISCEDのレベル8の博士号・博士号同等レベル(Doctoral or equivalent level)は、進んだ研究資格に結びつくように設計されています(博士号)。博士号・博士号同等レベルでは高度な学問と独自の研究に専念するようになっています。博士号・博士号同等レベルは学問的な分野、専門的な分野両方に存在します。

通常、博士号・博士号同等レベルは博士論文を提出し審査を受けることによって修了します。

修業年限は、最短で3年となります。

日本では、大学院博士課程(博士課程後期)が該当します。

(参考)他に分類できないもの

ISCEDには他に分類できないもの(Not elsewhere classified)という区分が存在します。日本では専修学校の一般課程、各種学校が該当します。

一般学校には大学受験のための「受験・補習」の学科の生徒が多く含まれています。各種学校には予備校や自動車学校などが含まれます。これらは、学校教育の枠組みの中には直接的に当てはまらないため、他に分類できないものとなっています。

まとめ

  • ユネスコ統計研究所の国際標準教育分類(ISCED 2011)は教育機関(学校)についてレベル0~8までの9段階と分類不能なものに分類しています。
  • 日本の学校・教育制度を国際標準教育分類に照らし合わせることで、どの学校がどのような目的を持っていて、どのような教育水準員位置付けられるのか理解しやすくなり、教育機関(学校)の選択に役立つと考えられます。

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【国際標準教育分類と日本の学校・教育制度との対応関係の記事は終わりです】

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