中学受験と高校受験のどちらを選んだら良いのか
記事作成日:2018年4月28日
中学受験か高校受験のどっちを選んだほうが良いのかということについてです。中学受験が盛んな地域では、優秀な生徒は中学受験をして中高一貫教育を行う中高一貫校に入学することが多いため、学力の面では中学受験をした方がメリットが大きい場合が多いです。ただし、中学受験にはお金と時間がかかります。地域によっては中学受験が盛んではなく、高校受験の方が魅力的な学校の選択肢が多い場合もあります。中学受験と高校受験のメリットやデメリットの比較をしながら、中学受験と高校受験をどう考えるかについて説明します。
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中学受験と高校受験のメリットとデメリットの比較
中学受験と高校受験のメリットとデメリットを比較すると次のようになります。
受験 | 中学受験 | 高校受験 |
---|---|---|
メリット (長所) | 中学受験で学力が高まる 中高一貫教育 高校受験がない 中学から優秀な子が集まる 6年間落ち着いた環境 深い友人関係を築きやすい 荒れている学校を避けられる | 学費の負担が軽い 中学受験が必要ない 小学校生活を犠牲にしない 公立の中学校で揉まれる 中学の勉強の復習になる |
デメリット (短所) | 塾通いの負担が重い 私立だと学費が高い 中学受験の勉強が大変 受験で小学校生活が犠牲に 選択肢がない場合も 中だるみの危険性 | 高校受験の勉強が必要になる 中学校生活が慌ただしい 中学校の生徒に幅がある 新しい高校に適応が必要 中高一貫教育ではない 中学受験で優秀な子が抜ける |
(出典)fromportal.comの担当者が作成
中学受験で得られるものは学力と環境
中学受験によって得られる主なものは学力と環境です。学力に関しては、中学受験によって学力が高まること、中高一貫教育によって学力の育成が期待できることが挙げられます。
環境については、高校受験がなく、中学受験での入試の選抜によって優秀な子が集まること、6年間落ち着いた環境で過ごせること、深い友人関係を築きやすいことが挙げられます。
中学受験で学力が高まる
中学受験をすることで小学校で学んだ内容を総復習することになるほか、中学受験のために固有の解き方などを学びますが、中学受験のための勉強を通じて学力が高められることになります。
もし、小学校の時点で分からない部分があっても、中学受験の勉強の過程で学びなおすことになります。そのため、中学校からの勉強にスムーズに取り組むことができるようになります。
中高一貫教育で高い学力の育成が期待できる
中学受験をして入る中学校は多くの場合、中高一貫校となっていて、大学受験を意識した計画的・継続的な特色のある中高一貫教育が行われていることがほとんどです。
また、中学受験によって一定水準以上の学力を持つ子が選抜されているため、授業内容や学習進度も学力がある子を想定して組まれている傾向があります。難しい学習内容を取り扱っている場合や、先取り学習で高校3年生で大学受験の勉強に専念できるようになっている場合があります。
先取り学習では、例えば中学3年生になると高校の内容を先取りして学習し始め、高校2年生には高校で学習する内容が一通り終わるようになっていて、高校3年生では大学受験対策を中心に授業が行われるといったような形です。
そのため、授業についていくことができれば、大学受験に対応しやすいカリキュラムになっているのです。
入試によって中学校に優秀な子が集まりやすい
中学受験で入学試験が実施されることによって、一定水準以上の学力の子が集められることになります。例外もありますが、基本的に学力の水準が高くなると素行不良など深刻な問題は生じづらくなり、学びやすい、過ごしやすい恵まれた環境となる可能性が高まります。
高校受験がない
中学受験をして中高一貫校に入学すると、中学校から高等学校に進学する段階で高校受験がありません。中学校と高等学校が1つの学校になった中等教育学校ではそもそも中学校と高等学校が分かれていないため高校受験の概念がありません。
高校受験のために塾通いをする必要がなく、高校受験のお金、時間、労力が必要ないのです。
6年間落ち着いた環境で過ごすことになる
中学受験をして中高一貫校に入学すると、高校受験がないことから、6年間、同じ友人、同じ環境(中学校と高等学校が別でも校風はそれほど変わりません)で過ごすことになるため、友達、先生、環境などがなじみのものとなり、落ち着いた環境で学生生活を送ることができます。環境が変化することに適応するために要するエネルギーが少なくて済むのです。
深い友人関係を築きやすい
中学受験をして中高一貫校に入学すると、多感な中学校から高校までの6年間を過ごすことになるため、深い人間関係を築きやすく、生涯の友が得られることもあります。途中で高校受験をすることになると、入試の勉強で忙しくなりますし、高校が違うと離れ離れになってしまうことがあるのです。
荒れている公立中学校を避けられる
近年では以前と比べると大幅に数が減少したと推測されますが、地域や学校によっては公立中学校は問題行動を起こす子などによって荒れている場合があります。
もし、通うことになる地元の公立中学校の評判が望ましくない場合、中学受験によって中学校を選ぶことができるため、荒れている公立中学校があれば避けることができます。
中学受験はお金と受験勉強が課題
中学受験で課題になるのがお金と時間です。
中学受験は塾の授業料負担が重い
中学受験では小学校の学習内容では到底対応できないため塾に通わなければいけない場合が多いです。東京などの都市部では小学4年生頃から中学受験の勉強が本格化するため、4年生から6年生まで3年程度塾の授業料負担がかかります。また、塾への送迎などでもお金がかかることがあります。
私立に通うと学費が高い
中学受験で私立の中高一貫校に通う場合には授業料などの学費の負担が重くなります。私立は国立や公立と比べ全般的に親の負担が重くなる傾向があり、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学の各段階で私立の進路を選ぶ回数が増えるほど親の負担は増大します。
中学校から私立ということになると、高等学校や大学から私立という場合と比べて教育費支出が膨らみます。
中学受験の勉強が大変
中学受験の勉強は大変で多くの時間を割かなければいけないことはデメリットの1つです。中学受験が盛んな地域では中学受験の勉強は4年生の頃から本格化します。場合によっては5年生からでも大丈夫な場合がありますが、小学校の後半は受験勉強中心の生活となります。
小学校が終わってから、夜まで塾で長時間勉強し、土日も塾に通うか家庭学習となってしまいます。もちろん、塾に通うにも時間がかかります。
中学受験で小学校生活が犠牲となる可能性
中学受験をする場合、小学校生活の後半は大半が勉強に費やされることになるため、勉強以外のことがほとんどできなくなってしまう恐れがあります。
友達と遊ぶ時間がなくなったり、他の習い事ができなくなったり、学校や地域での活動に参加ができなくなったりして、勉強一色になってしまうことがあります。小学校生活後半は他のことを犠牲にしないと時間が足りないことが多いのです。
中学受験が盛んでない地域もあり中学受験の選択肢がないことも
地域によっては中学受験をして通うような中学校がほとんどなく、中学受験よりも高校受験が一般的である地域があります。そのような場合には、中学受験をするよりも高校受験をする方が魅力的な学校が多い場合もあります。地域によって中学受験と高校受験のどちらが良いか変わる場合もあるため、地域の事情を早い段階から知っておくことが重要です。
東京などの都市部では中学受験が盛んで、中学受験で魅力的な学校の選択肢が豊富ということがあります。一方で地方では受験できる中学校の選択肢が限られている、進学実績が良い高校があるなどの事情により、高校受験の方が良いと考えられる場合もあります。
中学生後半から高校生前半に中だるみの可能性
中学受験をすると高校受験がなくなるため、中学受験の次の目標は6年後の大学受験ということになります。そのため、中学生の後半(中2~3)から高校生前半(高1~2)に緊張感がなくなって中だるみしてしまうことがあります(中等教育学校の場合は前期課程の後半から後期課程の前半)。
勉強をしなくなったり、遊んでばかりいるようになったりしてしまい、成績が下がってしまい、授業にもついていけなくなってしまうことがあります。
大学受験が近づく高校2年生の後半から高校3年生の前半に焦り始めても、勉強が間に合わず大学受験に失敗してしまうことがあります。
高校受験はお金が節約でき小学校生活を犠牲にしない
高校受験を選ぶことのメリットとしてお金の負担が軽くなる、中学受験がないということが挙げられます。また、公立中学校で揉まれて精神的に鍛えられるということもあります。
学費の負担が軽い
中学受験ではなく高校受験を選ぶということは基本的に小学校と中学校は公立の学校に通うということになります。そのため、小学校と中学校では学費の負担が抑えられて、家計に優しいと言えます。
中学受験が必要ない
高校受験をする場合には中学受験の必要がありません。中学受験の塾通いで高い授業料の負担をしたり、塾通いや家庭学習に時間を掛けたりする必要がなくなるのです。
小学校生活を犠牲にしない
高校受験をする場合は中学受験の必要がないため、小学校生活の後半が受験一色になることもありません。そのため、友達と遊ぶ時間を十分にとったり、習い事を行ったりすることができ、小学校生活を犠牲にすることはありません。
公立の中学校で揉まれて鍛えられる
高校受験をする場合は中学校は公立の中学校ということになります。公立の中学校は入学試験による選抜がなく、地域の子どもたちを受け入れるため、多様な家庭環境の子、多様な個性を持った子が同じ環境で過ごすことになります。
そのため、多様な幅がある子どもたちの中で揉まれて、精神的に強くなる、鍛えられる、ということが期待できます。
高校受験は中学校の勉強の復習になる
高校受験をすることで中学校で習った内容を振り返ることになるため復習になります。もし、中学校の学習内容で分からないことがあれば、高校受験の勉強を通じて学びなおすことになるのです。
そのため、高校からの勉強をスムーズに開始することができ、大学受験まで学習意欲を保ち続けることができる場合もあるのです。
高校受験は中高一貫でないことや中学校の生徒の学力の幅が課題
高校受験は中高一貫教育を受けられなくなること、中学校で多様な生徒が集まるため学力にも幅があることなどが課題となります。また、中学校の生活が慌ただしくなることも課題です。
高校受験の勉強が必要になる
中学受験ではなく、高校受験を選ぶと高校受験の勉強が必要になります。中学校は義務教育なので、中学受験をしなくても、一定の年齢になり小学校を卒業していると、公立の中学校に進むことができます。
しかし、高等学校は義務教育でないため、地元の公立高校に進学する場合でも高校受験は必要になります(推薦なら推薦が必要になります)。高校受験のために時間やお金を費やす必要があります。
高校受験のために中学校の生活が慌ただしくなる
高校受験をすると、中学校での生活が慌ただしくなります。高校受験は中学受験と比べると準備期間が相対的に短いといわれていますが、中学3年生の間は受験勉強が中心の生活となります。
高校受験を意識しながら中学で過ごすことになるため、特に中学校の後半は落ち着かない学生生活となり、部活など勉強以外の活動を控える必要が出てくることがあります。
生徒の学力水準に幅がある
中学受験ではなく高校受験の場合、公立中学校に通うことになりますが、入学試験がないため生徒の学力の水準がバラバラで、多様な学力水準の子、多様な性格の子が集まります。
学力水準がバラバラのため、中学校の授業は学習効果が高まりづらくなります。理解が進んでいる子にとっては物足りなくなり、理解が遅れている子にとってはますますついていけなくなるのです。
また、多様な性格の子が集まるため、問題行動を起こす子がいる可能性が高まります。
新しい高校での学生生活に適応が必要
高校受験をすると、高等学校はこれまでの中学校とは生徒、先生、校風など学生生活の環境が大きく変わることになります。そのため、高校生活に慣れる、馴染む、適応することが必要になり、高校に入学してからしばらくは落ち着かない生活を送ることになります。
適応するまでに時間がかかれば、その分様々なことが手につかなくなったり、上手くできなかったりします。
中高一貫教育・中高一貫校ではない
高校受験をするということは中高一貫教育・中高一貫校ではないということですが、中高一貫校の中高一貫教育では優秀な子向けに授業進度が早く、難しい内容も取り扱うなど大学受験を見据えた高い学力を養うためのカリキュラムが組まれています。
高校受験をすると必然的に中高一貫ではなくなるため、中高一貫校の中高一貫教育の良い部分を享受できないということになるのです。
中学受験で優秀な子が抜けてしまう場合がある
中学受験が盛んな地域の場合、多数の子が中学受験をし、中学校は地元の公立中学校ではなく、国立や私立の中学校、公立の中高一貫校(義務教育の就学指定の対象とならない学校)に通うことがあります。
中学受験が盛んな地域の地元の公立中学校では中学受験で優秀な子が多数抜けてしまい、地元の公立中学校は微妙な雰囲気となってしまうことがあります。
中学受験と高校受験のとちらを選ぶべきか
魅力的な中学校があってお金と時間が許すなら中学受験
中学受験が盛んな地域で、魅力的な中学校が通学できる範囲にあるのであれば、お金と時間が許す限り中学受験を検討した方が良い教育機会に巡り合える可能性が高まると考えられます。
中学受験が盛んな地域では、地元の有力な学校は中学受験に照準を合わせて優秀な生徒を獲得しようとしていますし、優秀な生徒は中学受験をします。
また、中高一貫教育を行う中高一貫校では6年間の期間を活かして、特色ある継続的・計画的な教育を実施していて、大学受験に対応しやすいと考えられます。
中学校の選択肢がなく有力な高等学校が多い地域は高校受験
もし、中学受験が盛んではなく魅力的な中学校の選択肢がない場合、有力な高等学校(特に公立で進学実績が良い高等学校)がある場合は高校受験を選択した方が良い場合が多いです。むしろ、高校受験しか選択肢がない場合もあります。
また、家計の面から中学受験は金銭的な負担が厳しいという場合も高校受験を選んだ方が良いと考えられます。無理して家計に負担がかかると、生活や家族関係の様々な面に悪影響が及ぶ可能性があるからです。有力な公立高等学校の受験を視野に入れつつ、できる限り学費負担を抑えて、大学受験を目指すのが良いと考えられます。
まとめ
- 中学受験と高校受験のどちらを選ぶかということについては、中学受験が盛んな地域では、魅力的な中学校の選択肢があり、お金と時間が許すのであれば中学受験を検討することで、恵まれた教育機会が得られる可能性が高まります。
- ただし、地域によっては中学受験が一般的ではなく、有力な高等学校に高校受験で入学できる場合もあるため、地域の事情も考えて決める必要があります。