公立中高一貫校の特徴やメリットとデメリット
記事作成日:2018年4月22日
公立の中高一貫校(都立・道立・府立・県立及び区立・市立の中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)の特徴やメリットとデメリットについてです。本記事では、中学校段階で義務教育の就学指定の対象とならない、入学者の選抜がある公立の中等教育学校と併設型の中学校・高等学校についての特徴やメリットとデメリットについて説明しています。
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公立の中高一貫校とは
中高一貫教育を行う中高一貫校には、制度上の中高一貫教育として中学校と高等学校を1つの学校にした中等教育学校、併設型の中学校・高等学校、連携型の中学校・高等学校があります。また、私立を中心に制度外で中高一貫教育の制度ができる前から実質的に中高一貫教育を行っていた中学校・高等学校もあります。
公立の中高一貫校としては、中等教育学校、併設型の中学校・高等学校、連携型の中学校・高等学校がありますが、連携型の中学校・高等学校では中学校は無選抜での入学となり、義務教育の就学指定の対象となり得ます。
- 公立の中等教育学校:入学者選抜(適性検査等)
- 公立の併設型中学校:入学者選抜(適性検査等)
- 公立の連携型中学校:義務教育の就学指定先
本記事では、公立の中等教育学校と併設型の中学校・高等学校を前提に説明を行っています。
公立中高一貫校の特徴やメリット
公立の中高一貫校の特徴・メリットとして最も大きなものが公立なので学費が安いということです。また、中高一貫教育が行われること、入学者選抜があるため優秀な生徒が集まることなどもメリットです。
学費が安い
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)は公立なので、私立の中高一貫校などと比較すると学費が相対的に安く済みます。
教育費負担が軽く、家計に優しいため、大学受験のためにお金をとっておくことができるのです。学費が安いということは公立の中高一貫校の大きなメリットです。
入学者選抜があるため優秀な子が集まり恵まれた学習環境になりやすい
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)では適性検査などによって入学者の選抜を行います。誰でも入学できる訳ではなく、適性検査などによって選抜された生徒が入学するのです。
そのため、優秀な子が集まる傾向があり、恵まれた学習環境になりやすい傾向があります。問題行動を起こすような生徒がいる可能性が無選抜の場合よりも下がるのです。
6年間同じ環境で過ごすため仲の良い友人ができやすい
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)では多感な時期を6年間同じ環境で過ごすことになるため、仲の良い友人ができやすいこともメリットの1つです。
途中で高校受験があると離れ離れになってしまう可能性もありますが、6年間同じ学校に通うことになるため落ち着いて深い友人関係を築きやすいのです。
進学実績が良い場合がある
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)は入学者の選抜を行っていること、6年間の中高一貫教育で大学受験への対策がしやすいことなどから、大学進学実績が良好な学校もあります。
公立の中高一貫校は、多様な教育の選択肢を提供するという観点から、安易に受験エリート校化しないように配慮が求められていますが、実態としては受験エリート校化している学校もあるのです。
特色ある中高一貫教育が実施される
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)では中学校と高等学校の6年間を合わせて計画的・継続的な教育が行われることになります。学力を高めるようなカリキュラム、英語など特定の分野に力を入れたカリキュラムなど学校によって特色がある中高一貫教育が実施されます。
高校受験がない
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)に入学すると高校受験をする必要がなくなります。中等教育学校は中学校と高等学校が1つの学校になったものなので途中で入試はありませんし、併設型の中学校から高等学校へは基本的に無選抜(無試験)で入学できます(エレベーター式、エスカレーター式)。
高校受験がないため、高校受験の準備にお金や時間をかける必要はありませんし、中学生の期間(中等教育学校の前期課程)は落ち着いた環境で学ぶことができるのです。
公立中高一貫校のデメリット
公立の中高一貫校のデメリットとしては、入学者の選抜で倍率が高いことがある、住所地によって入学資格がない場合がある、適性検査に固有の対策が必要などといったことが挙げられます。
人気があるため倍率が高いことがある
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)は学費が安いことから人気が高くなる傾向があり、倍率がとても高くなる場合があります。倍率だけでみると、難関と言われる私立中学校よりも高くなることがあります。そのため、入学は狭き門となります。
どうしても中高一貫教育を受けたいと考えるのであれば、公立の中高一貫校だけでなく、国立や私立への併願も検討する必要があります。
住所地により受験資格がないことがある
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)は住所地による受験資格を定められていることがあります。指定地域外に住んでいる場合には、指定地域内に引っ越しをしないと入学することができない場合があります。
入学者選抜の適性検査や報告書等への対応が必要に
公立の中等教育学校と併設型の中学校・高等学校の入学者選抜に当たっては受験戦争の激化を防ぐこと、中高一貫校が受験エリート校化しないことを目的に、学力検査を行わないことになっています。
そのため、公立の中等教育学校と併設型の中学校・高等学校の入学者選抜では学力検査に代わる適性検査の結果や小学校の成績を記載した報告書、面接などにより合否が判定されます。
適性検査とは、小学校で習う国語、算数、理科、社会等の学習範囲から総合的な出題が行われます。単に知識を問うのではなく、知識を活用しながら考える力、出題された資料を読み解く力、答えを文章として表現する力などが問われます。
国立の附属中学校や私立中学校を受験する場合と比べると、受験の対策期間が短く、塾などにかかる費用などは抑えられる傾向がありますが、一定の受験対策をしなければいけないことに注意が必要です。
通学に時間がかかることがある
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)の場合、入学者の学校周辺の住所地が指定されていることも多いですが、それでも地元の公立中学校に通うよりは通学距離が伸びて、通学時間が長くなることがほとんどです。
そのため、毎日の通学に時間をとられることになるため、時間の使い方に気を付ける必要があります。通学定期などの交通費もかかってきます。
校風に合わない場合などは6年間居心地が悪い
公立の中高一貫校(中等教育学校と併設型の中学校・高等学校)は基本的に6年間同じ環境で過ごすことになるため、校風が合わない、人間関係が上手くいかないといった場合には、6年間同じような状態が続くことになり、居心地が悪いということになります。
まとめ
- 公立の中高一貫教育を行う中高一貫校のうち、中等教育学校と併設型中学校・高等学校のメリットには、学費が安い、入学者選抜があるため優秀な生徒が集まりやすい、進学実績が良いことがある、などを挙げることができます。
- 一方で公立の中高一貫校のデメリットとしては、倍率が高い、適性検査に対策が必要などが挙げられます。