大学院入学・進学を後悔する場合と後悔しないための準備・方法
記事作成日:2017年11月24日
大学院は専門的な知識を得るため、研究活動を行うために進学しますが、大学院に進学したことを後悔してしまう場合があります。大学の学部生と大学院の院生に求められることは異なっていて、研究活動が好きでないと大学院が合わないことがあります。また、大学院に進学することで就職先なども変わってくることがあるため、人生の進路のイメージを持たないまま進学すると後悔してしまうことがあります。基本的に修士課程を念頭に説明してますが、一部博士課程に当てはまることもあります。
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大学院入学・進学を後悔する場合
大学院に入学・進学して後悔する場合についてです。
大学院に何となく入学・進学してしまうと後悔する可能性がある
通常は大学の学部で学ぶよりも更に深い専門的知識を得るため、研究活動を行うために大学院に進学することになります。しかし、更に学びたい、研究をしたいという強い意欲がないにもかかわらず、何となく大学院に進学してしまうことがあります。目的意識がないまま大学院に進学すると後悔してしまう可能性が高まります。
就活が上手くいかず進学した場合
大学院に進学する理由の1つとして就職活動が上手くいかず、やむを得ず大学院に進学せざるを得なかったという場合があります。同じ大学の大学院に進学するのであれば、内部ですので比較的進学しやすいことが多いため、就職活動で上手くいかなった場合に、とりあえず大学院に進んでおこうと考える場合があります。
強く希望して大学院に進んだというよりは、不本意ながら大学院に進学したという側面が強くなるため、大学院に進学したことを後悔してしまう可能性が高まります。
進路を決められずとりあえず進学した場合
大学の4年間(一部学部は6年)はモラトリアム期間と呼ばれ、人生で猶予を与えられた期間だと言われることがあります。大学の間は、社会的な責任をあまり負っていない一方で、比較的自由に時間を使うことができるからです。
大学の4年間に自分の進路を決められなかった場合には、とりあえず学生という身分を維持したい、現状維持でいたいという気持ちから、大学院にとりあえず進み、修士の2年間の時間的な猶予を得ようとすることがあります。
周りが進学するから進学した場合
近年では大学院に進学する人も増えています。周りの人が大学院に進むから、自分も進もうといったように人に流されて判断してしまう場合があります。
もちろん、日本中の多くの人が大学院に進むのであれば、大学院に行かないことが低い評価につながることもあるため、周りに合わせていくという行動が合理的になります。しかし、大学院に進む人が増えたとはいえ、日本ではまだ大学院に進学する人は多数派ではありません。将来も多数派とならない可能性があります。
そのため、特にやりたいことがあるわけでなければ、大学院に進まなくても困らないということになります。周りが進むから自分もというように考えていると、大学院に進学したことを後悔する可能性があります。
就職活動が不利になるのではと感じ後悔してしまう
理系の場合には大学院に進学して修士号を取得することで、技術系の就職先が広がることがあります。また、待遇面でも専門的・研究的な職種での採用を約束されたり、採用時の給与水準が高くなることがあります。
一方で、日本では大学院に進学して修士号や博士号を取得することに対して、評価をされないことがあります。修士号や博士号を取得することは、時間と労力の面で大変なことであり、努力をした証でもあるのですが、日本の民間企業の中には、なぜ大学院に進学したのかと否定的に受け止める場合さえあります。
大学院での専門的な知識までは必要ないと考えられている場合、仕事をするなかで専門性を身に付けていけばいいと考える場合、とにかく若い年齢の人に入社して欲しいと考える場合、求める専門性の分野が違う場合などは、大学院の修了が評価されないことがあります。
大学院に進学することで、就職先が狭くなるのではないか、不利になるのではないかとの思いが募れば、大学院に進学したことを後悔してしまう可能性があります。
研究や研究分野に興味を持てなくなり後悔してしまう
研究を続けたいと思って大学院に進学したけれど、研究する分野あるいは研究活動そのものに対する興味を失ってしまうことがあります。研究活動は知的好奇心が原動力となりますが、研究対象に興味を持てなくなったら、理系であっても、文系であっても、研究活動は苦痛になります。
研究にそもそも向いていなかったのか、選んだ分野が悪かったのかは分かりませんが、研究分野に対する興味を失ってしまっては研究活動を続けていくのは困難です。
修了が近い場合には何とか修了するまで頑張るということも考えられますが進学してから早い時点で興味を失ってしまった場合は大学院に進学したことを後悔してしまうかもしれません。
研究分野の社会的な需要や将来性がないと感じ後悔する
大学院での研究分野によっては、あまり社会的な需要がない分野、将来性が感じられないような分野があります。もちろん、社会的な需要や将来性だけで研究活動が行われるわけではありません。応用的な研究だけではなく、基礎研究も大切ですし、一見意義が薄いようなことでも物凄い大発見につながることがあるのが研究の醍醐味です。
しかし、研究していくためにはお金が必要なので、研究と社会の関わりについて意識しておく必要があります。大学院を修了した後、民間企業に就職することを考えている場合には、仕事があるかを気にしなければいけないため、専門分野と関係する仕事がどれくらいあるのかは意識しておく必要があります。
また、民間企業ではなく、大学などで研究を続ける場合でも、社会的に認められない研究分野の場合は研究活動の予算が確保できなかったり、学部・学科や研究室そのものが廃止されてしまうこともあります。
大学院に進学し、研究室の研究分野について理解を深めていくうちに、思ったよりも将来性がないのではないか、と感じることもあります。何を研究しているのか、どのような発展性があるのかを意識しないまま研究分野を選ぶと後悔してしまうこともあります。
求められる研究活動の質の高さが合わないと感じて後悔する
大学の学部生と大学院の院生は大きく異なります。大学の学部生は教えてもらう、教わるという要素が強いといえます。講義を受け、調査や実験・論文作成の指導を受け、教えてもらうという性格が強いです。もちろん、卒業論文の作成には自主性が必要ですが、大学院生と比べると学部生に対してはそこまで厳しくないことが多いです。
しかし、大学院の院生に対しては、研究活動の質の高さが求められます。大学院に進むと研究室に所属しますが、教わるというよりは、自ら研究を進めていく、探求するという性格が強くなります。
研究活動が好きな人にとってはたまらない時間を過ごすことができますが、研究活動が合わない人は大学院での研究活動を苦痛と感じるかもしれません。研究が好き、研究が楽しい、という訳でなければ大学院進学を後悔してしまう可能性があります。
独特な大学院の研究室の雰囲気に合わず後悔することも
大学院の研究室で過ごす時間は独特な場合があります。研究をする人たちが教授の下、閉鎖的で濃い人間関係を形成していくことがあります。特殊な空間となってしまう場合があるため、肌に合わない人もいます。
また、指導的立場にある人が研究に没頭する場合、研究にどれだけでも時間をかけることを厭わない場合、長時間研究室に拘束されてしまうことがあります。毎日夜遅くまで研究活動を続けるだけでなく、土曜日や日曜日なども研究室に出てくるような場合もあります。
ブラック企業と同じようにブラックな研究活動を強いられてしまう場合があるのです。研究室の雰囲気に従わないと、研究活動に影響がある可能性があり、従わざるを得なくなることがあるのです。
研究室での時間が合わないと感じる場合には、大学院に進学して失敗したと感じて後悔することがあるかもしれません。
研究活動で成果を上げられず後悔する
研究活動は成果が約束されているわけではありません。必死に努力しても十分な成果を上げられない場合があります。理系の大学院ではどれだけ必死に実験をしても結果がでないことがあります。
修士論文や博士論文に書けるような成果が出なかったという場合には、大学院での研究活動に意義を感じられなくなってしまい、無駄な時間を過ごしたと感じてしまうかもしれません。
成果は出なくても、研究活動を日々努力していれば、専門的な知識や技能が得られますし、論文を作成する能力、人に説明する能力・プレゼンテーションをする能力などが身に付くため、研究活動は無駄にはならないのですが、目に見える成果がないとやめておけばよかったと後悔することがあるかもしれません。
大学院進学を後悔しないための方法
大学に入学することは一般的になってきましたが、大学院に進学することはまだ一般的とは言えません。進みたい人が進む道なので、なぜ大学院に進学したいのかをよく考えてから進学する必要があります。大学院に進学してどんなことがしたいのか、研究を続けたいのか、就職したいのかを考えておくことが大切です。
大学院に進学するためには、お金、時間、労力がかかるため、折角なら後悔しないで有意義な院生生活を送れるようにしたいものです。
将来の進路を意識して大学院に進学する
大学院に進学する場合には、将来の進路について漠然とであっても構わないので、意識しておく必要があります。大学などで研究活動を続けたいのか、民間企業で技術職・研究職に就きたいのか、研究とは関係ない仕事に就きたいのか、イメージを持っておくことが大切です。
大学院で研究活動を行う際に目的意識を持っていれば、研究に対する意欲を保ちやすいからです。研究活動を続けていきたいなら博士課程まで進み博士号を取得する必要がありますし、民間企業での研究職であれば修士課程を修了して就職するのが日本では一般的です。技術職・研究職を特別に望んでいないのであれば、大学院に進学する意義が薄い場合もあります。
技術職・研究職以外の一般的な職種で働くことを考えている場合には、大学院になぜ進学するのか考えを整理しておくことが大切です。
研究分野の動向について十分調べておく
研究する分野について十分調べておくことが大切です。社会でどれくらい必要とされていることなのか、将来的にどのような応用が期待されているのか、日本あるいは世界でどれくらいの数の人が研究に関わっているのか、メジャーな分野なのかマイナーな分野なのか、希望する研究室はその分野で有名なのか、成果があるのかといったことを確認しておくことが大切です。
研究活動は興味を持てないと続けられませんが、社会的にも評価されやすい研究を行った方が、研究のしやすさや、仕事との結びつきという面でも有利です。民間企業への就職も意識している場合には、研究分野は社会とどのような関わりがあるか、調べておきましょう。
研究室の雰囲気を感じておく
大学院で所属を希望する研究室の雰囲気を感じておくようにしましょう。学部の研究室にそのまま所属する場合は研究室の雰囲気はよく分かっているかもしれません。しかし、大学院で研究室を変える場合には、事前に研究室の雰囲気を感じ取っておくことが大切です。
教授や研究室の人に話を聞く、夜や土日の活動状況を調べる、研究室が挙げている成果を確認する、といったことが考えられます。
また、学部生でいる間は居心地が良かった研究室であっても、院生になると居心地が変わることがあります。学部生に求めるものと院生に求めるものは水準が違うからです。
成果だけでなく過程にも目を向ける
研究活動は成果と努力が比例するわけではありません。どれだけ努力をしても全く結果が出ないこともあります。研究成果だけに目を囚われていると、途中の過程で得られたことに気が付けない可能性があります。
研究活動を行うことで、物事を調べる能力、分析する能力、論文や発表などで表現する能力などが身に付きます。思うような成果を上げられなかった場合でも、大学院の研究活動を通じて多くのことを得ることができます。
成果だけでなく、過程にも目を向けることで、大学院で学ぶことが肯定的に考えられるようになります。
まとめ
- 大学院に目的意識を持たず何となく進学してしまうと後悔してしまう可能性が高まります。大学院は研究する場なので、研究活動が自分に合っているかよく考えておく必要があります。
- 大学院に進学することで就職先などが変わってくることがあるため、進学を決める前に将来の進路についてよく考えておくことが大切です。