専門高校・職業高校・実業高校(工業高校・農業高校など)とは・メリットとデメリット
記事作成日:2019年5月19日
高校(高等学校)の中には、専門高校(専門高等学校)、職業高校(職業高等学校)、実業高校(実業高等学校)と呼ばれる高校があります。専門高校、職業高校、実業高校とは、通常は農業や工業、商業などの専門教科を多く学び専門教育を主として行う専門学科が設置されている高校のうち、特に職業に関する専門学科(職業学科)がある高校を意味します。
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専門高校・職業高校・実業高校とは
専門高校・職業高校・実業高校とは、基本的に職業に関する専門学科がある高等学校を意味します。専門学科だけでなく普通科がある場合もあります。歴史的な経緯から専門学科がなくても「実業」という言葉が名称に含まれる高校もあります。専門学科があるからと言って、必ず専門高校・職業高校・実業高校を名乗らなければいけないわけでもありません。
農業高校・工業高校・商業高校・水産高校とは
農業の専門学科がある高校は農業高校(農業高等学校)、工業の専門学科がある学校は工業高校(工業高等学校)、商業の専門学科がある学校は商業高校(商業高等学校)、水産の専門学科がある学校は水産高校(水産高等学校)などの名称となっている場合があります。
農業高校、工業高校、商業高校、水産高校は、職業に関する専門学科が置かれているため、専門高校(職業高校・実業高校)に該当します。
高校には普通科・専門学科・総合学科の3つの学科がある
高校には、普通科、専門学科、総合学科の3つうちのいずれかの学科、または複数の学科が置かれます。
このうち、普通科とは、いわゆるよくある普通の高校で国語、地理歴史、公民、数学、理科などのいわゆる普通教科を中心に学ぶ主に普通教育が行われる高校で、仕事についてはあまり学ばず、大学等への進学を意識して授業が行われます。
専門学科は、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉、理数、体育、音楽、美術、英語などの専門教科を多く学ぶ専門教育を行っている学科を意味します。このうち、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉の専門学科は職業に関する専門学科(職業学科)とも呼ばれます。
総合学科は、普通科と専門学科の中間的な位置づけで、普通教育と専門教育をバランスよく総合的に行う学科です。
高校の学科
- 普通科
- 専門学科
- 総合学科
普通科、専門学科、総合学科の生徒数の割合を見ると、普通科が最も多く、次が専門学科となっています。
職業に関する専門学科
- 農業科
- 工業科
- 商業科
- 水産科
- 家庭科
- 看護科
- 情報科
- 福祉科
高校の専門学科の分野別に生徒数の割合をみると、工業が最も多くなっていて、続いて商業、農業の順番となっています。
専門高校・職業高校・実業高校(農業高校・工業高校・商業高校・水産高校など)の特徴やメリット
専門高校(農業高校、工業高校、商業高校など)の特徴やメリットは次のようなものがあります。
専門高校・職業高校・実業高校の卒業後の進路
専門高校(職業高校・実業高校)を卒業した後の進路は専門分野によって変わってきます。高校を卒業後就職する人の割合が全般的に高い傾向があります。特に工業、水産、農業では就職する人の割合が多くなっています。
一方、看護では5年間学ぶことで国家試験を受験できるようになるため、就職ではなく、高校専攻科に進学する人の割合が多くなっています。情報も大学や専門学校などへの進学する人が比較的多くなっています。
学科 | 進学率 | 就職率 | |
---|---|---|---|
大学等 | 専門学校 | ||
(参考)普通科 | 63.8% | 14.5% | 8.3% |
農業 | 14.1% | 26.7% | 53.5% |
工業 | 14.5% | 12.7% | 67.9% |
商業 | 27.3% | 24.5% | 43.0% |
水産 | 16.7% | 13.2% | 64.0% |
家庭 | 25.8% | 29.1% | 38.4% |
看護 | 87.4% | 8.4% | 3.1% |
情報 | 39.1% | 28.2% | 24.8% |
福祉 | 19.2% | 25.3% | 49.1% |
(備考)全日制・定時制の2018年3月卒業者のデータです。大学等とは大学の学部・通信教育部・別科、短期大学の本科・通信教育部・別科、高等学校・特別支援学校高等部の専攻科を指します。
(出典)文部科学省「学校基本調査」を基にfromportal.comの担当者が作成
仕事に役立つ専門的な内容を学べる
専門高校では、国語や数学などの勉強も行いますが、仕事に役立つ専門的な内容を多く学べることが特徴です。働き始めてから直接的に役立つことを沢山学べるため、高校を卒業して就職する場合に生かすことができます。また、大学や専門学校に進学する場合でも、専門高校で学んだ内容を土台として更に深く学ぶことができます。
体験型の実験や実習が多く行われる
専門高校では、教室の机に座って話を聞く授業だけではなく、体験型の実験や実習が多く行われることも特徴です。実際に自分で見聞きし、体や手を動かすことになるので、仕事に関する技能を身に付けることができます。
資格の取得につながることがある
専門高校では、仕事に関する専門的なことを学びますが、学ぶ領域で関係する資格がある場合には、学校の授業が資格取得に役に立つ場合があります。また、看護では在学して学ぶこと自体が資格取得の要件の1つになっています。
高校卒業後に就職しやすい
専門高校を卒業してから就職する場合は、高校による就職の手厚いサポートが受けられることもあって就職しやすくなっています。高校を卒業してから働きたいという場合には、働きたい分野の専門高校に通うことで希望する仕事に就きやすくなります。
入学の選抜が厳しくない
多くの専門高校は受験がそれほど厳しくないため、入学しやすくなっています。そのため、専門高校は、仕事に関する専門性を高めながら、とりあえず高校に通いたいという場合の受け皿になっている側面もあります。
推薦入試や専門学科を対象とした特別の入試で大学に進学できる場合がある
専門高校では、大学などに推薦枠があって大学への進学がしやすくなっている場合があります。成績などの条件はありますが、大学進学を希望する場合には推薦は便利です。また、一部の大学は専門学科を対象とした特別な入試制度を準備している場合があります。
専門高校・職業高校・実業高校(農業高校・工業高校・商業高校・水産高校など)のデメリット
専門高校(農業高校、工業高校、商業高校など)のデメリットは次のようなものがあります。
大学進学に不利な場合がある
専門高校は、推薦入試制度や専門高校卒業者を対象とした特別な入試制度を利用して大学に進学する場合は問題ないのですが、一般的な入試を受験しようとする場合は不利になることがあります。専門高校は普通科の高校と比べると、国語や数学など受験に必要な教科の学習時間が短く、学習内容の範囲が狭くなっているため、自分で補って学習する必要ができています。
受験科目を重点的に勉強することができた普通科の高校生と比べると専門高校は大学進学で不利になることがあるのです。
専門を早く決めてしまうため正しく判断できないことがある
専門高校は、高校入学の段階で自分の専門を決めることになりますが、やりたいことは成長していくにつれて変化していくことがあります。色々なことを学び、経験を積んだ結果、やりたいことが変わるというのはよくあることです。しかし、専門高校は高校入学の時点で専門を決めてしまうため、自分自身が本当にやりたいことではなかったという場合も出てきます。
もちろん、大学進学時点などで専門を変えることは不可能ではないのですが、普通よりも労力がかかってしまいます。高校入学時で将来の選択をするのは早すぎる場合もあるのです。また、時代の変化によって、学んだことが役に立たなくなってしまうリスクもあります。
高卒で就職すると給与などの待遇が不利になりやすい
専門高校を卒業した人は就職する人も多いですが、高卒で就職すると給与などの待遇が悪くなり、生涯賃金が少なくなってしまうことがあるため注意が必要です。大学進学が一般的になっている中で、大卒と比べると、高卒の待遇はどうしても悪くなってしまいがちなので、高校を卒業してからすぐに働くのが良いのか慎重に見極める必要があります。
高校の段階で学べることには限界もある
専門高校では仕事に役立つ専門的な内容を学ぶことができるのがメリットですが、高校の段階で学べることには専門性の面で限界があることも事実です。大学などの高等教育での専門性と比べると、高校での専門性というのは限界があるのです。本当に専門的なことを学びたいのであれば、大学や専門学校などに進学して更に学んだ方が良い場合もあります。
(参考)専門高校・職業高校・実業高校の位置づけ
専門高校(専門高等学校)・職業高校(職業高等学校)・実業高校(実業高等学校)は現在の法令用語ではありませんが、高校に関してよく用いられる言葉です。文部科学省は「専門高校」という表現を良く用いています。
法律上の言葉の定義に関して、e-Gov電子政府の総合窓口の法令検索で法令用語検索により法令(法律・政令・省令等)の条文中で「専門高校」・「専門高等学校」・「職業高校」・「職業高等学校」・「実業高校」・「実業高等学校」の用語を検索すると、「職業高等学校」と「実業高等学校」で街頭がありました。
「職業高等学校」は「奄美群島の復帰に伴う文部省関係法令の適用の暫定措置等に関する政令」、「実業高等学校」は「沖縄の復帰に伴う文部省関係省令の適用の特別措置等に関する省令」で該当がありますが、過去に存在した「職業高等学校」や「実業高等学校」についての扱いを定めたもので、現在の学校制度に法令上位置付けられるものではありません。
ただし、文部科学省は農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉の職業に関する専門学科(職業学科)を置く高等学校を「専門高校」として紹介しており、現在の法令上の用語ではありませんが「専門高校」などの言葉は現在広く用いられています。(参考:専門高校パンフレット)
まとめ
- 専門高校、職業高校、実業高校とは、農業や工業、商業などの専門教科を多く学び専門教育を主として行う専門学科が設置されている高校のうち、特に職業に関する専門学科(職業学科)がある高校を意味します。
- 農業の専門学科が置かれている高校を農業高校、工業の専門学科が置かれている高校を工業高校、商業の専門学科が置かれている高校を商業高校と呼ぶことがあります。