大学と大学院(修士・博士課程)の中退(退学)・休学割合
記事作成日:2017年12月5日
大学の学部生(高等専門学校(高専)を除く・短期大学を含む)と大学院(修士課程(博士課程前期)、博士課程(博士課程後期))の大学院生の1年間での退学割合(中退割合、退学率、中退率)と休学割合(休学率)についてです。文部科学省の学生の中途退学や休学等の状況についてによると、大学と大学院の全ての学年を合計した結果で、中退した人の割合(中退率、2012年)は2.7%、休学した人の割合(休学率、2012年)は2.3%となっています。
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大学の中退割合(中退率、退学割合、退学率)・休学割合(休学率)
1年間に大学を中退した学部生の割合(中退率、退学割合、退学率)は2012年度のデータで2.6%となっています。一方、大学を休学していた学部生の割合(休学率)は、2012年度末(2013年3月末)時点で2.3%となっています。中途退学は年度を通じた1年間のデータ、休学は年度末時点の一時点のデータであることに注意が必要です。
大学(学部) | 中退割合 (中退率) | 休学割合 (休学率) |
---|---|---|
国立 | 1.2% | 2.5% |
公立 | 1.4% | 2.3% |
私立 | 2.9% | 1.9% |
合計 | 2.6% | 2.0% |
(注)高等専門学校(高専)を除き、短期大学(短大)を含みます。
(出典)文部科学省の学生の中途退学や休学等の状況についてを基にfromportal.comの担当者が加工して作成
国立大学・公立大学は休学が多く、私立大学は中退が多い
国立大学・公立大学・私立大学別の中退割合(中退率)と休学割合(休学率)をみると、国立大学と公立大学で休学割合が相対的に高く、私立大学では中退割合が相対的に高くなっています。
国立大学や公立大学では休学することによって授業料が基本的に免除されるため積極的に休学が利用される一方で、私立大学では休学をしても一定の授業料の支払いが発生することが多いため中途退学を選ぶ傾向が強いためと考えられます。
大学院の中退割合(中退率、退学割合、退学率)・休学割合(休学率)
1年間に大学院を中退した院生の割合(中退率、退学割合、退学率)は2012年度のデータで修士課程(博士課程前期)が3.1%、博士課程(博士課程後期)が5.4%となっています。
一方、大学院を休学していた大学院生の割合(休学率)は、2012年度末(2013年3月末)時点で修士課程(博士課程前期)が3.5%、博士課程(博士課程後期)が10.7%となっています。中途退学は年度を通じた1年間のデータ、休学は年度末時点の一時点のデータであることに注意が必要です。
大学院(修士) | 中退割合 (中退率) | 休学割合 (休学率) |
---|---|---|
国立 | 2.8% | 3.8% |
公立 | 2.5% | 4.1% |
私立 | 3.7% | 3.0% |
合計 | 3.1% | 3.5% |
(出典)文部科学省の学生の中途退学や休学等の状況についてを基にfromportal.comの担当者が加工して作成
大学院(博士) | 中退割合 (中退率) | 休学割合 (休学率) |
---|---|---|
国立 | 5.1% | 12.9% |
公立 | 5.6% | 8.6% |
私立 | 5.8% | 6.0% |
合計 | 5.4% | 10.7% |
(出典)文部科学省の学生の中途退学や休学等の状況についてを基にfromportal.comの担当者が加工して作成
大学の学部生よりも大学院生の中退割合・休学割合は高い
大学の学部生と比較すると大学院生の中退割合(中退率)と休学割合(休学率)は高くなっています。大学院に進学しているということは、既に大学を卒業していて学士の学位を取得しているため、就職で大学中退よりは不利にならないため、就職のため中退する人が増えるということが考えられます。
一方で休学の割合も増えていますが、何らかの事情で大学院で学業・研究活動を続けることが難しくなった場合には、せっかく大学院まで進学しているので、一時的に休学を選んで、休学の理由が解消・解決したら復学して修士号や博士号の取得を目指すという意図があるとみられます。また、大学の時よりも、一時的に休みたい、大学(院)の研究活動から離れたいと思う機会が増えている可能性も考えられます。
修士課程(博士課程前期)よりも博士課程(博士課程後期)の中退割合・休学割合が高い
大学院の中で、修士課程(博士課程前期)と博士課程(博士課程後期)を比較すると修士課程よりも博士課程の中退割合・休学割合が高い傾向があります。
博士課程になると年齢が上がってきて就職の選択肢が狭まってくること、博士課程を修了すると基本的には研究職に就くことになることなどから、研究に適性がない、研究に興味を失った、研究以外の分野で就職したい、民間企業で働きたい、といったような場合には就職するために中退する人が出てくるからと考えられます。
休学については、やはり博士課程まで来ているため、退学をしないで一旦立ち止まって考えるという人が増えること、博士課程まで進むと研究活動について一旦休みたくなる人が更に増えることなどが背景にあると考えられます。
国立や公立の大学院では休学が多く、私立の大学院では中退が多い
大学の学部生と同様に、国立・公立・私立の大学院別の中退割合(中退率)と休学割合(休学率)をみると、国立と公立の大学院では休学割合が相対的に高く、私立の大学院では中退割合が相対的に高い傾向があります。
大学の学部生と同様に、国立や公立の大学院では休学によって授業料免除が受けられる一方で、私立の大学院では休学の経済的なメリットが薄いということが背景にあると考えられます。
まとめ
- 大学や大学院の中退割合(中退率)と休学割合(休学率)は大学の学部、大学院の修士課程、大学院の博士課程の順に高くなります。
- 大学や大学院の中退割合(中退率)と休学割合(休学率)については、相対的に国立や公立の大学・大学院は休学割合が高く、私立の大学・大学院は中退割合が高くなっています。