高等専修学校(専修学校高等課程)とは・メリットとデメリット
記事作成日:2017年12月17日
最終更新日:2018年1月29日
高等専修学校とは職業や生活に関する教育を行う専修学校のうち高等課程を置く専修学校をいい、中学校や義務教育学校などを卒業した中学校卒業相当の人が入学することができます。専門課程を置く専修学校である専門学校に高等課程が置かれている場合もあります。卒業者数が多い分野は医療分野の准看護、衛生分野の調理などです。
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高等専修学校(専修学校高等課程)の特徴
高等専修学校(専修学校高等課程)は中学校等(中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校中学部)を卒業した人が入学することができます。高等専修学校は高等学校に近い教育機関であるため修業年限は通常は1~3年となっています。高等専修学校を卒業後は就職する人が多くいます。高等専修学校の特徴は次のとおりです。
高等専修学校の修業年限
高等専修学校の修業年限は通常は1~3年です。ただし3年を超える場合もあります。高等専修学校は高等学校に近い教育機関なので、修業年限が3年程度(3年以上4年未満)の割合が最も多くなっていて、続いて2年程度(2年以上3年未満)の割合が多くなっています。
(出典)文部科学省学校基本調査を基にfromportal.comの担当者が作成
高等専修学校で学ぶ分野
高等専修学校では工業関係、農業関係、医療関係、衛生関係、教育・社会福祉関係、商業実務関係、服飾・家政関係、文化・教養関係の8分野の学科が置かれています。
文部科学省の学校基本調査(平成29年度)によると2017年度間の分野別の専修学校高等課程(高等専修学校)の卒業者数は13,944人となっています。このうち卒業者数が多いのは、医療関係(准看護系の学科など)、商業実務関係(商業、情報系の学科など)、衛生関係(調理、美容、製菓・製パン系の学科など)となっています。
(出典)文部科学省学校基本調査を基にfromportal.comの担当者が作成
専門学校進学資格と大学入学資格
修業年限が3年生以上の高等専修学校を修了すると、専門学校(専修学校専門課程)に進学することができます。また、修業年限3年以上、総授業時数が2,590時間以上、普通科目の総授業数が420時間以上(12単位以上)など一定の条件を満たし、文部科学大臣の指定を受けている学科の修了者は大学入学資格を得ることができます。
技能連携制度と高等学校卒業資格
技能連携制度とは定時制または通信制の高等学校に在籍する生徒が、都道府県教育委員会の指定を受けた技能教育施設で教育を受けている時は、技能教育施設での学習を在籍している高等学校の教科の一部の履修とみなすことができる制度です。
都道府県教育委員会の指定を受けた技能教育施設は技能連携校と呼ばれ、高等専修学校が技能連携校の指定を受けている場合には、定時制または通信制の高等学校に在籍しながら、高等専修学校で学ぶことによって、高等学校卒業と高等専修学校修了の両方の卒業資格を得ることができます。
なお、技能連携制度と大学入学資格は直接的には関係なく、別の制度です。技能連携制度によって高等学校卒業の資格を得れば大学に進学することが可能です。
高等専修学校と高等学校等就学支援金や各都道府県の補助
高等専修学校は高等学校に相当する教育施設として扱われているため、国の制度である高等学校等就学支援金を受けることができます。また、各都道府県で補助金を支給している場合は補助を受けられる場合があります。
高等専修学校と資格
学ぶ分野によっては、卒業と同時に資格が得られたり(調理師)、受験資格を得られたり(自動車整備士(3級)、准看護師など)します。職業に関する資格が得やすいということが高等専修学校の特徴の1つです。
中学校等卒業後の進路としての高等専修学校
文部科学省の学校基本調査(平成29年度)から2017年3月の中学校、義務教育学校、特別支援学校中学部の卒業者及び中等教育学校前期課程のその後の進路をみると、高等専修学校に入学したのは2,484人、卒業者全体に対する割合は0.2%となっています。
中学校等を卒業した段階では、大半の人は高等学校等(高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校、特別支援学校高等部)に進学し、高等専修学校に進む人は少ないことが確認できます。
進路 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
高等学校(本科・別科) | 1,124,529 | 95.5% |
中等教育学校後期課程 | 5,468 | 0.5% |
高等専門学校(高専) | 10,509 | 0.9% |
特別支援学校高等部(本科・別科) | 22,954 | 1.9% |
専修学校高等課程 | 2,484 | 0.2% |
専修学校一般課程 | 360 | 0.0% |
各種学校 | 444 | 0.0% |
公共職業能力開発施設等 | 359 | 0.0% |
就職者 | 2,957 | 0.3% |
上記以外 | 7,650 | 0.6% |
不詳・死亡 | 134 | 0.0% |
合計 | 1,177,848 | 100.0% |
(注)中学校、義務教育学校、特別支援学校中学部の卒業者、中等教育学校前期課程の修了者の合計値です。中等教育学校前期課程の修了者のうち、専修学校一般課程等への入学者は専修学校一般課程と各種学校のいずれか確認できないため便宜上専修学校一般課程に分類しました。
(出典)文部科学省学校基本調査を基にfromportal.comの担当者が作成
高等専修学校卒業後の進路
高等専修学校を卒業した後は、学んだ内容を活かして就職する人が多くいます。また、更に専門的な内容を学ぶため専門学校(専修学校専門課程)に入学する場合があります。大学や短期大学に進学する人もいます。
(出典)文部科学省学校基本調査を基にfromportal.comの担当者が作成
高等専修学校のメリット
高等専修学校(専修学校高等課程)に入学するメリットについてです。
学習内容に関心・興味がある場合は学びやすい
高等学校の普通科とは異なり高等専修学校では専門的な内容を学びます。学習する内容に関心・興味がある場合は、学習意欲を維持しやすく、学習効果が高まる場合があります。
就職に結びついた学習内容
高等専修学校で学ぶ内容は職業に関する専門的な内容となるため就職に結びつきやすくなっています。そのため、特定の分野の仕事に就きやすい場合があります。また、就職後に高等専修学校で学んだ内容を活かすことができる機会も多くなります。
比較的入学しやすい
高等専修学校は、高等学校や高等専門学校と比べると、入学しやすい場合があります。高等学校や高等専門学校に進学するのが難しい場合には、代替の選択肢となる可能性があります。
高等専修学校のデメリット
高等専修学校(専修学校高等課程)に入学するデメリットについてです。
関心・興味が変化した場合は継続が難しい
高等専修学校では専門的な内容を学習しますが、自らの関心・興味が変化してしまった場合は、学習に対する意欲が低下していまう可能性があります。学習を続けていくことが困難になってしまう場合があります。別の学校等に入学し直さなければいけない場合もあります。
職業選択の幅が狭まる可能性がある
高等専修学校は中学を卒業した段階で進学する場合がありますが、15歳の若さで専門を絞ってしまうことで将来の職業選択の幅を狭めてしまう可能性があります。若いうちは職業に対する考え方が揺れ動いており、どんな職業に就きたいかという意識も変化していくことがあります。
学習内容が専門的であるため大学入試等では不利
高等専修学校で学ぶ内容は高等学校の普通科で学ぶ内容とは異なり専門的な内容となるため、一般の大学や短期大学の入試とは直接関係がない内容が多く含まれることになります。そのため、高等専修学校を修了した後、大学や短期大学に進学することを考えている場合は、入試の面で不利になることがあります。
中学校等卒業者の中では少数派
高等専修学校に入学する人は、中学校等卒業者の中では少数派となります。そのため、似通った境遇の友人や知り合いが少ないということが考えられます。同じような進路を取る人が少ないということは、高等専修学校への進学について、相談できる人や理解してもらえる人が少ない可能性があります。
まとめ
- 高等専修学校(専修学校高等課程)は中学校等を卒業した人に対して職業や生活などに関する教育を行う教育施設です。
- 高等専修学校(専修学校高等課程)では職業に関する内容を学習するため、就職に結びつきやすいという特徴がありますが、学んでいる内容に興味や関心を失ってしまうと学習意欲が低下したり、学び直しが必要になったりするなどのデメリットがあります。