収入と所得の違い・額面と手取りの違い
記事作成日:2016年4月19日
給与に関する言葉で収入と所得、額面と手取りというものがあります。収入とは企業から支払われる総支給額のことを、所得とは収入から経費などを差し引いた金額のことを、額面とは支払われる給与の総額のことを、手取りは額面から社会保険料や税金などを差し引いて実際に手元に入る金額の事を言います。
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収入と所得の違い
収入と所得の違いについてですが、税金の面から重要です。
収入とは
収入とは、入ってきたお金の総額、所得は収入から経費に相当する部分を差し引いた実質的に入ってきた金額ということになります。額面金額という言い方もします。
所得とは
所得とは、税法での概念で収入から収入を得るために必要な経費などを差し引いて、課税対象となる部分の金額のことです。収入がすごく多くても、収入を得るために多額の経費が掛かっていて、実質的に自分が自由にできるお金が少ないということがあり得るので、収入とは別に所得の概念が作られています。
収入-経費等=所得
収入は入ってきたお金そのものの金額です。所得は収入から経費などを引いた金額です。収入を得るためには経費が掛かっている場合があるため、収入金額に課税するのではなく、経費を差し引いた実質的に自由にできる金額(所得)に課税することがより適切であると考えられます。
そのため、収入から経費などを引いた所得を基本に計算されることになります。つまり、収入-経費等=所得となります。ただし、個人事業主と会社員や公務員などのサラリーマン、年金生活者で収入から差し引く経費などの部分が少し違っています。
個人事業主(自営業者)の場合
個人事業主(自営業者)は事業での売り上げによる収入(事業収入)から、事業を行うために必要となった仕入れや事務所などの賃料などの経費を差し引いたものが事業所得となります。事業収入のことを年商という場合もあります。
個人事業主の経費は、事業の規模や業種等によって大きく異なっているため、一律に決めてしまうと有利な場合と不利な場合が出てくるため、事業主が必要経費を計算して申告することになっています。事業所得は事業の収入から、計算した必要経費を引いたもの、つまり「事業収入」-「必要経費」=「事業所得」になります。
サラリーマンや公務員の場合
サラリーマンや公務員の人は給与をもらいます。働くことによって会社や国・地方公共団体などから、給料・賞与、俸給、残業代、各種手当などをもらいます。給与とは毎月の給料や俸給、賞与、各種手当などが含まれたものです。
サラリーマンにも勤務するための経費があるはずですが、計算を簡単にするため概算で必要経費を出すことになっています。1人1人が必要経費を算出するのは手間がかかり、申告をする側もされる側も事務が膨大で大変だからです。また、サラリーマン個人が負担するのは会社などの事業の経費ではなく、働くために必要な衣類、書籍、文房具、研修費、資格取得費、自己負担の通勤費などの経費になるため、一律に決めても大きな差は生じないだろうという判断も背景にあるとみられます。
ただし、実際の経費が概算の経費を超える場合には、実際に必要となった経費を差し引くことができる特定支出控除の制度もあります。
サラリーマンや公務員の場合には、給与から、給与収入に応じて計算される給与所得控除額を差し引くと給与所得になります。つまり「給与収入」-「給与所得控除額」=「給与所得」ということになります。
年金生活者の場合
年金生活者は国民年金や厚生年金などの年金をもらいますが、年金は所得税法上は雑所得という所得に分類される収入になります。そもそも公的な年金収入を課税対象とすべきかどうか考え方が分かれそうですが、年金も課税対象になります。
年金は、現役時代に支払った年金保険料などに対応してもらうものであって、必要な経費という概念が想像できませんが、年金を全額課税対象としてしまうと酷なので、年金収入から公的年金等控除額を差し引いたものが雑所得とされています。公的年金等でない雑所得の収入に分類される収入は公的年金等控除額を差し引くことはできません。代わりに必要経費を差し引ける場合があります。
雑所得に分類される収入は公的年金等だけではありませんが、「公的年金等の収入」-「公的年金等控除額」=「雑所得」(の一部)ということになります。他の雑所得があれば合算します。
額面と手取りの違い
給与では額面給与と手取り給与というような言い方をします。額面と手取りの違いについてです。
額面とは
額面とは、基本給、残業代、各種手当など企業等から支払われる給与の総額のことを示していて、社会保険料や税金などを差し引く前の金額のことをいいます。額面給与というような言い方もします。
求人の募集では、通常社会保険料や税金などを差し引く前の金額、額面給与が示されています。額面は、特に基本給という意味で使われるような場合もあります。
年収や月収といった場合には、社会保険料や税金などを差し引いた金額ではなく、差し引く前の額面を通常意味します。収入と所得という関係では、額面は収入と同じような意味になります。
手取りとは
手取りとは、額面から社会保険料や税金を差し引いて、実際に手に入るお金のことで、手取り収入、手取り給与とも言います。額面給与から企業などが健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料の社会保険料と所得税、住民税の税金などを天引きした残りが手取り給与です。
ただし、介護保険料は40歳から支払います。また、住民税は毎年、前年の所得に応じて6月から天引きとなるため、大学卒業後に新入社員として働き始めた場合、前年に大きな稼ぎがなければ1年目の支払いは通常ありません。企業によっては社宅の費用や組合費用、社内預金のお金などを天引きしている場合もあります。
額面と手取りの関係
額面給与と手取り給与の関係は、およそ額面の8割程度が手取りになります。ただし、所得税については所得が増えるほど税率が上がる累進課税となっているため、高給取りになるほど額面給与に対する手取り給与の割合が低下していきます。
まとめ
- 収入とは企業から支払われる総支給額のことで、所得とは収入から経費などを差し引いた金額のことです。
- 額面とは支払われる給与の総額のことで、手取りは額面から社会保険料や税金などを差し引いて実際に手元に入る金額の事です。