辞職・辞任・退職・退任の意味と違いや使い分け
記事作成日:2016年6月20日
辞職・辞任・退職・退任と言う似た言葉があります。辞職・辞任・退職・退任の4つの言葉は会社を辞めるというような意味で使えそうですが、それぞれ違う意味で使い分けられているので注意が必要です。ただし、厳密に使い分けられていない場合もあり、前後の文脈からどういう意味なのかを判断しなければいけない場合があります。最初の文字が「辞」なのか「退」なのかで自分の意思によらないのかどうか、2番目の文字が「職」なのか「任」なのかで何をやめるのかが違ってきます。
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辞職と退職の違い(「辞」か「退」か)
自分の意思があるかどうか
辞職も退職も職を辞めるという意味になりますが、通常は辞職は自分の意思で職を辞めることを意味し、退職は自分の意思で職を辞めることのほか、自分の意思によらず職を辞めることも意味します。例えば定年となって会社を辞める場合や会社が辞めさせる解雇の場合も退職するという言い方が用いられます。つまり辞職の方が意味する範囲が狭く、退職の方が意味する範囲が広くなります。
役職で使い分ける場合も
ただし辞職と退職は役職によって使い分ける場合があります。辞職は役員など会社で高い地位にある人が会社を辞める場合に用いられ、退職は役員以外の普通の職員・従業員が辞める場合に用いられることがあります。
一方的な雇用の契約の解約を辞職という場合も
会社を辞める場合には、雇用の契約の解約を一方的に申し入れて辞める場合と、会社に退職を願い出て承諾をもらい合意の上で解約をする場合がありますが、雇用を一方的に解約する場合を辞職と表現する場合があります。
辞職と辞任の違い(「職」か「任」か)
辞職と辞任の違いは辞めるものが「職」なのか「任」なのかの違いです。辞職も辞任も「退」ではなく「辞」なので、基本的には自分の意思に基づいて辞める場合に用いられます。「職」は職業そのものを指し、「任」は任務を指しています。通常は、辞職の場合には職業そのものを辞めてしまいますが、辞任は任務や役職を辞め、必ずしも職業そのものを辞めることを意味しないという使い分けがされます。
辞職と辞任の違いの例として国会議員である大臣が辞める場合がよく挙げられます。大臣を辞める場合を辞任、国会議員そのものを辞める場合のを辞職というように使い分けます。大臣が任務だという考え方によると思われます。しかし、国会議員でなく民間人でも大臣を務めることができますし、国会議員は立法府、大臣は行政府の立場の職業ですので、大臣を辞めるのも辞職ではないかという気もしますが、慣例的な使い方と理解するのが妥当だと考えられます。
退職と退任の違い(「職」か「任」か)
退職と退任の違いも辞職と辞任の関係と同じで、退くものが「職」なのか「任」なのかという違いです。職業そのものを辞める場合には退職、任務や役職を辞める場合には退任という言葉を用いることが一般的です。なお、普通の職員・従業員が会社や団体などを辞める場合には、退任とは言わず退職という表現が使われます。
商業登記の役員登記では「任」が用いられる
株式会社などの商業登記では取締役や監査役、代表取締役などの役員を登記しますが、登記の記録上は任期満了の場合は「退任」、解任した場合には「解任」、自ら辞めた場合は「辞任」というような表記がされます。取締役や監査役は任務・役職を指示しているため「職」ではなく「任」が用いられています。
まとめ
- 辞職・辞任・退職・退任の4つの言葉は同じような意味に思えてしまいますが、異なった意味で使われます。
- 「辞」とつく場合には自分の意思で辞めるという意味があり、「退」とつく場合には自分の意思で辞める場合も含まれますが、自分の意思によらずに辞める場合も含まれます。「職」とつく場合には職業そのものを辞めるという意味になり、「任」とつく場合には任務や地位を辞めるという意味になります。