学生のアルバイトの100万円・103万円・124万円・130万円の壁
記事作成日:2016年9月11日
学生でアルバイトをする場合に、給与収入が増えてくると住民税・所得税・社会保険料の負担が発生する場合があります。住民税は東京都23区の場合で100万円や124万円(自治体によって異なります)、所得税や社会保険料は130万円、親の扶養控除は103万円が分かれ目になります。学生のアルバイトの給与収入で気を付ける金額について説明します。
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100万円の壁:住民税の所得割・均等割が非課税かどうか
東京都23区内の場合には、所得割と均等割がともに非課税になる場合には、学生のアルバイトの場合は、勤労学生控除などの所得控除が差し引かれていない合計所得金額が35万円以下になる必要があります。
アルバイトで給与収入だけの場合には所得割と均等割が発生しないのは、給与所得控除65万円+非課税となる合計所得金額の上限35万円=100万円以下の場合です。100万円ちょうどはセーフです。
なお、東京都23区内は100万円が分かれ目ですが、自治体によって非課税となる金額は異なっています。
103万円の壁:親が扶養控除を利用できるかどうか
学生のアルバイトの場合、給与収入だけで103万円を超えると(103万円ちょうどはセーフ)扶養控除の適用対象となる親族ではなくなります。つまり、父親や母親などが扶養控除(所得税38万円か63万円(19歳~22歳)、住民税33万円か45万円(19~22歳))がうけられなくなり、父親などの所得税や住民税が増税となる場合があります。
自分自身に直接影響はないかもしれませんが、家族全体では手取りが減ることになるので注意が必要です。また、両親が扶養控除を使えないのを知らないまま税金の申告を行うことがないように、アルバイトでたくさん稼いだら連絡することも大切です。
124万円の壁:住民税の所得割が非課税かどうか
勤労学生の場合には、パートタイマーなどと違って自分自身の所得控除として勤労学生が適用できます。そのため、学生のアルバイトの給与収入の場合、住民税では所得控除として基礎控除33万円、勤労学生控除26万円が控除できます。
均等割が課税となった場合にでも、給与所得控除65万円+基礎控除33万円+勤労学生控除26万円=124万円までは所得割が発生しません。124万円ちょうどはセーフです。
130万円の壁:所得税が非課税かどうか、社会保険料が発生するかどうか
所得税
学生のアルバイトの場合、所得税では所得控除として基礎控除38万円、勤労学生控除27万円が控除できます。そのため、アルバイトの給与収入だけの場合、給与所得控除65万円+基礎控除38万円+勤労学生控除27万円=130万円までは所得税が非課税になります。130万円ちょうどはセーフです。
社会保険
給与収入が年間で130万円以上になると(実際には÷12の月収で判断することがある)、社会保険上の被扶養者ではなくなるため、自分自身が社会保険の被保険者となって加入することになります。そのため、国民健康保険と国民年金、または厚生年金保険と健康保険に加入することになりますが、社会保険料負担が発生することになります。
204.4万円の壁:未成年の場合に住民税の所得割・均等割が非課税かどうか
住民税の判断時点の1月1日現在に未成年者(1月2日が誕生日で成人する場合は非該当、1月3日が誕生日なら該当)で、前年の合計所得金額が125万円以下、給与収入のみの場合は204.4万円未満の場合は住民税の所得割・均等割が非課税になります。ちなみに給与収入2,043,000円(204.3万円)の給与所得は1,248,000円、給与収入2,044,000円(204.4万円)の給与所得は1,250,800円です。
学生のアルバイトは抑えるならいくらまでにした方がいいのか?
学生のアルバイトの給与収入で気にするべきなのは、103万円の壁と130万円の壁です。住民税の均等割が発生する100万円の壁は均等割が少額なのであまり気にする必要はありませんし、所得割が発生する124万円の壁も収入に応じて税金が増えていくので気にしてもどうしようもありません。しかし、103万円の壁は親の扶養控除がなくなる、130万円の壁は社会保険料の負担が発生するという意味で重要です。
103万円の壁の扶養控除は配偶者控除とは異なり配偶者特別控除のようなものがなく、103万円を超えると急激に親の所得税・住民税の負担が増加します。また、親が扶養しているのが19~22歳の子どもであれば扶養控除の金額も大きいので減税効果が大きく、なくなると税負担はそれなりの金額になります。
130万円の壁の社会保険料の負担は、学生自身にとって大きな負担になり手取りを減少させるので気を付けなければいけません。また、学生のアルバイトは厚生年金保険・健康保険に加入できずに、国民年金・国民健康保険に加入することになる場合もあり、厚生年金保険・健康保険のメリットを得づらいことにも注意が必要です。
そのため、学生のアルバイトでの給与収入を抑える場合には、103万円以下か130万円未満(月収でおよそ10.8万円以下)を目安にするのが良いでしょう。もちろん、壁を気にしないで稼げるだけ稼ぐということもありです。
まとめ
- 学生がアルバイトで収入を得る場合には、住民税の分かれ目の100万円・124万円の壁、所得税や社会保険料の分かれ目の130万円の壁、親の扶養控除の分かれ目の103万円が気を付けた方が良い年収額になります。
- 特に気にした方がいいのは103万円の親の扶養控除の壁と、130万円の社会保険料の壁です。ちょうど超えるか超えないか位であれば、超えないようにした方が良い場合があります。