資格は費用対効果を冷静に考えよう
記事作成日:2015年11月1日
資格の取得を考える場合は、勢いも大切ですが、取得するためにどれだけお金や時間、労力がかかるか、資格を取得するとどうなるのかを冷静に考える必要があります。後からでは時間やお金は取り戻せない場合があるからです。また資格を取得できないリスクについても考えておく必要があります。
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資格を取得した効果は?
資格で食える時代ではなくなったというようなことが言われます。弁護士や公認会計士でも資格取得者が増えた結果、競争が激化し収入が落ちているというようなことが言われます。
また、そのほかの資格でも企業や個人事業主が増えなくなったことから顧客が減ったことに加えて、専門的な情報がインターネット上で容易に手に入ることになったため専門的な情報の価値が減ったことなどから、食べられなくなっているというようなことが言われます。
過去には営業をしなくても事務所を開いているだけで仕事が舞い込んできたというような時代があったようですが、少なくともそのような夢のような仕事ではなくなっていますが、普通の業界になっただけといえばそれだけかもしれません。資格に幻想を持たずに冷静に業界での競争環境を見極める必要があります。期待しているほどは資格を取得した効果はないかもしれません。
それに、いつの時代であっても特定の仕事に過度に依存しているとその仕事が縮小していった時に大きなダメージを受けます。資格を取得すると、その資格でできる仕事だけに目が行ってしまいますが、それはリスクが高い事なのです。
しかし、資格の独占業務に限らず、時代の変化によってどのような業界でも市場が拡大したり、縮小したりすることはあります。それに、縮小している業界でもビジネスのやり方次第では儲けることも可能です。残存者利益という言葉があるくらいです。また、資格の独占業務は参入障壁が高いことも事実なので結局はどのようにビジネスを展開するかということに尽きていると思います。
役に立つ資格ほど取得が大変
特定の業務を独占している資格や法的に名称を独占している資格などで独立・開業することが出来たり、高収入が期待できたりする資格は、通常取得するまでに多くの時間やお金、労力がかかります。
有用な資格であるにもかかわらず、時間やお金、労力をかけなくても資格が簡単に取れてしまったら、資格を取得する人がどんどん増えて、過当競争になり資格の魅力が褪せていってしまうからです。
そのため、特定の業務を独占している資格や法的に名称を独占している資格を取得するためには長期間の勉強が必要になることが多いです。また、独学で勉強することが困難であったり、独学が可能でも参考書などに多額の費用がかかったりする場合もあります。勉強に力を入れなければいけないので、気持ちの面でも疲弊してしまいます。
資格が就職や転職、独立や開業に役に立つなら使ったお金の元をとるのは難しくはありませんが、資格のために使った時間の元を取るのはかなり大変だったりします。資格を取るために数年間を使っていて、その間普通に働くよりも抑えて働いていたか、働いていなかった場合、生涯賃金が下がっている可能性があります。また、勉強に集中するあまり、他の事が疎かになっていたかもしれません。家族や人間関係など、お金や時間以外で何かを失っていたかもしれません。
最終的に資格を取得するまでに失ってしまうものについても冷静に考えてから資格の勉強を始めましょう。
資格が取れないリスク
難関資格と呼ばれる資格の試験の合格率(%)は1桁台という資格が基本です。もちろん難関資格では受験している人にもかなりばらつきがあるので、合格に近い層はかなり絞られてくるため、実質的な競争率はそれほど高くはないこともあります。
しかし数%の合格を目指すということは合格しないリスクについても考えなければいけません。特に勉強を始めてからではなく、勉強を始める前に考えないといけません。司法試験はかなり合格率が低い試験ですが、1年程度で合格する人もいれば何年も勉強しないと合格できない人もいますし、結局合格できずに諦める人もいます。
合格できるまでにかかる年数も問題ですが、合格できなかった時はもっと問題です。仮に大学を卒業してから就職しないあるいはパートタイムで働いていて勉強に集中していたような場合には、合格できずに何も得られなかった場合、今後どのような仕事に就くのか真剣に悩まなければいけなくなります。
また、会社に勤めていても会社を辞めて勉強に集中する人がいます。会社を辞めてまで勉強する人は目標通り合格する人も多いのですが、合格できずに貯金を食いつぶしていってしまう人もいます。配偶者がいて稼ぎ手段が別にあればよいのですが、そうでない場合は家計が悲劇的な状況になる場合もあります。再就職が難し場合もあります。
資格を取ることで就職や転職、独立や開業につながることもありますが、難関資格である場合には資格が取れないリスクについて十分考慮しなければいけません。
まとめ
- 資格を取得する時は費用対効果を冷静に見極める必要があります。
- 資格取得の効果は競争の激化などにより思ったほど高くないことがあります。
- 資格を取得するためには膨大なお金や時間、労力を使うことがあります。失うものがあっても資格取得を目指すべきか考えなければいけません。また、資格を取得できないリスクを忘れてはいけません。