フランチャイズに加盟して起業するメリットとデメリット
記事作成日:2019年3月14日
フランチャイズに加盟して起業をすると、経営ノウハウや販売する商品の提供を受けることができるため、経験がなくても起業することができて、かつ失敗するリスクを減らすことができるというメリットがあります。一方で、フランチャイズで起業をすると、経営の自由度が下がるため本来の起業の姿とは違ってくることがあるほか、違約金があることなどによりフランチャイズ契約を途中で辞めづらいというデメリットがあります。
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フランチャイズに加盟して起業するメリット
フランチャイズに加盟して起業をすると経営ノウハウの提供を受けられる、販売する商品の提供を受けられるなどのメリットがあります。
経営ノウハウの提供を受けることができる
フランチャイズで起業をすると、フランチャイズ本部から仕入れ、売れ筋の商品、接客、店舗運営、立地、販売促進などに関するノウハウやマニュアルの提供を受けることができます。店舗のレイアウトや設備なども標準化されているため、自分で考える必要がありません。
経験がなくても起業できる
フランチャイズで起業すると、店舗運営などに必要なノウハウを提供してもらえるため、全く経験がなくてもスムーズに起業することができます。ビジネスを行うために必要なものはフランチャイズ本部から提供を受けることができるため、何も知らなくても起業できてしまうのです。
経営ノウハウの集積があるため失敗のリスクが下がる
フランチャイズによる起業では大抵の場合、フランチャイズ展開が既に行われていて、経営に関するノウハウが集められています。その経営ノウハウを活用して起業することができるため、自分で何もない状態から起業するよりも失敗するリスクを下げることができます。
自分で何から何までゼロの状態で始めるよりも、成功経験を積み重ねたノウハウに基づいて店舗運営を始めた方が成功しやすくなるのです。
経営のサポートを受けられる
フランチャイズで起業をすると、店舗経営を始めてからも会計、税務、労務、法務など経営上の専門的なサポートを受けることができるほか、店舗運営などに関する経営指導を受けることができます。また、店舗の運営上必要な従業員教育などについてもサポートを受けられます。
フランチャイズのブランドイメージを利用できる
フランチャイズで起業をすると既に出来上がっているフランチャイズのブランドイメージを活用してビジネスを行うことができます。何もない状態から起業するとブランドイメージは何もないため最初は集客に苦労するかもしれませんが、フランチャイズであればブランドの力を借りられるため、開業直後から効率的に集客を行うことができます。
商品の提供を受けられるため商品開発の必要がなく店舗運営や販売に専念できる
フランチャイズ契約をすると、販売する商品やサービスは本部が決めることになるため、自ら商品開発をする必要がなくなります。本部が売るように求めてきたものを売ればよいので、商品選びで頭を悩ませる必要がなくなるのです。
そのため、フランチャイズで起業すると店舗運営と販売に集中することができます。販売を中心にやりたいという起業家にとってはメリットとなります。
仕入れや設備のコスト面で有利になる
フランチャイズで起業すると、通常は同一フランチャイズ系列の店舗向けにまとめて仕入れが行われて各店舗に配られるため、まとまった金額の仕入れとなり、スケールメリットが出てきて、コストを下げることができます。
また、設備なども同一フランチャイズ系列内で統一されているため、やはりまとめて調達されるためスケールメリットが出て、コスト削減につながります。
ゼロから自分で全て調達するよりも、はるかに効率的に仕入れができたり、設備の調達ができたりするのです。そのため、開業資金が少なくて済むことがあります。
商品の仕入れをサポートしてもらえる
フランチャイズで起業すると事業内容にもよりますが、商品の仕入れのサポートを受けることができます。自分が何をどこからどれだけ仕入れるかということを考えなくても、本部が商品を選んで店舗まで届けてくれるのです。
物を販売するビジネスでは仕入れはとても重要ですが、本部が適切な商品を仕入れて届けてくれるので頭を悩ませる必要がありません。
本部が販売促進を行ってくれる
フランチャイズで起業すると、フランチャイズ本部が広告やキャンペーンなどの各種販売促進策を展開するため、自ら販売促進策を行わなくても、集客をしてもらうことができます。
一つ一つの店舗が広告費を負担して大々的に広告を打つということは難しいですが、本部がブランド全体の広告を打ってくれるのです。
融資などの資金調達がしやすくなる
フランチャイズは一定の実績がある場合が多いため、ゼロから何もない状態で起業するよりも成功する見込みがあると考えられることが一般的です。そのため、金融機関から融資を受ける場合、フランチャイズで起業した場合の方が融資を受けやすい場合があるのです。
融資する金融機関から見た場合、既に数多くの同一系列の店舗が展開されていれば、成功を見込みやすいため、お金を貸しやすくなるのです。
フランチャイズに加盟して起業するデメリット
フランチャイズに加盟して起業をすると販売する商品を自分で選べない、価格を自分の判断で下げられないなど経営の自由度が大きく低下することなどがデメリットです。
経営の自由度が下がる
フランチャイズは経営の自由度が大きく低下します。いわゆるマーケティングの4PであるProduct(商品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の全てに自由がない場合があります。
扱う商品はフランチャイズ本部が決めるため、自由に取り扱い商品を変えるわけにはいきません。価格も自分で勝手に変えることができません。流通においても仕入れや販路は自由に変えられませんし、営業日や営業時間も本部の指示に従わなければいけないこともあります。販促活動も本部の方針に沿って行わなければいけません。
フランチャイズでの起業は、経営に必要なノウハウを手っ取り早く手に入れられる反面、フランチャイズ契約に基づいて、本部の意向に沿って店舗運営を行わなければいけません。創意工夫で経営をするということは難しくなり、与えられた店舗を与えられたノウハウに従って運営するという側面が強くなります。
加盟金やロイヤリティの支払いが発生する
フランチャイズ契約では加盟する時に加盟金の支払いが発生します。また契約後に店舗運営を行うようになってからも継続的に本部に対してロイヤリティの支払いが必要になります。ロイヤリティをどうやって決めるかはフランチャイズ契約の内容によりますが、売り上げに応じて支払う場合は赤字であってもロイヤリティの支払いが必要になる場合があります。
売り上げが伸びず、経営的に苦しかったとしても、本部への支払いが発生し、厳しい状況に追い込まれてしまうことがあります。
ブランドが傷つくと悪影響を受ける
フランチャイズでの起業はブランドイメージを利用してビジネスができるという点はメリットなのですが、デメリットにもなりえる点に注意が必要です。
同じフランチャイズ展開をしている別の店舗で問題が発生した場合、フランチャイズ本部に何らかの問題が生じた場合などによりブランドイメージに傷がついた場合、自分の店舗に全く何の問題がなくても悪影響が及ぶ場合があります。
例えば、他の都道府県の全く知らない別のオーナーが運営する店舗で不祥事が発生した場合、自分の店舗でも客足が遠のいてしまうということがあり得るのです。自分の状況とは全く無関係にブランドイメージ悪化の影響を受ける可能性があるのです。
本部からの十分なサポートが得られない場合がある
フランチャイズで起業をするとフランチャイズ本部から経営に関する支援を受けられることが一般的ですが、本部がフランチャイズ加盟店の支援に熱心でない場合があります。商品や店舗運営上の問題が生じていて、本部に改善要請が届いていても十分な対応が行われない場合があるのです。
フランチャイズ本部はロイヤリティ収入があるため、極端なことを言えば、フランチャイズ加盟店の経営状況が悪化しても、店舗運営で問題が生じても、大きな問題とならない場合があるのです。
フランチャイズは経営面で大きな制約があるため、改善方法が思い浮かんでも自由に実行することができず、本部の許可を得なければいけない場合があります。しかし、本部が積極的に加盟店を支援しようとしない場合があるのです。
フランチャイズ本部と上下関係が生じる
フランチャイズで起業をすると、経営面の全般にわたってフランチャイズ本部に依存することになるほか、契約上本部よりも弱い立場に置かれることになるため、本部の意向に背くような経営ができなくなってしまい、フランチャイズ本部との事実上の上下関係が生じてしまいます。
せっかく起業によって独立して自由な経営者としてやっていくんだと考えていても、フランチャイズで起業をしてしまうと、本部の言うとおりに働かなければいけなくなってしまうため、サラリーマンとそれほど変わらない立場に陥ってしまうことがあります。
途中で契約解除をすると違約金が発生するため自由にやめられない
フランチャイズ契約では契約期間が設けられ、途中で解約をしようとすると違約金が発生してしまう場合があります。そのため、売り上げが振るわず、もう店を畳みたいと思っても自由にやめられない場合があるのです。
もちろん、違約金を覚悟でやめるということはできるのですが、経営が苦しいからこそやめたい訳ですから、違約金を払う余裕はないはずです。
フランチャイズ契約をすると、経営をやめる自由にも制約がかかってしまうことがあるのです。
契約終了後も守秘義務や競業避止義務の影響を受ける
フランチャイズ契約の中では契約によって得た情報を他に漏らさないという守秘義務や同業を営んではいけないという競業避止義務が含まれることが基本となります。
そのため、フランチャイズによる起業で経営ノウハウを得てから、フランチャイズをやめて自分で独自に店舗運営を行うということは基本的に難しいです。
フランチャイズによる経営での経験はフランチャイズ契約を続ける限りは活かすことができるかもしれませんが、自分がフランチャイズによらないでお店を持ちたいと思った場合には制約になってしまうことがあるのです。
他の同一フランチャイズ店舗が近くに出店することがある
フランチャイズ展開を行う本部の中には、近隣地域に集中的に出店し売り上げシェア(占有率)を高めようとするドミナント戦略を実行する場合があります。
そのため、自分が立ち上げた店舗の近くに同一フランチャイズ系列の店舗が別のオーナーによって誕生するということがあり得るのです。その場合には、お互いにお客を食い合うこととになってしまうため、売り上げが減少する可能性があります。
しかし、フランチャイズ本部は基本的に補償してくれませんし、更に同一フランチャイズ系列による出店を行う場合があります。
本部は本部の利益が高まるように動くため、必ずしもフランチャイズ加盟店の利益に配慮してくれるわけではないのです。
人を雇えないと自らが長時間働かなければならずブラック化する
フランチャイズで起業して店舗運営を行う場合、自分や自分の家族だけで店舗運営をすべて行うということは通常困難であるため、求められた営業日数や営業時間で営業するためには、人を雇わなければいけません。
しかし、売り上げが伸びないため余裕がない、求人を掛けても応募がないなどの理由によって人を十分に雇うことができない場合は店を開けるために自らが長時間働かなければいけなくなります。また、年末年始、深夜の時間帯など人手を集めづらい日や時間には自らが働かなければいけなくなる場合もあります。
そのため、店舗のオーナーであるにもかかわらず、フランチャイズ契約の内容に縛られてしまうため、長時間労働を強いられ、自らがブラックな労働をしなければいけなくなることがあるのです。
まとめ
- フランチャイズに加盟して起業をすると、経営ノウハウの提供を受けられる、販売する商品の提供を受けられる、といったメリットがあります。
- 一方でフランチャイズに加盟して起業をすると、経営面の自由度が著しく低下する、本部との上下関係ができてしまうなどのデメリットがあります。