会社員は仕事の成果がそのまま報酬・給与になるわけではない
記事作成日:2016年7月3日
ほとんどの会社員は仕事で成果を出しても成果がそのまま直接報酬につながるわけではありません。中には、自分が得た売上の一定割合が給与となる完全な成果連動報酬制になっている場合もありますが、ほとんどの会社員は自分の努力で売り上げが数千万円増えたとしても、給料が数千万円上がることは滅多にありません。数百万円も上がらないでしょう。
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会社員の給与は経営者次第
会社員の給与が定められることになる労働契約は使用者と労働者が合意することによって結ばれます。しかし、入社してからの給料や賞与は経営者の考えに左右されることになります。昇給や昇進は上司や経営者の評価次第で変わってきますし、毎月の給料の基準がそのものを増やすベースアップも経営者の意向次第です。
入社後の会社員の収入は、経営者の意向によって左右されるのです。極端な事を言えば、特別な労働契約を結んでいない限り、会社が利益をたくさん上げていたとしても、会社の利益に見合うだけ給与を多く支払う必要はないのです。
会社員がする仕事は経営者のため
経営者(使用者)と従業員(労働者)である会社員の立場は根本的に違います。経営者は従業員を労働力として使って事業を行います。事業の利益は経営者が配分を決めることになります。従業員は労働力としての対価をもらいますが、経営者は労働契約で定められた金額を支払えばいいわけで、儲かった利益を儲かっただけ従業員に還元する必要はありません。
会社員がしている仕事は、経営者あるいは会社の所有者である株主のために行っているのです。会社員が仕事で成果を上げたとしても、会社員の成果がそのまま報酬である給与になるのではなく、会社員の成果は一旦経営者のものになるのです。そして経営者が成果をどう配分するか決めるのです。
会社員の成果は給与に直接結びつかない
ほとんどの会社員の人は完全な成果連動型の給与になっていません。成果に連動した給与になっているといっても、成果を上げて評価が高まると一定割合給与が増えるといった仕組みになっていて、利益の一定割合をもらうというような給与体型にはなっていないことがほとんどです。
会社員が成果を上げれば、人事評価が良くなり、給与が増える可能性が高まりますが、経営者や上司の判断を一回経てから、給与が増える仕組みなのです。会社員の成果は直接給与に結びついていないのです。
仕事で努力して会社の利益を大幅にアップさせたとしても、給与が大きく増えるということは通常ありません。少し増えることはあります。酷い場合は全く増えない場合さえあります。経営者が利益から給与に配分するかどうかを決めるのです。
そのため、仕事で成果をたくさん出すことができる人は、会社員の給与の仕組みがもどかしいと感じる事があるかもしれません。
成果連動型の報酬がなじまない場合も多い
会社員の報酬が成果に直接連動していない場合が多いのは、成果連動型の報酬に馴染まない仕事も多いことが背景にあると考えられます。
自分が会社の売上をアップさせた、契約を取ってきたという場合でも、実際には商品・サービスの開発や前後の事務処理で周囲の人が間接的に貢献している場合も多くあります。会社員の場合、1人でしているように見える仕事も完全に1人でしていることはあまりなく間接的に別の人のサポートを受けていることがあり、完全な成果連動型の報酬制度、完全歩合制はなじまない場合もあります。
さらに、仕事の成果が売上や利益にどの程度貢献したか測定しづらい仕事もたくさんあります。営業での契約件数は直接的でわかりやすいですが、会社での仕事は直接売り上げに結び付く仕事ばかりではなく、内部の事務など営業をサポートするような仕事もたくさんあります。
逆に売り上げが伸びなくても給与はもらえる
会社員の成果が報酬に直接結びついていない事は悪い事のように思えるかもしれません。しかし、逆の事も言えます。
自分が売り上げに貢献しなくても、会社に出勤し定められた勤務時間働いていれば、問題などを起こさない限りは、労働契約で定められた給与が会社から支払われます。
極端な事を言えば、会社は売り上げがなくても、労働契約に定められた通り従業員に給与を支払わなければいけません。従業員がどれだけ稼いだかは関係ないのです。
会社の売上・利益と会社員の給与が連動していない事は、成果をたくさん上げている人から見ればデメリット以外の何物でもないかもしれません。しかし、裏を返してみると売り上げと連動していないために成果が上げられない時でも給与が得られるのです。人間は好調の時ばかりでなく不調な時もあるので、生活の安定という面からは成果に連動していない給与にもありがたみがあるのです。
まとめ
- 会社員は仕事の成果がそのまま給与に反映されることはあまりなく、成果で得られた利益は経営者が給与の形で配分して初めて会社員のものになります。
- 仕事の成果が直接給与に結びついていないということは、仕事で成果を上げている人から見れば不合理にも思えますが、仕事の成果に波があっても、安定的に給与がもらえるという点ではありがたい部分もあります。