パートと正社員の違い
記事作成日:2018年12月16日
パートと正社員の違いについてです。パートは、基本的に雇用期間の定めがある有期雇用の労働者で、正社員よりも労働日数や労働時間が少ないパートタイムの労働者です。一方、正社員は雇用期間の定めがない無期雇用の労働者で、労働日数や労働時間は通常の長さです。パートは、有期雇用のため雇用が不安定で給与水準も低いですが、労働日数や労働時間を調整しやすいという特徴があります。
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パートと正社員の違いのまとめ
雇用形態 | パート | 正社員 |
---|---|---|
雇用 | 不安定 | 安定 |
採用 | されやすい | されづらい |
労働時間 | 調整しやすい 短い | 調整しづらい 長い |
家事・育児 | 両立しやすい | 両立しづらい |
仕事の掛け持ち | しやすい | しづらい |
仕事内容 | 責任が軽い | 責任が重い |
給料 | 低い | 高い |
賞与・退職金 | 基本なし | ある場合も |
福利厚生 | 限定的 | 比較的充実 |
労働・社会保険 | 対象外の場合も | 原則加入 |
スキルアップ | しづらい | しやすい |
出世・昇給 | 限定的 | ある |
異動・転勤 | 少ない | ある |
地位・立場 | 低い | 高い |
経歴の評価 | 低い | 高い |
(備考)上記は比較的よくみられる事例を記したもので例外もあります。
(出典)fromportal.comの担当者が作成
パートと正社員の雇用の安定度合いの違い
パートと正社員の雇用の安定度合いの違いです。正社員の雇用は安定していますが、パートの雇用は不安定な場合があります。
パートの雇用の安定度合い
パートは基本的に雇用期間が決まっている有期雇用の労働者となります。そのため、契約期間が満了した場合に更新されず、職を失うリスクがあります。そのため、パートは雇用が不安定となってしまう可能性があります。
ただし、例外的に有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合は、労働者が申し込めば雇用期間の定めがない無期労働契約に転換することができるルールがあります。
正社員の雇用の安定度合い
正社員は雇用期間の定めがない無期雇用のため、自分から退職するか、問題を起こして解雇されない限り、定年まで働き続けることになります。
もちろん、会社の経営が傾いてしまえば、正社員であっても職を失う可能性はありますが、パートよりは雇用が安定していると言えます。
パートと正社員の採用のされやすさの違い
パートと正社員の採用のされやすさの違いについてです。正社員はなかなか採用されづらいですが、パートは未経験などの場合でも採用されやすい傾向があります。
パートの採用のされやすさ
パートは正社員と比べると比較的採用されやすいと言えます。パートは、単純な仕事、誰にでもできる仕事、マニュアル通りにやればできる仕事が多く、有期雇用なので契約期間が満了すれば辞めることになるため、慎重に採用を行わなくても問題が起きづらいと言えます。そのため、パートは未経験の場合、前の仕事を辞めてからの期間が長い場合などでも比較的採用されやすいのです。
正社員の採用のされやすさ
正社員はパートなどと比べると採用されづらいと言えます。新卒の時の就職でも、働き始めてからの転職でも、採用されづらいと言えます。
正社員は一度採用されると基本的に定年まで働き続けることになるため、企業側は慎重に採用を行います。また、正社員は会社の中核的な業務を担当することになるため、会社は能力が高い人を採用しようとします。また、転職者を採用する場合は、業務経験やこれまでの仕事での成果を重要視します。
パートと正社員の時間面での働きやすさの違い
パートと正社員の時間面での働きやすさの違いです。パートは労働日数や労働時間が短く、働く日数や時間を調整しやすい一方、正社員は仕事で拘束される時間が長いため、時間の面ではパートの方が働きやすいと言えます。
パートの時間面での働きやすさ
パートは、一週間のうち働く日数(曜日)や働く時間をある程度調整することができます。正社員とは違ってフルタイムではなく、パートタイム(少ない労働日数、短い労働時間)で働くため、何らかの事情で長時間働くことが難しい場合でも働きやすいと言えます。
一週間のうち2日だけ、3日だけといったような働き方も可能ですし、朝だけ働く、日中の短時間だけ働く、夕方だけ働くといったような働き方も可能です。
正社員の時間面での働きやすさ
正社員は基本的に通常の長さ、フルタイムで働くことになります。そのため、仕事がある日は自分の時間をあまり持てませんし、土日など仕事がない日(業種によって休みの日は異なります)は疲れをいやしたり、仕事がある日にできなかったことをしたりするため、やはり時間があまりありません。また、残業や休日出勤をしなければいけない場合もあります。
そのため、時間の面からは正社員は働きづらい部分があります。自分の時間がなかなか持ちづらいのです。
パートと正社員の家事や育児の違い
パートと正社員の家事や育児に関する違いです。パートは働く時間を調整しやすいため、仕事と家事や育児を両立させやすいと言えます。一方で正社員は仕事での拘束時間が長いため、仕事と家事や育児を両立させるのは難しいと言えます。
パートの家事や育児
パートで働くと、働く日数や時間を調整することができるため、仕事と家事や育児を両立させやすいと言えます。家事や育児があるため、時間の拘束が大きい正社員ではなく、パートを選択するという場合もあります。
ただし、働いた上で家事や育児もきちんとこなすというのは、体力面にも精神面にも非常に難しいことでもあります。単に時間が取れるから両方きちんとできるというものではないことに注意が必要です。
正社員の家事や育児
正社員は仕事の拘束時間が長くなるため、家事や育児の時間を取りづらくなってしまいます。そのため、いかに家事や育児を効率的に時間をかけないで行うかということが問題となります。また、育児はどうしても子どもを誰かが見てなければいけないため、保育園など自分ではない別の誰かに見てもらうということになります。
そのため、家事や育児に十分手が回らないか、家事や育児をある程度できても疲れ果ててしまうということがあります。夫婦で共働きの場合には、家事と育児の夫婦間での役割分担が上手くいっていないと、喧嘩の原因になってしまうことがあります。
パートと正社員の仕事の掛け持ちの違い
パートと正社員の仕事の掛け持ちの違いについてです。パートは仕事を複数掛け持ちすることが比較的容易ですが、正社員は掛け持ちが難しいです。
パートの仕事の掛け持ち
パートは働く日数や時間を調整することができ、副業・仕事の掛け持ちに対する制約も強くないことが多いため、他の仕事を掛け持ちしやすいと言えます。自ら事業を営みながら収入の足しにするためパートをするといったようなことや、パートを複数掛け持ちするといったようなこともしやすいと言えます。
正社員の仕事の掛け持ち
正社員は労働時間が長いため他の仕事をする時間的、体力的、精神的な余裕がないことがあります。また、就業規則によって副業に制限をかけている場合も多いです。そのため、パートと比べると仕事を掛け持ちする、副業をするということが難しい場合があります。
パートと正社員の仕事内容の違い
パートと正社員の仕事内容の違いについてです。正社員は責任が重い仕事、難しい仕事が中心となる一方で、パートは責任が軽い仕事、難しくない仕事が中心となります。
パートの仕事内容
パートの仕事内容は正社員と比べると、責任が軽い仕事、難易度が高くない仕事が中心となりがちです。専門的な業務を担当することは例外的で、どちらかといえばマニュアルに従って行う、誰もができるような仕事が多くなります。また、仕事の範囲も比較的狭く限られています。
そのため、自分自身が工夫をして成果を上げる余地が限られていて、仕事のやりがいを感じられないようなこともあります。一方で、責任をそれほど求められないため、気軽に働くことができるとも考えられます。
正社員の仕事内容
正社員の仕事内容は、パートなどと比較すると責任が重い仕事、難易度が高い仕事が中心となります。専門的な業務を担当することもあります。また、仕事の範囲は比較的幅広くなります。
自分自身が工夫をすることで成果を高めることができる場合もあるため、仕事のやりがいはパートよりも感じやすくなります。一方で、責任が重いため、仕事のプレッシャーやノルマに悩まされてしまうこともあります。
パートと正社員の給料(や賞与・退職金等)の違い
パートと正社員の給料、賞与、退職金の違いです。正社員は給料水準が高く、賞与(ボーナス)や退職金があることが多いです。パートは給与水準が低く、賞与(ボーナス)や退職金がないことが多いです。
パートの給料・賞与・退職金
パートの給料は基本的に時給制で、時間当たりの単価(時給)も正社員(の月給を時給換算した場合)より低く抑えられていることが多いです。パートが担当する業務は正社員とは異なり、難易度が低い仕事が中心となることや、人事異動・転勤がないことなどが背景です。また、時給制であるため、仕事のシフト、曜日並びや祝日の数などによって毎月の給料が変動することになります。
パートは賞与(ボーナス)が支給されることもありますが、支給されない場合も多く、支給されても正社員よりは少額であることが多いです。また、退職金や企業年金の対象となっていない場合も多く、対象となっていてもやはり少額となる傾向があります。
正社員の給料・賞与・退職金
正社員の給料は、基本的に月給制で、パートよりも高い傾向があります。正社員の仕事内容はパートよりも難易度が高いものが中心となること、人事異動や転勤があること、地位や立場がパートよりも高くなることなどが原因です。
月給制なので、曜日並びや祝日数が月ごとに違っても、残業以外の労働時間の長さによって毎月の給料が変動することは基本的にありません(成果給の場合を除く)。
また、正社員には賞与(ボーナス)、退職金がある場合が多いです。大企業の場合は、企業年金があることもあります。生涯賃金はパートよりもかなり多くなることが多いです。
パートと正社員の福利厚生制度の違い
パートと正社員の福利厚生制度の違いについてです。給料と同様に正社員の福利厚生制度は充実している傾向がありますが、パートはあまり充実していません。
パートの福利厚生
パートの福利厚生は正社員と比べるとあまり充実していない傾向があります。福利厚生制度がほとんどないか、あっても正社員と比べると限定されていることが多いです。
正社員の福利厚生
正社員の福利厚生制度はパートと比べると充実している傾向があります。手当、支援金、補助金などの金銭的なメリットがある場合や、特別な休暇制度などが整備されている場合があります。
パートと正社員の労働保険や社会保険の違い
パートと正社員の労働保険や社会保険の違いについてです。正社員は労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の対象となりますが、パートは雇用保険、健康保険、厚生年金保険に加入しない場合があります。
パートの労働保険や社会保険
労働保険の雇用保険、社会保険の健康保険や厚生年金保険は、週当たりの労働時間や労働日数などが条件となっているため、正社員よりも労働時間や労働日数が少ない場合があるパートは加入対象とならない場合があります。
労働保険や社会保険に加入しないと社会保険料(雇用保険料含む)が差し引かれないためその分手取りが少なくなることはありませんが、労働保険や社会保険から受けられる給付が少なくなります。
正社員の労働保険や社会保険
正社員は特殊な状況でない限り、原則として労働保険(労災保険・雇用保険)、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の対象となります。そのため、失業時、病気やけがで働けなくなった時、定年した後などに労働保険や社会保険から充実した給付を受けられる場合があります。
パートと正社員の研修やスキルアップの違い
パートと正社員の研修やスキルアップの違いについてです。会社は正社員に対しては積極的に人材育成を行う場合も多いですが、パートに対する人材育成にはあまり力を入れていない場合があります。
パートの研修やスキルアップ
パートは会社での人材育成がそれほど行われない場合が多いです。仕事に必要な最低限の研修が行われることはありますが、パートはいつか会社を去る可能性がある人であるため、会社は力を入れて人材育成を行わない場合も多いのです。
正社員とは違って、パートの場合は自己啓発や資格取得などに対して補助が行われることは少ないですし、人事異動がないため会社を辞めて別の仕事に就くなどしない限り異なる業務を経験する機会もありません。
パートは正社員とは違って、定型的な仕事、難易度が高くない仕事を任される傾向があるため、仕事を通じたスキルアップにも限界がある場合もあります。
正社員の研修やスキルアップ
正社員は会社での研修制度が充実している傾向があります。上司や先輩に教わりながら仕事を通じてスキルアップを図るOJTも計画的に行われることが多いですし、各種研修やセミナー(OFF-JT)なども行われることがあります。自己啓発や資格取得などに補助金や手当が支給されることもあります。
また、人事異動を通じて様々な部署を経験することで幅広い業務経験を積むことができます。出世することによって会社内での地位や立場が変わることで、色々な役割で仕事に関わることになります。
パートと正社員の出世や昇給の違い
パートと正社員の出世や昇給の違いについてです。正社員は出世して地位や立場が高くなり、給料も高くなっていきます。一方、パートは出世や昇給は限定的です。
パートの出世や昇給
パートの場合、出世をすることはほとんどありません。出世する制度があってもパートの範囲内での出世であって、正社員とはそもそも位置づけが異なる場合も少なくありません。そのため、出世をしても限定的で、正社員には及ばないことが多いです。
昇給についても同様で、労働意欲を高める目的や早期離職を防止する目的から昇給制度がある場合もありますが、正社員と比べると昇給に限界がある場合も多いです。
そのため、仕事でどれだけ頑張っても、どれだけ成果を出しても、十分に報われることがない場合もあるのです。
正社員の出世や昇給
正社員は仕事の成果や経験年数などを基に出世したりや昇給したりします。年功序列的な制度となっている場合、ある程度までは仕事の成果にあまり左右されず、自動的に出世・昇給する場合もあります。
会社に高く評価されれば、経営陣に加わるような場合もあります。そのため、仕事での努力が報われたと感じることがあるのです。
パートと正社員の人事異動・転勤の違い
パートと正社員の人事異動や転勤の違いについてです。パートは基本的に人事異動や転勤はほとんどありませんが、正社員は人事異動や転勤があります。
パートの人事異動や転勤
パートは人事異動や転勤がほとんどありません。お店で接客をするような場合、繁閑によって別のお店を手伝って欲しいというような形で働く場所が変わる場合もありますが、大きくは変わらないことが多いです。
そのため、基本的に同じ仕事、同じ勤務地で働くことになります。ライフプランとの調和を図りやすい働き方であると言えます。
正社員の人事異動や転勤
正社員は人事異動や転勤があります。大きな企業になると複数の事業所があるため、日本全国に転勤の可能性がある場合や、海外に転勤となる可能性があります。
勤務地が変わる転勤になると、配偶者や子どもなどの家族は同行するのか、同行する場合は配偶者の仕事や子どもの学校をどうするのか、マイホームを購入している場合はどうするのか、などの問題が発生します。そのため、正社員はライフプランを見通しづらいことがあります。
パートと正社員の地位や立場の違い
パートと正社員の地位や立場の違いについてです。正社員は会社の核を担う人材であること、出世をしていくことから、地位や立場は高くなります。一方でパートは地位や立場は低い傾向があります。
パートの職場での地位や立場
パートは、正社員とは異なり、出世が限定的であるため、地位や立場は低い傾向があります。どれだけ頑張っても出世は限られているため、出世できないことでやりがいを失ってしまうこともあります。地位や立場にこだわる場合にはパートという雇用形態は合っていないと言えます。
正社員の職場での地位や立場
正社員は、会社の中核的な業務を担う人材として位置付けられていることが多く、出世をして将来は幹部となることから、地位や立場は高くなる傾向があります。
パートと正社員の職務経歴に対する評価の違い
パートと正社員の職務経歴に対する評価の違いについてです。正社員の職務経歴は転職時に高く評価されますが、パートの評価は正社員と比較すると高くはありません。
パートの職務経歴に対する評価
パートの職務経歴については正社員ほどは評価されないことが多いです。そのため、パートから正社員になろうとしても、パートとしての経歴はそれほど評価されず、なかなか採用されない場合があります。
ただし、全く働いていない場合よりはパートであっても働いていた方が評価されるため、無職の場合よりはパートの経歴が有利に働くことがあります。
正社員の職務経歴に対する評価
正社員の職務経歴に対する評価はパートなどよりも高いため、転職をする場合に有利となります。同じ期間パートとして働いていた人と、正社員として働いていた人を比較すると、どうしても正社員として働いていた人の方が職務経歴に対する評価が高くなりがちなのです。
まとめ
- パートと正社員は、雇用期間が有期か無期かという点や、労働日数や労働時間が少ない(パートタイム)か多い(フルタイム)かという点などで違いがあります。
- 家事や育児と両立したいという場合には、正社員よりもパートの方が時間の調整がしやすいため、パートの方が都合がいい場合もあります。