正規雇用と非正規雇用(正社員と非正社員)の違いの比較
記事作成日:2018年11月29日
正規雇用と非正規雇用、正社員と非正規社員の違いやメリットとデメリットなどの比較についてです。正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)の最大の違いは雇用期間に定めがあるかないかです。つまり、正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)は基本的に無期雇用か有期雇用かで区別されます。また、正規雇用は会社の主力であるため、待遇が良くなり、責任ある仕事を任され、地位や立場が高くなる傾向があります。
スポンサーリンク
正規雇用(正社員)とは
正規雇用(正社員)とは、定年を除いて雇用期間の定めがない無期雇用契約を結んで働く労働者のことを意味します。
正社員には、労働日数や労働時間が通常より短い短時間正社員や、勤務地が限定されていて転勤がない勤務地限定正社員、職務が限定されていて仕事内容が異なる立場への人事異動が限られる職務限定正社員が含まれますが、一般的にはフルタイム働き、転勤や人事異動に制約がない労働者を正社員と呼ぶことが多いです。
非正規雇用(非正社員)とは
非正規雇用(非正社員)とは、雇用期間の定めがある有期雇用契約を結んで働く労働者のことを意味します。非正規雇用(非正社員)の種類には、契約社員、派遣社員、嘱託社員、パート(パート社員)、アルバイト(アルバイト社員)、非常勤職員(非常勤社員)、臨時職員(臨時社員)などがあります。
非正規雇用(非正社員)の種類ごとの特徴
契約社員は、基本的に正社員と同様にフルタイムで働きますが、雇用期間の定めがあるため、一定期間経過後に契約満了を迎えます。
派遣社員は、基本的に正社員と同様にフルタイムで働きますが、派遣会社から一定の期間派遣されてくる社員です。
嘱託社員は、定年を迎えた人が再雇用されて働く社員などを指し、通常雇用期間の定めがあります。労働日数や労働時間は短い場合があります(パートタイム労働者)。
パート(パート社員)やアルバイト(アルバイト社員)は、労働日数や労働時間が短い労働者で、基本的に雇用期間の定めがあります。パートは主婦、アルバイトは学生を雇う場合に主に使われますが、厳密な区分はありません。
非常勤職員(非常勤社員)や臨時職員(臨時社員)は、一定の雇用期間を定めて雇われる労働者で、一時的な雇用となります。フルタイムの場合もあれば、パートタイムの場合もあります。
正規雇用と非正規雇用の違い
正規雇用と非正規雇用の主な違いは雇用期間、給与などの待遇、仕事の内容、職務上の地位となります。
雇用期間の有無
正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)の最大の違いは、雇用期間の定めがない無期雇用か、雇用期間の定めがある有期雇用かということです。
正規雇用(正社員)は、自分から辞める(退職)か、辞めさせられる(解雇)か、会社が倒産しない限り、定年までその会社で働き続けることができます。そのため、雇用の面では安定しています。
一方、非正規雇用(非正社員)は、雇用期間が満了した場合に更新されないと職を失うことになります。契約期間の満期を迎えるたびに、契約が更新されるかどうか、不安になってしまうことがあり、雇用が不安定になることがあります。
給与などの待遇
正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)では、給与・賞与(ボーナス)・退職金・福利厚生などの待遇面で扱いが異なります。
一般的に正規雇用(正社員)の方が待遇が恵まれています。毎月の給料は基本的に月給制で、曜日並びや祝日の数などによる労働日数や労働時間の増減に影響を受けることがなくなります。また、正規雇用(正社員)は賞与(ボーナス)の支給を受けられることがあるほか、退職金や企業年金がもらえる場合もあります。福利厚生制度も充実している場合があります。
一方、非正規雇用(非正社員)は待遇で正規雇用(正社員)に劣る場合が多いです。給与が月給制ではなく、時給制の場合があるため、曜日並びや祝日の数などによって労働日数や労働時間が変化すると、毎月の収入も影響を受けるため、収入が不安定になることがあります。賞与・退職金・企業年金などはないこともありますし、福利厚生制度も正規雇用(正社員)と同じではないことがあります。
仕事の内容
正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)では、任せられる仕事の内容や責任の重さが変わってきます。
多くの会社では正規雇用(正社員)を基幹的な戦力、幹部候補と位置付けているため、正規雇用(正社員)に重要な仕事や管理的な仕事を任せる傾向があります。知識やスキルが必要な仕事、経験が必要な仕事、高度に専門的な仕事、やりがいがある仕事などは、正規雇用(正社員)が担当する傾向があります。責任も正規雇用(正社員)の方が重くなります。
非正規雇用(非正社員)はいずれ会社を去る労働者であるため、重要な仕事をあまり任せない傾向があり、責任も軽くなります。単純な仕事、反復継続的な仕事、下請け作業的な仕事、誰にでもできる仕事、マニュアルに沿って行う仕事、知識やスキルをあまり必要としない仕事、専門的ではない仕事などを任せられる傾向があります。
職務上の地位
正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)では、正規雇用(正社員)が主力と位置付けられることが多く、職務上の地位や立場に違いが出てきます。
正規雇用(正社員)は非正規雇用(非正社員)よりも職務上の地位や立場が高く、指導的な役割を担うことが多くなります。正規雇用(正社員)は会社を支える重要な労働者である一方、非正規雇用(非正社員)は雇用期間に限りがある一時的な労働者で、いずれ会社からいなくなる存在であるという位置づけのためです。
そのため、正規雇用(正社員)は出世や昇進、昇給などに期待ができますが、非正規雇用(非正社員)は出世や昇進、昇給についてあまり期待することができません。
成果を出しても非正規雇用(非正社員)はあまり報われないのです。
正規雇用と非正規雇用の違いの比較
正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)のメリットやデメリットなどの違いを比較したものが次の表になります。下記の表は、よくありがちな正規雇用(正規社員)と非正規雇用(非正社員)について記述していますが、会社によって扱いが異なる場合があり、必ずしも下記の表の通りにならない場合もあることにご注意ください。あくまで典型的な正規雇用(正規社員)と非正規雇用(非正社員)の扱いについて記載したものです。
違い | 正規雇用 (正社員) | 非正規雇用 (非正規社員) |
---|---|---|
雇用期間 | 無期 | 有期 |
給与水準 | 高め | 低め |
給与制度 | 原則月給制 | 時給制の場合あり |
賞与 | 基本あり | ないことも |
退職金 | あることが多い | あまりない |
地位・立場 | 高い | 低い |
仕事内容 | 難しい仕事 | 簡単な仕事 |
仕事の責任 | 重い | 軽い |
福利厚生 | 恵まれている | 恵まれていない |
研修 | 多い | 少ない |
異動・転勤 | 多い | 少ない |
昇進・昇給 | あり | 限定的 |
有給休暇 | 取りやすい | 取りづらい |
社会保険 | 加入対象 | 加入対象外のことも |
社会的信用 | 高い | 低い |
(出典)fromportal.comの担当者が作成
正規雇用と非正規雇用の雇用期間の違い
正規雇用(正社員)は無期雇用で、非正規雇用(非正社員)は有期雇用です。正規雇用(正社員)の方が安定していると言えます。
正規雇用と非正規雇用の給与水準の違い
正規雇用(正社員)は給与水準が高く、非正規雇用(非正社員)は給与水準が低い傾向があります。金銭面では、正規雇用(正社員)が有利です。
正規雇用と非正規雇用の給与制度の違い
正規雇用(正社員)は原則月給制で、非正規雇用(非正社員)は月給制のこともありますが、時給制の場合もあります。時給制は月の平日の日数に収入が左右されるため不安定です。
正規雇用と非正規雇用の賞与(ボーナス)の違い
正規雇用(正社員)は賞与(ボーナス)をもらえる場合が多いです。もちろん、会社によってはないこともあります。非正規雇用(非正社員)は賞与(ボーナス)がないことが多いです。もらえる場合もありますが、正社員よりは金額が少なくなります。
正規雇用と非正規雇用の退職金・企業年金の違い
正規雇用(正社員)は退職金や企業年金(大企業の場合が多い)をもらえることがあります。非正規雇用(非正社員)は退職金などをもらえないことも多いです。
正規雇用と非正規雇用の地位・立場の違い
正規雇用(正社員)の職場での地位や立場は高く、非正規雇用(非正社員)の地位や立場は低いという傾向があります。
正規雇用と非正規雇用の仕事内容の違い
正規雇用(正社員)は、難しい仕事、高度な仕事を担当し、非正規雇用(非正社員)は、簡単な仕事、誰にでもできる仕事を担当する傾向があります。ただし、非正規雇用(非正社員)でも専門的な役割を期待されていることもあります。
正規雇用と非正規雇用の仕事の責任の違い
正規雇用(正社員)は、会社の主な戦力であり仕事の責任は重くなる傾向があり、非正規雇用(非正社員)はいずれいなくなる社員とみられているため仕事の責任は軽くなる傾向があります。
正規雇用と非正規雇用の福利厚生の違い
正規雇用(正社員)は福利厚生制度が充実しており、非正規雇用(非正社員)はあまり福利厚生制度が充実していないという傾向があります。
正規雇用と非正規雇用の研修の違い
正規雇用(正社員)は長期的な育成計画の下、計画的な研修が行われることもあり、研修は充実している傾向があります。非正規雇用(非正社員)には最低限の研修しか行われないことも多いです。
正規雇用と非正規雇用の異動・転勤の違い
正規雇用(正社員)は人事異動や転勤が多いため、ライフプランが見通しづらいことがあります。非正規雇用(非正社員)は人事異動や転勤は少ないため、家族の都合に合わせて働きやすい側面があります。
正規雇用と非正規雇用の昇進・昇給の違い
正規雇用(正社員)は仕事の成果や勤続年数などに応じて昇進や昇給が期待できることが多いですが、非正規雇用(非正社員)は昇進や昇給はほとんど期待できないか、あっても正規雇用(正社員)よりは限定的です。
正規雇用と非正規雇用の有給休暇の違い
正規雇用(正社員)は、有給休暇が取りやすい一方、非正規雇用(非正社員)は有給休暇の制度があっても正規雇用(正社員)と比べると事実上取りづらいことがあります。
正規雇用と非正規雇用の社会保険の違い
正規雇用(正社員)は雇用保険、健康保険、厚生年金保険などの(労働保険を含む広義の)社会保険に原則加入しますが、非正規雇用(非正社員)は労働時間数などによっては加入対象外となることもあります。
正規雇用と非正規雇用の社会的信用の違い
正規雇用(正社員)の社会的信用は高いため住宅ローンなどを借りやすいですが、非正規雇用(非正社員)は社会的信用が低く融資などを受けづらいと言えます。
まとめ
- 正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)は、基本的に雇用期間に定めがないか(無期雇用)、定めがあるか(有期雇用)で区別されます。
- 正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)は、給与などの待遇、仕事の内容、職務上の地位などが異なります。