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労働集約型と資本集約型の違いと知識集約型

記事作成日:2015年12月30日

ビジネス(産業)の特徴として労働集約的なのか資本集約的なのかと分ける考え方があります。また、労働集約型の一形態として知識集約型のビジネスがあります。労働集約的な仕事は、海外の安い労働力か、ロボットや人工知能(AI)に置き換えられていく可能性があります。ビジネスがどんな仕組みで成り立っているかを考えると、将来の姿が想像しやすくなります。

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労働集約型(労働集約的)産業とは

労働集約型(労働集約的)産業とは

労働集約型産業とは、事業活動の主要な部分を労働力に頼っていて、売上高に対する人件費の比率が高くなる産業の事を意味しています。売上を増やそうとするとその分労働者が必要になる産業です。

フロービジネス(フロー型ビジネス)と似てるようにも思えますが、イコールではありません。フロービジネスであっても労働集約的ではないビジネスがありますし、労働集約型産業が必ずフロービジネスであるとも限りません。

労働集約型産業の具体例

近年で最も分かりやすい労働集約型産業の例は介護産業です。高齢者の人を介護するために、人手が必要となります。介護しようとする高齢者の人が増えたら人手を増やさないと仕事が回らなくなります。

機械化が進む前の製造業は典型的な労働集約型産業でした。労働者が手作業で物を作っていくため労働者の分しか生産活動が出来なかったためです。現在でも職人の技が必要で機械化ができない製造業は労働集約型産業ということになります。

飲食店や宿泊業、トラックやタクシーの運転手、大規模化や機械化が進んでいない形態での農業、建設業なども労働集約的な側面があります。

機械化やシステム化が進むと労働集約型ではなくなる

ただし、労働集約型の産業も機械化やシステム化が進むと労働集約型の産業ではなくなります。少し昔には電話をかける時には電話交換手が電話をつないでいて典型的な労働集約型産業だったわけですが、今は基本的に自動化されていて人手はいらなくなっています。

介護産業であっても、介護ロボットが誕生して人手がかからなくなる日が来るかもしれません。運転手に至っては近い将来自動運転の実用化が実現される可能性もあります。

売上の増加には人件費の積み上げが必要

労働集約型産業では、資本集約型産業のように設備投資をしたらあとは維持管理コストだけで事業活動ができるというようなわけにはいきません。事業を拡大して売り上げを増加させるためには人を雇わなければいけないのです。そのため、サービス提供量を増やしていかないとなかなか利益がでないことになります。

フロービジネスと同じで売り上げを伸ばすためにはその分誰かが働かなければならないので、生産性をなかなか上げることができないという部分があります。いわゆる売上が増えると変動費も増えるというパターンです。

資本集約型(資本集約的)産業とは

資本集約型(資本集約的)産業とは

資本集約型産業とは、労働力が事業の中心となる労働集約型とは異なり、資本が事業の中心となる産業です。資本集約型産業の資本とは、事業活動の基となるお金というような意味もありますが、資本集約型産業といった場合の資本は固定資本、つまり生産設備のことを意味していると考えると分かりやすいと思います。お金、つまり資本を集中して投入するという意味でも資本集約型産業と考えることができます。設備投資は多額となりますが、売上高に占める人件費の比率は低くなります。

なお、資本集約型産業とはストックビジネス(ストック型ビジネス)と似ていますが、同じではありません。資本集約型産業であってもストックビジネスではない場合がありますし、ストックビジネスであれば必ず資本集約的であるわけでもありません。

資本集約型産業の具体例

資本集約型産業の分かりやすい例が、機械化が進んだ製造業です。工場を建設して、生産設備を準備してしまえば、維持や管理を行うための僅かな労働者で、事業を続けていくことができます。

また、大規模なインフラを整備する電気業やガス業も資本集約型産業です。電気業は電力を提供するための発電所と電線網を整備すれば、維持管理のコストをかければ事業活動を継続していくことができます。ガス業も導管で都市ガスを提供するような形態であれば資本集約型産業となります。逆に導管網を整備しないで個々の家のガスボンベを定期的に交換しなければいけない事業形態をとるプロパンガス業は労働集約的な側面があります。

工業化や情報化の進展で資本集約型産業が増えていく

工業化による機械化や情報化によるITを活用した事業活動が一般的になると、人手に頼らなくてもよい部分が増えてきます。近年では人工知能の研究も進んでおり、将来はコンピューターやロボットが人間の行っていた仕事の一部を担当することになると考えられています。

機械などでの代替が難しいと言われている産業もありますが、様々な産業で機械化は進んでいるため、労働集約型産業から資本集約型産業へと転換が進んでいくと考えられます。

売上が増えると利益が増えやすい

資本集約型産業は、事業活動を行うために設備投資などお金が必要になりますが、一度投資を済ませてしまうとその後の人件費は抑えることができるため、売り上げが伸びても人件費を中心とする変動費はそれほど伸びていきません。そのため、売上が増えるほど利益が増えやすいという特徴があります。

知識集約型産業とは

知識集約型産業とは

基本的には労働集約型産業か資本集約型産業かという切り口なのですが、近年では知識集約型産業という言葉も聞かれるようになりました。知識集約型産業とは、知識労働、頭脳労働が事業の中心となる産業の事です。人の労働が必要という意味では労働集約型産業の一形態で、付加価値をつけやすく、差別化を図りやすい産業ということになります。

知識集約型産業の具体例

研究開発が物やサービスを生み出す源泉となる医薬品製造業や情報サービス業は典型的な知識集約型産業であると考えられます。医薬品は研究開発によって生み出されるものですし、インターネット関連のサービスやソフトウェアは頭脳労働によって生み出されたサービスです。また、デザインやファッションの分野も知識集約型産業になると考えらえます。更には弁護士や公認会計士、コンサルティングなども専門知識が必要になるため知識集約型産業と考えられます。

知識集約型産業も人手が要らなくなるかも

知識集約型産業はデザイン、専門知識、研究開発などが必要な産業ですが、これらはシステム化や人工知能による代替が進む可能性があります。知識集約型産業は、人手が必要という意味で労働集約型産業の一種ですが将来は労働集約型ではなくなるかもしれません。

知識集約型産業も売り上げ拡大には人手が必要

知識集約型産業は、専門的な能力や知識が必要となることから参入障壁が高めで、商品やサービスの均一化や標準化がしづらいことから販売価格も維持しやすいという特徴があります。そのため、賃金、すなわち労働単価は高くすることもできるのですが、人が行わなければいけない部分があるため、人手を集めないと売り上げ拡大が難しいという労働集約型産業の宿命を背負っています。

まとめ

  • 労働集約型(労働集約的)産業とは、事業活動にとって労働力が重要で売上高に対する人件費の比率が高い産業です。
  • 資本集約型(資本集約的)産業とは、事業活動の中心が生産設備であって多くの労働力を必要としない産業です。
  • 知識集約型産業は、専門知識やデザイン、研究開発など知識労働に関する産業で、人手を必要とする産業です。労働集約型産業の一種と考えることができます。

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【労働集約型と資本集約型の違いと知識集約型の記事は終わりです】

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