大企業病に罹った企業で働くことの問題点
記事作成日:2015年7月12日
会社の規模が大きくなると組織が大きくなり、分かれていくことによる様々な弊害が出てきます。大企業病が蔓延した会社で働くとモチベーションの低下などを招く可能性があります。大企業で働く人にとっては、内向きの仕事が増える、部分最適に陥る、仕事の流れが分からない、など仕事のやりがいが失われてしまう場合があります。
スポンサーリンク
大企業病とは
大企業病とは、規模の大きい企業でよく見られる現象で、組織が大きくなりいくつもの部署に分かれることによって起きる非効率な組織における問題のことです。大企業病の問題点には次のようなものがあります。
意思決定に時間がかかってしまう
大企業になると意思決定の速度が大きく落ちてしまうことがあります。何か物事を決める時には数多くの人の了承を得なければならなくなってしまい、意見調整や内部会議、稟議の決済などで多くの時間を取られてしまうことがあります。
世の中の流行や、技術の変化が早くなってしまった現代では意思決定に時間がかかってしまうということは大きな問題となることがあります。
縦割り主義、セクショナリズムに陥る
大企業になって組織が大きくなると様々な部門ができます。その結果、お互いの部門が自分の利益に拘ってしまい、他の部門と強調するようなことが無くなってしまい、全体の利益が重視されなくなっていってしまいます。
部門間の競争意識が強いと社内で足の引っ張り合いをしてしまうことになってしまい、社員はますます社内政治に目を向けることになってしまいます。
挑戦をしなくなってしまう
社内の政治力学で足の引っ張り合いとなってしまい、新たなチャレンジを評価するよりも失敗を非難する減点主義の文化が蔓延してしまうことがあります。そうすると誰もが新しいチャレンジをしなくなり、無難なプロジェクト、失敗しないようなプロジェクトばかりに取り組むようになってしまいます。
予算や目標もゴールを見据えて十分に達成可能な安全な内容となってしまい、余裕のあるものとなってしまいます。
仕事が社内事情優先で進む
顧客との商談でも社内事情優先で進んでしまいます。顧客の要望に対しても、社内の稟議が間に合わない、社内ルールでできない、社内の会議で承認されないといけない、社内手続きで時間が必要など、社内事情を優先して取り合わないというような場合が増えてきます。
大企業のブランドがあるため、社内事情を前面に押し出しても商談は成立してしまいますが、顧客には不満が溜まっていくことになります。類似する商品やサービスを提供する企業が現れた場合、何かのきっかけで一気に別の企業に顧客が流れて行ってしまう可能性が高まります。
内向きの仕事が多くなる
大企業病に罹ってしまうと、内部会議が多くなります。そしれ内部会議のための資料作成や意見調整の仕事が多くなります。内部会議のための資料であっても資料の細かなレイアウトや文章表現にこだわるようになってしまい膨大な時間を取られます。
顧客向けの資料よりも内部向け資料に力を入れる企業に至ってはもはやどこを向いて仕事をしているのか分からなくなってしまいます。
また、近年の内部統制体制の構築、コンプライアンス意識の高まり、情報セキュリティ強化の流れから社内ルールの整備が進んでいますが、ルールへの対応、ルール周知のための勉強会、社内のルールに対応するための部内のルールの整備など内向きの仕事が増えています。社内のルールや規定の整備は重要なことですが、行き過ぎてしまっている場合が多くあります。
管理職と現場の意見が乖離する
部長など責任者は多くの内部会議への出席を要請され、部内の業務のマネージメントよりも社内政治に駆り出される時間が長くなります。そうすると、部の人間はなかなか上司に相談できない状況になり、上層部と現場の意識の乖離が激しくなっていきます。
課長や次長などの中間的な管理職は上司に相談する情報を選別するようになり現場の実態が伝わりづらくなってしまうことがあります。上層部の指示が実態に全くあっていない物であっても事なかれ主義から見直しの意見はほとんど上がらず、多くの人が疑問を感じながら、方向性を間違ってしまった指示に沿って物事が動いていく場合があります。
責任の所在が不明確となる
大企業では一人だけの意思決定で物事が動くことは通常ありません。社長や役員が決定権者となっている場合でも、課長、部長、本部長、役員、副社長など段階を重ねて稟議で決裁したり、複数の部長の合議制の会議で意思決定をしたりする場合がほとんどです。
複数の人間がチェックして妥当性を検証するという意味では合理性があるのですが、多くの場合意思決定に関わっている人は自分の問題としてとらえず、多くの人が賛同しているのだから間違いないといったように、何となく承認してしまいます。
後日問題が発覚しても多くの人が承認印を押してしまっているので責任が誰にあるか不明確になります。最終決定権者が決まっていても、事前に承認している人が多数いるので責任の押し付け合いが始まってしまいます。
問題が起きても責任の所在が不明確とになるということは、逆に誰も責任を持って業務に当たらないということになり、真剣な議論が行われなくなっていきます。
減点主義に陥る
大企業になると個々の業務が細分化されていき、狭い範囲の仕事を担当することになります。営業部門であれば営業成績が成果を示す指標となりますが、営業に関わらない部門では加点で成果を示すような指標が一見見当たらないような場合もあります。
内部向けの書類作成、会議への対応、定型的な事務などが多くなってくると、加点主義よりも、どれだけミスをしなかったかというような減点主義の評価に陥りがちになってしまいます。
そうなってしまうと組織全体が守りの行動に入り、ミスにつながることを徹底的に排除してしまおうとし、組織の文化が硬直化していきます。
成果ではなく人間関係で評価される
大企業病に罹ってしまうと、チャレンジする風土が失われ、減点主義の評価に陥ってしまいます。一方で、社内政治は重要となり、部の評価や人事異動は人間関係や好き嫌いで判断するようになってきます。
上司にもしっかりと意見を言う部下よりも、上司の言うことを忠実に聞き入れる部下の方が出世をするようになり、組織の中では上司に媚びる風土が蔓延していきます。
社内政治に意識が向いてしまう
大企業病に罹ってしまうと、社内政治に意識が向くようになってしまうという特徴があります。新たなチャレンジは評価されず、減点主義に陥る一方で、組織間の対立が強まり、成果ではなく人間関係で出世が決まるよういなると、権力がある人に人が群がっていきます。また、縦割り主義から部門間の縄張り意識が強まり社内派閥が出来ていきます。
社内派閥間で競争が激しくなると、お互いの粗探しに夢中になり、社員が社内政治に明け暮れるようになってしまいます。
全体の仕事が見渡せず全体最適にならない
大企業では、仕事が細分化されていき、一人一人が担当する仕事は極めて狭い一部分の仕事になります。そのため、全体の仕事の流れが見通せず、部分最適になることはあっても、全体最適になることがなくなってしまいます。一人一人の仕事が大きな歯車の一部のように感じられてしまい、仕事に対するモチベーションの低下を招く場合もあります。
情報も細分化されたり、他の部門と共有されなくなるため、仕事の効率が下がってしまいます。
大企業病が蔓延すると仕事が非効率に
大企業病が蔓延してしまっている組織では、内向きの仕事が多くなったり、部分最適に陥ったりと仕事が非効率になっていきます。一人一人が頑張っても改善できることは少なく、経営者でないと変えられないこともあります。
大企業では組織風土の停滞から働きづらい場合も
大企業で働くということは雇用や給料が安定していることなどメリットは非常に大きいですが、一方で大企業病に陥ってしまっていて組織が停滞している場合は仕事のやりがいが大きく低下する場合があります。
仕事のやりがいがなくて組織が停滞していても、安定には変えられない場合があるというのはもちろんですが、時として働きづらさを感じることがあります。
まとめ
- 大企業では組織が大きくなることによって、意思決定が遅くなる、縦割り意識が強まる、経営と現場が遠くなるなど様々な問題が生じ、大企業病と言われる状態に陥りやすくなります。
- 大企業で働く人にとっては、内向きの仕事が増える、部分最適に陥る、仕事の流れが分からない、など仕事のやりがいが失われてしまう場合があります。