働いたら負けという考え方について
記事作成日:2015年12月17日
働いたら負けという考え方があります。1つには生活保護があるのに働いたら負けといったようなことが背景にあるようです。しかし、どちらかというと資本主義の中で労働者として働くこと自体が不利になる場合があることに注目です。特に職場環境が悪い、賃金が安いなどから人生の貴重な時間を無駄にしてしまっている場合は、働く場所を変えた方が良い場合があります。
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生活保護があるから働いたら負け?
働いたら負けという考え方には、働かなくても生活保護を受ければ生きていけるから、わざわざ低い賃金働かなくても、生活保護を受ければ働かなくても同じような暮らしができるから、働いた分だけ負けになるという意識が背景となっていることがあります。
しかし、生活保護は働ける能力があって、働ける機会もある人に向けられた制度ではありません。何らかのやむを得ない事情がある人の最後のセーフティネットとして用意されている制度ですので、働けるのに生活保護を頼るのは良くありません。そして生活保護の財源が厳しくなってくれば、生活保護の水準は下がる可能性もあり、将来も十分な生活ができるとは限りません。
また、会社員などとして働くことによって、仕事での経験や仕事で培われる人間関係を通じて人生を充実させることができる場合があります。働くことが自己実現につながるということです。もちろん働くことは良いことばかりではありませんが、職場を選べば何か得られるものもあるはずです。
つまり、生活保護の制度があるからといって働いたら負けということにはなりません。
資本主義での労働者は働いたら負け?
しかし視点を変えてみると、労働者として働いていることで明らかに人生の時間を無駄にしてしまっている、幸せを追求できないような状況に置かれてしまっている場合があります。労働者が不当に搾取されているような場合です。
資本主義とは
現代は資本主義の下で経済や社会が動いています。資本主義の下では、財やサービスを生産する手段を持つ資本家が労働者を雇って生産活動を行い、利益を追求します。労働者が生産活動を行って財やサービスを生産して売り上げを上げても資本家の利益となり、労働者は労働の対価として賃金を受け取ります。現在では企業の株主が資本家ということになります。
ただし、上場企業などで株主が多数存在していて、支配的な株主が存在しないまま、経営者が自由な意思決定を行える場合には株主でない経営者も資本家のような状況にあると考えることができます。
労働者よりも資本家の立場が強い
資本家は労働市場で自由に労働者を雇うことができるため、何の規制もないと立場が極めて強くなってしまいます。そのため、法律などで労働者の保護が定められています。しかし、資本家と労働者ではやはり資本家の立場が強くなります。労働者は雇われの身なので立場が弱いのです。
そのため、資本家の振る舞いによっては、労働者への賃金を限りなく低く抑えることで、利益を独占してしまうようなことがあります。例えば、ブラック企業は労働者が抑圧され搾取されていますが、経営者の立場が強すぎるために、労働者が悪い労働条件で働くことを強いられています。
搾取される職場で働いたら負け
現代において、過度に資本家が労働者を抑制するような企業、例えばブラック企業のような企業で働いてしまうと、賃金が少ない、労働時間が長く心身の健康を害する、仕事を覚えられないなどの弊害があり、人生の貴重な時間を無駄にしてしまうことがあります。そうなると正しく働いたら負けとも言える状態になっています。
労働者にも配慮する経営者の下で働いていない場合には、労働者でいること自体が不幸だということになりかねません。逆に労働者に過度に賃金という形で利益を配分し過ぎると、経営が傾いてしまったり、株主に配当が回らなかったりして、上手くいかなくなる場合もあり、バランスが大切であると考えられます。
搾取されない労働者になるには
資本家に不当に搾取されない労働者になるためには、個人の幸せを尊重する職場で働くことが必要です。労働者から脱するには自分で起業するなどの方法がありますが、起業にはリスクがあります。あくまでも労働者として働き続けるならば、なるべく良い職場を探し出さなければいけません。
国際的な競争が激しくなっている中、企業も余裕がなくなっており、なかなか良い職場を探し出すのは難しいですが、情報を集め、粘り強く探すことで、なるべく個人の幸せにも配慮しているような職場で働くことが大切です。
労働者の立場から資本家の立場に変わる
労働者としても、個人の幸せに配慮した企業で働くことが出来れば、幸せな人生を送ることが可能です。しかし、どうしてもそのような企業が見つけられない場合、見つけられても入社できない場合などには、自分が労働者から資本家の立場に変わる必要があります。
労働者の立場は固定されていない
現代社会では、労働者であってもそのまま労働者の立場に固定されるわけではありません。労働者の保護が進んでいるため、労働者も生活に最低限必要なお金以上の賃金をもらえ、資本家となるための元手とすることができます。また、現在では経済的な自由があり、誰でも自由に職業を選択することができ、自由に営業をすることができます。
そのため、労働者であっても生産手段を持って資本家となることが可能です。特に近年では、インターネットが発達し、多額の資金が無くても始められるビジネスが増えているため、資本家へと変わるチャンスが劇的に増えています。また、金融市場のルールが整備され個人が投資を行うことも容易になっており、簡単に株主になることができます。
資本家の立場になる手段は主に3つ
現代社会で労働者が資本家の立場になるためには主に次の3つの方法があります。
- 自らが本業として事業を行う
- 労働者として働きつつ副業をする
- 投資家になって企業の株主になる
自らが本業として事業を行う
自らが本業として事業を行うのはいわゆる起業で、個人事業主あるいは株式会社の株主兼経営者となって自ら事業を行います。成功すれば正しく資本家になりますが、ただし、事業は失敗するリスクも高く、労働者でいるよりも悲惨な状況に追い込まれてしまう場合があります。
労働者として働きつつ副業をする
労働者として働きつつ副業をするということは会社員と資本家の折衷案のようなものです。労働者として生きていくだけでは十分な収入が得られない場合などに、副業を行うことで収入の手段を増やします。しかし、労働者として本業があるため、時間管理が上手で副業のための時間を確保できる人でないと上手くいきません。
投資家になって企業の株主になる
労働者として貯めたお金を元手にして株式に投資をすることで企業の株主になることができます。ただし、資本家と呼ぶことができるような状態になるためには、かなりの資金を投入して投資だけで十分なお金を稼げなければいけません。そのため、投資する金額を増やすか、投資でリスクを取っていかなければいけません。
まとめ
- 働いたら負けという考え方がありますが、働けるのに生活保護を当てにしているのであれば、生活保護制度の目的に照らすと適切な考え方ではありません。
- しかし、労働者を不当に扱うような職場で働いてしまうと人生の貴重な時間を無駄にしてしまい、働いたら負けというような状況に陥ってしまうことがあります。