株式と債券の違い
記事作成日:2018年5月25日
最終更新日:2022年5月3日
株式と債券の違いについてです。株式への投資は割合的に会社を購入することと同じで、会社から配当金などによって利益の分配を受ける権利や議決権などを通じて会社の経営に参画する権利が得られます。債券への投資は債券の発行体に対してお金を貸すことと同じで、貸したお金に対する利子(クーポン)を定期的に得ることができるほか、満期になれば償還金の形でお金を返してもらうことになります。株式と債券の違いについてみていきます。
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株式と債券の権利の違い
株式と債券は会社に対する権利が違い、株式投資は会社の一部を購入する形になる一方、債券投資は会社にお金を貸す形となります。
株式投資は部分的に会社を購入する
株式を購入するということは、株式会社を部分的に購入することを意味します。株式を購入し株主になると、議決権などを通じて株式会社の経営に参加する権利、配当金の分配などにより株式会社の利益の分配を受ける権利、株式会社の解散時等に残余財産の分配を受ける権利が得られます。
債券投資は会社にお金を貸す
債券を購入するということは、国・地方自治体や株式会社等にお金を貸すということを意味します。債券投資をすると、債券の発行条件に従い、債券の発行体に支払い能力がある限り、クーポン(利子)を定期的に受け取ることができます。また、満期の際には発行体に支払い能力があれば額面金額が償還されます。
株式と債券の確定利回りかどうかの違い
株式の値上がり益や配当金は投資を開始した時点で確定しているわけではありません。一方、債券は発行元による利子などの支払不能がなく、途中売却もしない場合、固定利付債であれば利回りが確定しています。
株式投資の利益は確定していない
株式投資による利益は確定的ではありません。株式会社が十分な利益を上げられなければ配当金の分配が行われない可能性があります。経営破綻をして解散等となった場合には、株主に残余財産の分配が十分に行われない可能性があります。また、株価は日々刻々と変動しており、株価の変化による値上がりや値下がりによる利益や損失は売却するまで確定しません。
債券投資の利益は支払い不能や途中売却を除き確定している
債券投資では債券の条件としてクーポン(利子)の金額や満期時に償還される金額が基本的にはあらかじめ決まっています。一部、変動利付国債や物価連動国債など収益が確定していない債券もありますが、多くの債券は確定利付の債券となるため、購入時点で満期まで保有した場合の利益が確定します。いわゆる確定利回りということになります。
ただし、債券の発行体が支払い不能となった場合は想定していた利益が得られなくなります。また、債券を途中売却した場合は、債券市場での価格によって利益や損失の金額が変動します。
株式と債券の利益連動の対象の違い
株式の株価は業績への連動性が高い一方、債券は市場の金利動向や発行体の信用力の影響を強く受けます。
株式投資の利益は企業の利益への期待に連動
株式投資による利益は、株価の値上がりによるキャピタルリターン、配当金等によるインカムリターンがありますが、キャピタルリターンは企業の利益や株式市場における利益への期待が反映されています。また、配当金等は企業の利益が源泉となっています。株式投資の利益は企業の利益、稼ぐ力に左右されるのです。
債券投資の利益は市場の金利水準や信用力に連動
債券投資による利益は、市場金利の水準に左右されます。また市場金利の水準は金融政策などに影響を受けます。加えて、債券利回りの水準は発行体の信用力にも左右されます。
そのため、債券の発行体が企業である場合、企業が多くの利益を上げていても、信用力があれば高い債券利回りが期待できない場合があります。企業の利益は債券の利回りと関係はありますが、債券投資の利益を左右するより重要な要素は市場の金利水準や発行体の信用力なのです。
株式と債券のリターン・リスクの違い
株式と債券のリスク、リターン特性を比べると通常株式の方がハイリスク・ハイリターンとなります。
株式投資はハイリスク・ハイリターン
株式投資はハイリスク・ハイリターンとなる傾向があります。株式投資による利益は企業の利益や企業の利益に対する期待感に左右され、不確定なものであるためリスクが高く、リスクが高いためハイリターンの値動きとなる傾向があります。
債券投資はローリスク・ローリターン
債券投資はローリスク・ローリターンとなる傾向があります。債券投資による利益は、購入時に支払い不能や途中売却の場合を除いて確定しているため、ローリスクであり、リスクが低いためリターンも低くなる傾向があります。満期保有を前提にしない場合でも、価格変動リスクはありますが、株式よりも価格変動リスクが小さい傾向があります。
株式と債券の満期の有無の違い
株式には基本的に満期がない一方、債券には基本的に満期があります。
株式投資には満期はない
株式投資には基本的に満期がありません。株式には制度的に会社の解散時期をあらかじめ定めておくこともできますが、一般的に売買される株式の会社はずっと続いていく、継続することが前提となっています。そのため、株式は債券のような満期の償還というものが基本的にありません。
債券投資には満期がある
債券は永久債など一部の例外を除いて、満期が定められています。債券の満期が到来すると額面金額が償還されることになり、債券を保有していることによる権利は消滅します。
株式と債券の流通市場の違い
株式と債券は投資家が売買をする流通市場がありますが、株式市場は活発な売買が行われる一方、債券市場は銘柄の個別性が高いため株式市場ほど市場の流動性が高いわけではありません。
株式投資は流通市場が活発
株式は上場されている株式であれば、基本的に取引が活発に行われていて、換金のしやすさ、流動性は高くなります。売りたいと思えば買い手が比較的容易に見つかります。また、市場での取引が活発であるため、価格形成が歪みづらくなります。
債券投資は流通市場が株式市場ほど活発ではない
債券は銘柄ごとの個別性が強いため、標準的な銘柄を大量に取引所で売買という形が成立しづらく、流通市場は証券会社と投資家の相対取引が中心となる傾向があります。債券の価格の情報についても投資家と証券会社等の間で偏りがあり、価格形成が歪むことがあります。
まとめ
- 株式への投資は、部分的に会社を購入するのと同じで、会社から利益の分配を受ける権利、会社の経営に参加する権利を得ることができます。
- 債券への投資は、債券の発行体にお金を貸すのと同じで、債券の発行体から利息(クーポン)を受け取る権利、満期に償還金を受け取る権利を得ることができます。