資産運用・投資に使う余裕資金とは
記事作成日:2018年2月19日
最終更新日:2022年5月29日
資産運用・投資は余裕資金・余剰資金で行うべきということが言われます。資産運用・投資に使っても良い余裕資金・余剰資金とは、自分が保有している現金や換金が可能な資産から「当面の生活のためのお金」、「近いうちに使う予定があるお金」、「急な支払いに備えるためのお金」を除いたお金です。余裕資金・余剰資金以外のお金で資産運用・投資を行うと、生活や各種支払いに困ってしまう、冷静な投資判断が出来なくなるなどの問題が生じてしまう可能性があります。
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資産運用・投資に使う余裕資金・余剰資金とは何か
資産運用・投資に回しても問題がない余裕資金・余剰資金とはどんなお金かということについてです。
大半の人は本当になくなってもいいお金は存在しない
お金はたくさんあればあるほど望ましいと言えます。なくなっても大丈夫なお金で資産運用・投資をするということがよく言われますが、本当はなくなってもいいお金なんて大半の人は持っていません。なくならないならなくならないに越したことはないのです。
お金がなくなってもいいほどお金があるお金持ちの人は世の中にはごくわずかしかいません。そのため、厳密に言うと余剰資金は「なくなってもいいお金」ではありません。
資産運用・投資に使う余裕資金・余剰資金とは
資産運用・投資に使う余裕資金・余剰資金とは「なくなってもいいお金」ではなく、なくなって欲しくないけど「なくなっても生活に困らないお金」、「なくなっても何とかやり過ごせるだけのお金」ということになります。大金持ちならばお金が余ってしまっているかもしれませんが、大半の人にとってお金はあればあるだけ助かるものです。
逆になくなると生活に困るお金、やり過ごせないお金とは、「当面の生活のためのお金(生活費)」、「近いうちに使う予定があるお金(特別支出、ライフイベントのための支出)」、「急な支払いに備えるためのお金(臨時支出への備え、生活防衛資金)」です。
つまり、余裕資金・余剰資金とは、自分が保有している現金や換金が可能な資産から「当面の生活費」、「近いうちに使う予定があるお金」、「急な支払いに備えるためのお金」を除いたお金です。
なくなると困るお金
なくなると困るお金とは次のお金です。このお金以外のお金が余剰資金・余裕資金です。
- 当面の生活のためのお金(生活費)
- 近いうちに使う予定があるお金
- 急な支払いに備えるためのお金
当面の生活のためのお金(生活費)
当面の生活のために必要なお金は無くなってしまうと困ります。食費が出せないと食べるものに困ってしまいますし、家賃が支払えなければ住む場所を失ってしまう可能性があります。クレジットカードの支払いがあるなら、お金を取っておかないと支払いが遅延してしまいます。
何か月分の生活費を残しておくべきなのかは、年齢、家族構成(未婚・既婚、子どもの有無、介護する人の有無)、資産(預貯金、持ち家の有無など)、職業(職を失う心配はあるか、収入は安定的か)などによっても異なってきます。
1年分、できれば2年分くらいの生活費があると安心ですが、生活費をたくさん手元に残そうとすると資産運用・投資に回すお金がなかなかできません。
職を失っても再就職しやすい、養う家族がいない、若いといったような場合には、とりあえず3か月から半年程度の生活費を確保しておけば何とかなることもあります。
近いうちに使う予定があるお金
毎月の生活費とは直接関係がなくても近いうちに支払うことが確実なお金(固定資産税、自動車税、年払いの費用・料金など)、冠婚葬祭や教育などの各種ライフイベントに関して近い将来のうちに支払いが発生するお金、使いみち・目的が決まっているお金については、支払いに備えて残しておく必要があります。
使う予定があるお金を資産運用・投資に回してなくなってしまうと、支払い不能となってしまったり、ライフイベントに必要なお金が支出できず、時期を延期せざるを得なくなったり、諦めなければいけなくなったりしてしまいます。
どれくらいの期間を見据えてお金を残しておくかは、置かれた状況によって異なるため一概には言えませんが、3~5年程度に支払いが必要となるお金は減らさないようにすることが重要です。
ただし、まったく資産運用・投資に回さないのではなく、元本が保証されているか、価格変動リスクが極めて小さい資産で運用して、厳格なリスク管理を行うということも考えられます。
また、老後資金は使いみちが決まっていますが(老後の生活費)、定年・年金生活までの年数がある場合は、リスクを抑えながら資産運用・投資を行うことで増やすことを目指すことが考えられます。
急な支払いに備えるためのお金
色々な備えをしていたとしても、どうしても想定外の事態は発生してしまいます。予想もしなかったような急な支払いが突然発生することもあるため、いざという時に備えてお金を確保しておくことも重要です(いわゆる生活防衛のためのお金)。
急な支払いとは、例えば病気やけがの治療費、家族の介護のための費用、損害賠償責任のための費用、物が壊れた場合の費用、収入が途絶えてしまった場合の備えなどが考えられます。
急な支払いに備えるためのお金は、生活費をどれくらいとっておくかによっても変わってきますが、一般的には少なくとも100万円程度は急な支出に備えて準備しておくべきと考えられます。大抵のトラブルは100万円あればなんとかなるからです。
100万円を超えるようなトラブル・イベントに対しては、手元の資金だけでなく、保険などを活用したリスクコントロールを行って、家計が破たんしないように備えておく必要があります。
資産運用・投資を余裕資金・余剰資金で行う理由
なぜ資産運用・投資は余裕資金・余剰資金で行うべきなのでしょうか。生活や支払いに困るからということが主な理由ですが、資産運用・投資の成否に関する理由もあります。
資産運用・投資で失敗してお金がなくなると困るから
資産運用・投資を余裕資金・余剰資金で行う最も重要な理由は、余裕資金・余剰資金以外の資金で資産運用・投資を行うと、失敗してお金を失ってしまった時に困るから、生活に影響が出てしまうからです。
資産運用・投資は、思うとおりにいかないこともあり、予想とは異なる値動きをしてしまい損失を出してしまうことがあります。なくなっては困るお金で資産運用・投資を行ってしまうと、資産運用・投資で失敗したときに困ってしまうのです。
途中で引き出さなければならず投資機会を逃してしまう
生活のためのお金、使いみちが決まっているお金で資産運用・投資をすると、途中で引き出さなければいけなくなってしまうことがあります。しかし、資産運用・投資には良いタイミング・機会があり、チャンスを逃すと儲けられないことがあります。
絶好の投資機会なのに、生活のため、支払いのために投資資金を引き揚げなければいけなくなってしまうことがあるかもしれません。余裕資金・余剰資金であれば、当面引き出す必要がないため、じっくりと投資機会を狙うことができ、資産運用・投資で資産を増やす確率を高めることができます。
なくなると困るお金では冷静な投資判断ができない
余剰資金で資産運用・投資を行う理由として、本当になくなってしまうととても困るようなお金で資産運用・投資をすると、冷静な投資判断ができなくなることがあるためです。順調にいっている間はよいのですが、読みが外れるなどして損失が出てしまうと、動転してしまい、合理的でない投資判断をしてしまうことがあります。
冷静な投資判断を下せないと、リスクを過剰にとってしまったり、過度に慎重になって投資機会を逃してしまったりします。心理的な面からも資産運用・投資は余剰資金で行うべきなのです。
まとめ
- 資産運用・投資に使ってもよい余裕資金・余剰資金とは、自分が保有している現金や換金が可能な資産から「当面の生活のためのお金(生活費)」、「近いうちに使う予定があるお金」、「急な支払いに備えるためのお金」を除いたお金です。
- 余裕資金・余剰資金以外のお金で資産運用・投資を行うと、生活や各種支払いに困ってしまう、冷静な投資判断が出来なくなるなどの問題が生じてしまう可能性があります。