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リスクパリティとは・メリットとデメリット

記事作成日:2017年10月10日
最終更新日:2022年4月18日

リスクパリティとは

リスクパリティ(Risk Parity)とは、複数の資産で資産運用を行っている場合に、資産クラスごとのリスク量が同等となるように各資産を保有することです。パリティ(parity)とは同等という意味があり、リスクパリティはリスクが同じという意味になります。

例えば、株式と債券で運用を行っているとすると、単純に同じ金額だけ投資すると株式50%、債券50%の保有比率になります。しかし、株式と債券同量保有すると株式のリスク(価格変動)の方が圧倒的に大きいため、リスクは株式に偏ってしまいます。仮に株式のリスクが年率18%、債券のリスクが年率2%とすると、単純計算で株式10%、債券90%の保有比率とすれば、株式と債券のリスク量が均等になります。

実際には資産間の相関を考慮する必要上がるため、厳密に計算するのであれば各資産のポートフォリオ全体のリスクに対するリスク寄与度を計算して、リスク寄与度が等しくなるように資産配分を決定します。

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平均分散アプローチなどでは株式にリスクが偏りがち

資産運用において資産の配分比率(アセットアロケーション)をどのようにするかということは非常に悩ましい問題です。よく行われるのが、平均と分散に着目した平均分散アプローチ(平均分散法)で、平均分散アプローチでは、各資産のリターンの期待リターン(平均)とリスク(分散あるいは標準偏差)に着目して資産配分を決定します。

様々な前提(制約条件)を置いた上で、期待リターンをできるだけ大きくし、リスクをできるだけ小さくする最適化によって資産配分比率を決定することが多いですが、一定量の株式が組み込まれて、株式にリスクが偏ってしまう場合があります。

株式にリスクが偏ると単に株価の動向に左右されてしまう

保有資産のリスクが株式に偏ってしまうと、結果として株価に左右される資産運用になってしまいがちです。せっかく複数の資産で運用しているはずなのに、株式のように価格変動が大きい資産の動きに左右されてしまい、価格変動が小さい債券の影響はほとんどなくなってしまうことがあります。

分散投資をしているはずなのに、結果として株式だけで運用している場合と大差がなくなってしまい、景気が回復・拡大する局面では良好なパフォーマンスが得られるものの、景気が後退する局面、経済・金融危機の局面ではパフォーマンスが著しく悪化してしまうという事態を招いてしまいます。

リスク量を同等にすることで特定の資産に左右されづらくなる

株式にリスクが偏った資産運用の課題を解消するための方法の1つがリスクパリティによる運用です。リスクパリティ戦略、リスクパリティ運用などと呼ばれますが、保有している各資産のリスク量が同等になるように保有比率を調整します。リスクが大きい資産の保有比率は小さく、リスクが小さい資産の保有比率は大きくなります。

例えば株式と債券では、株式のリスクが大きいために、リスクパリティ運用では株式の比率はかなり小さくなり、債券の比率はかなり大きくなります。

リスクパリティ運用のメリット

リスクパリティによってポートフォリオを決めて資産運用を行うメリットについてです。

特定の資産の価格に左右されづらくなり分散効果が得やすくなる

リスクパリティの考え方で資産運用を行うことで、特定の資産の価格動向に左右されづらい資産運用を行うことができます。特にリスクが株式に偏ってしまう資産運用と比較すると、価格変動リスクを相対的に抑えることができるようになり、分散効果を得やすくなります。単純な株式での運用となってしまうことを防ぐことができます。

景気との連動性が低下する

株式にリスクが偏った資産配分の場合には、景気が良い時には株価が上昇しパフォーマンスが良くなる一方で、景気が悪い時には株価が下落しパフォーマンスが悪くなるという傾向があります。

リスクパリティの場合には、債券が多く組み入れられる結果、景気が悪い時でも債券価格の上昇によってパフォーマンスの悪化がある程度食い止められる可能性があります。また株式の比率も相対的に低いため、株価の影響も相対的に小さくなります。

相対的に全体でのリスクが低くなりやすい

リスクパリティでの運用では、通常債券の比率が高まるため、株式の比率が高いポートフォリオと比べて、資産全体のリスクが低くなりやすい傾向があります。より安定的なパフォーマンスとなる傾向があります。

リスクパリティ運用のデメリット

リスクパリティによってポートフォリオを決めて資産運用を行うデメリットについてです。

債券の影響が大きくなる

リスクパリティ運用では債券の影響が相対的に大きくなります。そのため、景気が良い時には株価上昇が債券価格下落によってある程度相殺されてしまう可能性があります。

また、債券の利回りが低下してしまうとパフォーマンスがなかなか高まらない可能性があります。特に金融緩和によってマイナス金利政策、ゼロ金利政策、低金利政策が行われると、債券の利回りが低下し、債券のパフォーマンスが低くなる場合があるため、注意が必要です。

リターンをあまり期待できなくなる

リスクパリティの運用では、株式の組み入れ比率がかなり低くなる場合が多いです。そのため、リスクは低く抑えられますが、リターンもあまり期待できなくなってしまいます。中長期的に安定的なパフォーマンスを目指す場合にはリスクパリティ運用にもメリットがありますが、より高いリターンを狙う場合には向いていない場合があります。

まとめ

  • リスクパリティ運用・リスクパリティ戦略とは、資産の組み合わせ(ポートフォリオ)において各資産のリスク量が同等・等量になるような比率で各資産を保有する資産運用の方法です。
  • リスクパリティでの運用を行うことによって、保有資産全体における株式へのリスクの集中を防ぐことができる場合があります。一方で、リターンがあまり期待できなくなってしまうこともあります。

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【リスクパリティとは・メリットとデメリットの記事は終わりです】

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