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スマートベータとは

記事作成日:2015年7月24日
最終更新日:2022年5月6日

スマートベータとは

従来型の時価総額加重の指数とは異なるスマートベータについてです。スマートベータとは時価総額加重以外の何らかの基準で銘柄の選択や構成比率の決定を行い作成したインデックスで、時価総額加重のインデックスを上回るパフォーマンスを目指したものです。しかし、スマートベータはアクティブファンドのような特性があるほか、時価総額加重のインデックスと比べてパフォーマンスが改善する保障があるわけではありません。

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スマートベータとは

スマートベータとは賢いβ(ベータ)という意味で、市場全体の値動きを示す従来型の時価総額加重の指数よりも、スマートな(賢い)動きをする指数の意味で使われます。

β(ベータ)とは市場全体の変化に対して、どの程度の大きさで変化するかを表したものです。市場と同じ動きをする場合を1としています。例えば市場全体の株価が10%動く時、ある株式の株価が20%動くならばβは2となり、別の株式の株価が5%動くならばβは0.5となります。βが大きいほど値動きが大きくなり、βが小さいほど値動きが小さくなる傾向があります。

スマートベータは、従来型の時価総額加重以外で、リターンが高くなるなど何らかのメリットがありそうな基準に基づいて作成されたインデックスになります。

スマートベータの作成方法

通常の時価総額加重のインデックスは市場全体の値動きを示すため銘柄の選択を行いませんが、スマートベータでは何らかの基準で構成銘柄を選択して構成する場合があります。

また、銘柄を特に選択しなくても、時価総額加重以外の方法で銘柄の重みづけ(ウエイト付け)をしてインデックスを作成する場合があります。

銘柄の選択と時価総額加重以外の銘柄の重みづけの両方が併用される場合もあります。

スマートベータの作成例

例えば、A株式とB株式があったとします。A株式は時価総額が90億円で利益が1億円だったとします。B株式は時価総額が10億円で利益が1億円だったとします。なお、利益はどの利益指標を用いるかという問題がありますがとりあえず単純化のため単に利益としています。

この2つの銘柄だけで株式市場が構成されているとすると、時価総額加重のインデックスではA株式とB株式は90:10の比率で組み入れることになります。一方で利益で加重するとA株式とB株式は1:1の比率で組み入れることになります。

スマートベータが支持される背景

スマートベータが支持される背景に、時価総額加重のインデックスには割高な銘柄が多く含まれる一方、割安な銘柄が少なくなることから投資の効率が落ちるという構造的な問題があると考えられていることがあります。

また、スマートベータは単純に市場全体の値動きを示す時価総額加重でなく、何らかの良さそうな基準により作成するため、印象が良くなる部分があると考えられます。

スマートベータの種類の例

スマートベータには様々な種類があります。用語の使われ方も微妙に異なっている場合があるほか、スマートベータは新たなものが開発されており、変化が続いている点にご注意ください。また、以下の種類は全てスマートベータとして用いられた場合の意味を示しています。

ファンダメンタル

ファンダメンタルとは、企業のファンダメンタル(基礎的)な事項である利益や純資産額、キャッシュフローなど財務的な指標に基づいて重みづけをして作成するポートフォリオです。ファンダメンタルインデックスは企業価値インデックスと呼ばれる場合もあります。

スマートと考えられる部分は、利益などの企業の財務指標に基づくウエイトとなるため、時価総額加重よりは良さそうに見える点です。

ただし、企業の財務指標がどのように株価と関連しているのか一概には言えないことがあるため、時価総額加重よりもどのような場面でも優れているとは限りません。

低ボラティリティ

低ボラティリティとは、株価の変動が相対的に小さい銘柄を中心に構成して作成するポートフォリオです。

スマートと考えられる部分は、変動が小さい銘柄で構成されるため、安定的な値動きをすることになる点です。

ただし、変動が小さい程リターンが良いのかどうかは分かりません。また、実質的に景気動向に業績が左右されづらく株価が安定しやすいディフェンシブ銘柄を選んでいることと同じような形になります。

最小分散

最小分散とは、構成銘柄のウエイト付けを変えることによってポートフォリオ全体で最も価格の変動(リスク)が小さくなるような銘柄を組み合わせて作成するポートフォリオです。低ボラティリティと同じ意味合いで使われることがあります。

スマートと考えられる部分は、ポートフォリオ全体の価格変動を小さく出来る点です。

ただし、リスクが小さいこととリターンが大きいことは同義ではありません。株価上昇局面ではパフォーマンスが伸び悩む可能性があります。上昇相場が長く続く場合、パフォーマンスが時価総額加重と比べて見劣りしてしまうリスクがあります。

クオリティ

クオリティとはROEが高い企業の銘柄などいわゆる経営の質が良いとされている銘柄を中心に構成されたポートフォリオです。クオリティとは質という意味ですが、ROEなど利益を生み出す効率に着目して経営の質が選別されます。ROEとは株主資本利益率のことで、株主資本に対してどれだけ多くの利益を上げたかを示す利益効率を示す指標になります。

スマートと考えられる部分は、ROEが高ければ利益を生みやすい企業とも言えるため、株価が上がりやすいと考えられる点です。

しかし、ROEが高いからといって株価が必ず上がりやすいとも限らないことに注意が必要です。既に投資家に注目されていて割高な株価水準となってしまっている場合、株価が値上がりしづらいということもあり得ます。

均等加重

均等加重とは、時価総額加重ではなく銘柄のウエイトを等しくして作成するポートフォリオです。時価総額に関わらずA株とB株とC株があればそれぞれ1:1:1の割合で組み入れます。

スマートと考えられる部分は、単純に時価総額加重ではないという点です。全て同じ数だけ持つというのは偏りがないとも言えます。

しかし、リターンが良いかどうかは分かりません。また、時価総額加重のインデックスと比較すると、時価総額の大きい銘柄への投資が相対的に少なくなり、時価総額の小さい銘柄への投資が相対的に多くなります。そのため小型株投資と似た性質を持つことになりますが、小型株投資はスマートというよりは従来型の戦略に近くなることがあります。

高配当

高配当とは、配当利回りが良い銘柄を選別して作成したポートフォリオです。配当利回りで重みづけしても高配当のポートフォリオとなります。

スマートと考えられる部分は、配当利回りが良い銘柄は配当による収益が期待できる点と高配当であるために選好される可能性があるという点です。

ただし、配当利回りが良い銘柄は株価が下落している銘柄である可能性があり割安株投資と同じ状態になる可能性があること、高配当利回り銘柄はディフェンシブ銘柄が中心となる可能性があり株価上昇局面で思ったほど上昇しないことも想定されることなどが問題点です。

モメンタム

モメンタムとは、上昇を続けている銘柄を中心に構成するポートフォリオです。順張りの考え方で上昇している株はさらに上昇するという考えに基づいています。

スマートと考えられる部分は順張りインデックスとなっているので相場動向が堅調な時にはリターンを上げやすく感じられるような点です。ただし、相場は上下に変動するものなので、同じトレンド続いている時はパフォーマンスが期待できますが、相場のトレンドが出ていない時はパフォーマンスが期待できない場合があり、順張りが常に儲かる訳ではありません。

リスクパリティ

リスクパリティとは各銘柄のリスクが均一になるように構成したポートフォリオです。値動きが大きい銘柄(高リスク)を少なめ、値動きが小さい銘柄(低リスク)を多めに組み入れます。

スマートと考えられる部分は、各銘柄のリスクを均一にしたという点です。

ただし、低ボラティリティ銘柄、ディフェンシブ銘柄の比率が相対的に高まるとみられることや、リスクを抑えるためリターンを上げづらくなるという問題があります。

最大シャープレシオ

最大シャープレシオとは、構成銘柄のウエイトを変えることで、無リスク資産のリターンを引いたリターンをリスクで割ったシャープレシオが最大となるような銘柄の組み合わせで作成するポートフォリオです。シャープレシオはリスク1単位あたりのリターンを示しており、どれだけ効率的にリターンを稼いだかの指標となります。

スマートと考えられる点は、リスクに対するリターンの比を最大とすることで効率が良いと考えられるポートフォリオを組む点です。

ただし、相場環境によって投資の効率性が変化するので、今後も同じ効率性が期待できると限らない点に注意が必要です。

最大分散度(効果)

最大分散度(最大分散効果)とは、銘柄のウエイト付けを変えることで最大の分散効果が発揮されるように作成されたポートフォリオです。異なった値動きの特性を持つ相関係数が低い銘柄を組み合わせるとリスクが抑えられることを分散効果といいます。

スマートと考えられる点は、分散効果の最大限の発揮を狙っている点です。状況によっては最大シャープレシオとほとんど同じポートフォリオになることがあります。

リスクが抑えられる一方で、リターンも期待できなくなる場合があることに注意が必要です。

スマートベータのメリットと特徴

スマートベータは一度銘柄の選択の基準や構成比率のルールを決めてしまえば、通常のインデックスファンドと同じように機械的な運用ができるため、コストを抑えやすくなります。ただし、純粋なインデックスファンドよりはコストは高くなるとみられます。

また、通常のインデックスファンドとは異なり、時価総額加重ではない何らかの良さそうなインデックスに基づいて運用するため、アクティブファンドのような特徴も持っています。

そのため、低コストでありながら、アクティブファンドのように高いリターンを得られる可能性があります。

スマートベータのデメリットと問題点

スマートベータには様々な種類がありますが、過去の経験からは相場局面によって有効なスマートベータの種類が変わることが分かっており、スマートベータは時価総額加重よりも良いとは言い切れない点が問題です。

また、スマートベータが有効だと認識されればされるほど、当初は投資資金が流入し上昇するかもしれませんが、スマートベータを構成する銘柄群が割高になれば結果としてパフォーマンスが悪くなる可能性があることがデメリットです。

なお、スマートベータは時価総額加重よりもパフォーマンスが良くなっているものが開発されているため、過去の実績だけを見ると時価総額加重よりも基本的には優れていますが、今後もそうなるかは分かりません。

パッシブとアクティブの両方の性質を持つ

スマートベータはパッシブ運用とアクティブ運用両方の性質を持ちます。時価総額加重以外の何らかの基準を持って投資するという意味では、どちらかといえばパッシブ運用というよりはアクティブ運用に近い部分もあります。スマートベータを作る時には銘柄を選別する基準がありますし、自分でどのスマートベータが良いか判断しなければならず、アクティブファンドを選ぶようにスマートベータのETFや投資信託を選ぶことになります。

まとめ

  • スマートベータとは時価総額加重以外の何らかの基準で銘柄の選択や構成比率の決定を行い作成したインデックスで、時価総額加重のインデックスを上回るパフォーマンスを目指したものです。
  • しかし、スマートベータはアクティブファンドのような特性があるほか、時価総額加重のインデックスよりもパフォーマンスが良くなるとは限りません。また、スマートベータが有効だと考えられ資金が集まるほど、割高となりパフォーマンスが落ちる可能性もあります。

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【スマートベータとはの記事は終わりです】

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