資産運用の投資金額を決める方法
記事作成日:2015年9月12日
最終更新日:2022年5月31日
投資金額の決め方についてです。家計の資産状況から資産運用で投資する金額を決める場合には、無くなっても生活に大きく影響しない範囲のお金で行うことが大原則になります。ただし、適切なリスク分散・リスク管理をしていれば運用しているお金がすべてなくなってしまうということは珍しいため、無くなっても生活に大きく影響しない金額がそのまま投資金額になるのではなく、無くなっても生活に大きく影響しない金額が許容できる損失額と考えて、投資金額を考えることができる場合もあります。
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基本は無くなっても生活に困らないお金で投資
資産運用では想定通りにいかず、投資したお金を減らしてしまう可能性があります。日常の食料を買ったりする生活費や、将来の子供の入学金や授業料のために積み立ててある教育費などを元手に資産運用をすると、価格下落でお金を減らしてしまった時に困ってしまうことになります。そのため、資産運用を行う場合には、無くなっても生活で困ることがない、生活に影響が少ない余裕資金で行うことが必要になります。
資産運用の余裕資金と投資金額は同額か
投資を無くなっても生活に大きく影響しない余裕資金で行うということになると、無くなっても生活に大きく影響しないお金が100万円なら100万円で資産運用を行うということになりまる。
ただし、実際の投資では投資した金額が全額損失になる、ゼロになるということは珍しいと考えられます。投資金額=余裕資金とすると資産運用での想定最大損失率を100%と想定する事になるため、少し非効率な考え方になってしまう場合があります。
現実の資産運用では、投資したお金が丸々全部なくなってしまうのは、信用取引で高いリスクを取ったり、単一の株式に投資していて倒産して株式が紙くずになってしまったりするような極端な場合です。
例えば、複数の株式に分散して投資するような場合、代表的な株価指数に連動する投資信託に投資するような場合、株式と債券など資産クラスを分けて投資するような場合は、投資資金が全て無くなって0になる可能性は極めて低いと考えられます。もちろん投資に絶対はないことは意識しておかなければいけませんが、想定する最大損失率を100%とするのはやや行き過ぎな場合があります。
資産運用の投資金額は損失率を考慮して決める
「余裕資金=投資金額」としてしまうと、生活に余りゆとりがなく余裕資金が少額の場合、お金が貯まりづらい若い時期などでは、投資に回せる金額がほとんどないということになってしまいます。しかし、投資の成果は投資金額と投資の利回りの掛け算で決まるため、投資でお金を増やしたいのであれば、基本的に投資に使うお金は多ければ多いほど良いということになります。
そこで、損失率を考慮して投資金額を決めるという考え方をします。例えば、資産運用で最大の損失が50%になると想定するのであれば、余裕資金が100万円ある場合、特定の目的のために積み立てていてもすぐに使わないお金が他にあるのであれば、200万円まで投資しても良いことになります。200万円を資産運用して、50%の損失が出た場合には失うお金は100万円です。100万円は無くなっても生活に大きく影響しない範囲の余裕資金なので、最大の損失が出ても余裕資金がなくなるだけで済みます。
つまり、無くなっても生活に大きく影響しない金額=投資金額とするのではなく、最大損失率を想定して投資金額を決める考え方もあります。具体的には「余裕資金の金額÷想定最大損失率=投資金額」です。
最大損失率の想定はどうすればいいか
もちろん、最大想定損失率は甘めに想定してはいけません。甘く想定すると余裕資金を超えて損失を出してしまうからです。とても慎重に考えるのであれば、把握しうる範囲での実際に過去に生じた相場の最大の変動を最大想定損失率とすることになります。そのほか、投資対象資産の標準偏差が開示されているか、自分で計算できる場合は標準偏差(リスク)を使うこともできます。騰落率のリスク(標準偏差、σ)を使う場合、慎重に考えるのであれば-3σ程度を最大損失率とするといいでしょう。-2σでも十分慎重ではあるのですが、-2σを超える変動は時折発生するからです。例えば、株式や債券に分散を十分すると、想定リスク(標準偏差)は10%前後となるため、標準偏差が10%であるなら3×10%=30%ということになり、30%程度を想定する最大損失率と考えることになります。
元手を増やした方が資産運用の成果は出やすい
余裕資金をそのまま投資額とするのではなく、最大の損失率を想定することで余裕資金以上で投資をすることを紹介していますが、これは元手を増やした方が資産運用の成果が出やすいためです。
元手が少ないと、リスクの高い投資を行わない限り満足いく投資成果を挙げられないことが多いのですが、リスクを高めると当然失敗もしやすくなるため、なるべく元手を増やしてリスクを抑えながら資産を増やした方が家計のリスクを高めないと考えられるからです。
もちろん、この考え方をすると、余裕資金を超える投資金額となるため、稀にですが余裕資金以上の損失を出してしまう可能性があります。そのため、リスク分散とリスク管理を厳格に行い、損失を余裕資金の範囲内にとどめることが重要となります。
まとめ
- 資産運用での投資は無くなっても生活に影響が少ない範囲のお金を元手にすることが大原則です。
- ただし、投資金額=余裕資金とは限らず、投資金額=余裕資金÷最大損失率と考えることができます。価格変動率(標準偏差)を入手できるか計算できる場合、最大損失率は慎重に行くならばリスク(標準偏差)の3倍を想定するのが無難です。