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株式や為替の取引はゼロサムゲームか

記事作成日:2015年10月3日

投資をする際に、株式投資は企業の時価総額が上昇するので非ゼロサムゲーム、FXなどの為替取引はゼロサムゲームと言われます。しかし、そうなのでしょうか?しかし、株式には企業価値変化により時価総額が変わり、配当金もあるため非ゼロサムゲームと考えてよいでしょう。債券も同様に償還差益や利息が得られるため、非ゼロサムゲームと考えてよいでしょう。

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ゼロサムゲームと非ゼロサムゲーム

複数のプレーヤーが参加するゲームで参加者の勝ち分(得点・利益)と負け分(失点・損失)を合計すると0になるものをゼロサムゲームと言います。誰かが勝った分は必ず誰かの負けになっているゲームです。

一方で、参加者の勝ち分と負け分を合計しても0にならないゲームを非ゼロサムゲームといいます。参加者の勝ち分と負け分を合計してプラスになるものをプラスサムゲーム、マイナスになるものをマイナスサムゲームといいます。プラスサムゲームでは全員が勝つ可能性がありますが、マイナスサムゲームは全員が負ける可能性があります。

株式や為替はどう考えられているか

投資の世界に当てはめると、株式取引は非ゼロサムゲーム、為替取引・FXはゼロサムゲームと説明されることが多いようです。

株式取引では、企業に投資すると企業が株式によって資金調達したお金で事業を行い、企業価値が高まります。企業価値が高まると株価が上昇し、株式の時価総額が増加するため、投資か全員が儲かる可能性があって、誰かの利益は誰かの損失ではなくなる可能性があると説明されます。

逆に、為替取引は誰かが儲かっていれば、必ず誰かが損をしているからだと言われます。確かに、為替の取引レートは異なる2つの通貨の交換比率を示したものですが、相対的な価格であって2つの通貨が両方とも価格上昇するということになりません。しかし、本当でしょうか?

通貨の数量は取引前後で変わらない

Aさんが200円、Bさん2ドルを持っていたとします。1ドル=100円の時にAさんがBさんから1ドルを買い、Bさんは100円を受け取るとします。この為替取引の結果、Aさんは100円と1ドル、Bさんは100円と1ドルを持っています。AさんとBさんの資産合計は200円と2ドルです。

次に円が値下がりしてドルが値上がりしたとします。円高ドル安で、1ドル=50円になったとします。この時、AさんがBさんに1ドルを売って50円を受け取るとします。この為替取引の結果、Aさんは150円、Bさんは50円と2ドルを持つことになります。AさんとBさんの資産合計はやはり200円と2ドルです。

為替取引は為替レートの交換比率で通貨同士を交換する取引ですが、為替取引だけでは市場の円とドルの総量は変わらないため、交換レートの損得で通貨を奪い合うゼロサムゲームになると言えそうに考えられます。

円建てかドル建て評価額で状況が変わる

なお、AさんとBさんの日本円換算の評価額をその時点の為替レートで計算すると最初はAさんもBさんも200円で合計400円ですが、2回目の取引後は、Aさんが150円、Bさんが150円で合計300円になります。実際に通貨の取引をしないで為替レートで換算した場合には、円高が起きているため、海外資産の価値が相対的に目減りするため、日本円換算の評価額が減っています。この点だけを考えれば非ゼロサムゲームのように見えます。

ただし、円換算とドル換算どちらを選ぶかといった問題があります。どの国の投資家が多いのかによって損得が変わりそうな気もします。また、異なる2通貨について為替レートを用いてどちらか片方の通貨の金額に換算すれば、資産総額は増減します。しかし、これはあくまで評価額であって、実際にAさんとBさんが全てのドルを日本円に換算したい場合は為替取引をしなければいけません。

その結果、為替レートという交換比率で通貨を交換することに変わりはなく、為替取引だけでは市場全体の円とドルの総数は変わらないため、誰かの日本円が増えれば誰かの日本円が減り、誰かのドルが増えれば誰かのドルが減るということには変わりありません。また、通貨はそのものが価値なのであって、2ドルと200円があればそれはあくまで2ドルと200円の価値があるのは変わらないと考えると、やはり円建て評価額やドル建て評価額は意味がないようにも思えます。

取引はゼロサムゲームかどうか考えてみる

物と物の交換取引は基本的にゼロサムゲーム

物に例えてみます。りんごとみかんの交換取引が行われる市場があったとします。Aさんはりんご2個、Bさんはみかん2個を持っています。

株式や為替取引とゼロサムゲーム1

最初の日はりんごの方が貴重でりんご1個でみかん2個と交換できたとします。Aさんはりんご1個をBさんに渡す代わりにみかんを2個もらう交換取引をしました。

株式や為替取引とゼロサムゲーム2

取引の結果、Aさんはりんご1個とみかん2個、Bさんはりんご1個を持っています。取引自体ではりんごやみかんが増えるわけではありません。

株式や為替取引とゼロサムゲーム3

次の日にはみかんの価値が上がってりんご1個とみかん1個が交換できるとします。AさんはBさんからりんご1個をもらう代わりにみかん1個をBさんに渡す交換取引をしました。

株式や為替取引とゼロサムゲーム4

取引の結果Aさんはりんご2個とみかん1個、Bさんはみかん1個を持っています。2回の取引の結果、AさんとBさんが持っているりんごとみかんの総量は変わらず、りんごは2個、みかんは2個のままです。しかし、Aさんは最初のりんご2個からみかん1個を増やしました。Bさんはみかん2個からみかん1個に減りました。Aさんが儲かったみかん1個はBさんが損したみかん1個です。

株式や為替取引とゼロサムゲーム5

単なる交換取引は物を増やすわけではないため、基本的にゼロサムゲームとなります。株式取引や為替取引を単なる交換取引と捉えると、ゼロサムゲームとなり、誰かが儲かれば誰かが損をするということになります。

物の価値が変化すると非ゼロサムゲーム

りんごやみかんの価値が変化するという前提を入れるとゼロサムゲームではなくなります。つまり、りんごやみかんの値段が上がったり下がったりして、りんごやみかんの数で考えるのではなく、りんごやみかんの金額で考えるということになります。りんごとみかんの値段を考えながらこの取引をみてみましょう。

物に例えてみます。最初はAさんはりんご2個、Bさんはみかん2個を持っています。このときりんごは1個200円、みかんは1個100円です。Aさんのりんご2個は400円相当、みかん2個は200円相当で、総額600円です。

株式や為替取引とゼロサムゲーム6

最初の日はりんごが1個200円でみかんが1個100円なのでりんご1個とみかん2個の金額が等しくなるため交換できます。Aさんはりんご1個をBさんに渡す代わりにみかんを2個もらう交換取引をしました。

株式や為替取引とゼロサムゲーム2

取引の結果、Aさんはりんご1個とみかん2個で合計400円分、Bさんはりんご1個で200円分を持っています。取引自体ではりんごやみかんが増えるわけではありません。金額も変化していません。

株式や為替取引とゼロサムゲーム7

次の日にはみかんが100円から200円に値上がりし、りんご1個とみかん1個の金額が等しくなりました。この時点でAさんはりんご1個とみかん2個で合計600円分、Bさんはりんご1個で200円分を持っていることになります。総額は800円で増えていますが、みかんの値上がりによるものです。

株式や為替取引とゼロサムゲーム8

AさんはBさんからりんご1個をもらう代わりにみかん1個をBさんに渡す交換取引をしました。

株式や為替取引とゼロサムゲーム4

取引の結果Aさんはりんご2個とみかん1個で合計600円分、Bさんはみかん1個で200円分を持っています。取引の前後で総額800円は変わっていません。総額で600円から800円に金額が増えたのはみかんの値上がりによるもので、取引の結果ではありません。

しかし、結果的にゼロサムゲームではなくなり、非ゼロサムゲーム(プラスサムゲーム)となりました。交換取引に取引するものの値段の変化を考えることでゼロサムゲームが非ゼロサムゲームになるのです。

株式や為替取引とゼロサムゲーム9

株式取引はゼロサムゲームか

株式とお金の交換部分はゼロサムゲーム

株式取引は取引だけを切り出すと単なる交換取引で、手数料や税金などの存在をとりあえず無視すると、取引の前後でお金と株式の数は変化しないため、ゼロサムゲームです。しかし、株式取引は非ゼロサムゲームと一般に言われます。

これは株式投資によって企業に資金を援助する形となり、企業は得た資金を得ることで事業活動を行い、企業価値を向上させることで株式の価値を向上させることができるためで、りんごとみかんの例の値上がりのように株式が値上がりして、株価の時価総額が上昇すると取引参加者の評価金額総額が上昇するためです。

企業価値向上を考慮すると非ゼロサムゲーム

つまり、株式投資は企業価値向上を通じてゼロサムゲームが非ゼロサムゲームになるということです。もちろん逆のケースもあって企業価値が下落する場合もあります。

ただし、1つ問題があって企業の資金調達は発行市場で行われるため、最初に株式を取得した人は直接企業に資金を提供していますが、証券取引所など流通市場で株式を買った人は直接企業に資金を提供していないということです。そのため、証券取引所で株式を売買する人は直接企業価値向上に寄与していないのではないかとも考えられます。しかし、株式の取引市場が健全に発達することで、最初に株を買う人も資金提供をできるようになるので、間接的に企業の資金調達に貢献し、企業価値向上を手助けしていると考えることができます。

また、超短期で売買する人はどうでしょうか。株式を買って同じ日に売っているような場合です。この時は、企業価値は数時間で向上するのでしょうか?同じ日の売買では企業価値は向上していないかもしれませんが、やはり株式市場に株式の流動性を提供していて、株式取引の市場発展に貢献していることは言えますので、間接的に企業の資金調達に手を貸していると考えることができます。

そのため、株式市場は取引自体を見るとゼロサムゲームですが、取引に限らず企業活動まで含めて考えると非ゼロサムゲームといえるのではないでしょうか。

株式はそのままではお金としては使えないため、株式を換金する必要があるという問題があり、評価額は必ずしも実際に手に出来ると金ではありませんが、現実には株価が変動し、時価総額が増えたり減ったりすることで、投資参加者が全員儲かる可能性も、損をする可能性もあります。そのため、非ゼロサムゲームといえるのでしょう。

配当金があるため非ゼロサムゲーム

さらに株式の場合には配当金があるため、企業価値の変動がなくても、配当金分プラスが増えていきます。その点からは非ゼロサムゲームといえます。

債券取引はゼロサムゲームか

債券取引も発行市場と流通市場があり、債券は国や企業の資金調達に用いられるという点は株式取引と同じです。また、債券投資は配当金の代わりに利息を得ることができます。

そのため、株式取引と同じ話になり、取引だけに注目すればゼロサムゲームと言えなくもないですが、現実的には、利息や償還差益などによってお金が増えて帰ってくるため、非ゼロサムゲームと考えてよいでしょう。

為替取引はゼロサムゲームか

通貨の交換取引だけを見るとゼロサムゲーム

為替取引はFXも含めて一般的にゼロサムゲームだと言われます。為替レートは、2通貨間の相対的な価値を示したもので、単なる交換レートに過ぎないという考え方が背景にあるようです。先ほどのりんごとみかんの例で言うと、りんご1個=みかん2個の世界で、りんごやみかんの値段を考慮しない場合に近いと言えます。

円やドルなどの通貨は本質的に価値を示しており、1円には1円、1ドルには1ドルの価値があって、それ以上の何物でもないという考え方になります。この場合は、ゼロサムゲームと考えてよいでしょう。

通貨量や為替レート変動を考慮すると非ゼロサムゲーム

しかし、通貨も中央銀行などの通貨発行主体が数量を増やすことができますし、2通貨間で相対的に数量を増やしている通貨が値上がりすれば、市場全体の通貨の価値も上昇していくため、ゼロサムゲームではなく、非ゼロサムゲームになると考えられます。つまり現実の世界では、通貨が一定ということはなく、通貨政策によって通貨は増やされます。

また、為替レートは変化します。例えば円とドルがあって、円だけ紙幣をたくさん刷って円紙幣を増やして市場に流通させ、金融政策などによって円高が実現された場合、市場に溢れた円が値上がりしているので、投資家全体の評価金額は増えている可能性が高いです。そうなるとゼロサムゲームではなくなるということです。

なお、為替取引を行っている人は通貨の価値の変化に影響をしているのでしょうか?通貨の数量を変えるのでは中央銀行など通貨発行主体なので、通常取引参加者が影響を与えることはできません。そして、為替取引はFXの場合、秒単位、分単位で取引が行われることがあります。ある通貨を買った人が数秒後に売っていることがあります。

この場合でも為替取引市場に流動性を供給していること、為替レートの価格変動にわずかでも影響を与えていることなどから、通貨の価値の変化に関係していて、取引参加の結果、通貨の価値変動が起きていると考えてよいと思われます。通貨の需要によっても通貨の価値は変動しているということもあります。そのため、為替取引への参加はゼロサムゲームではなく、非ゼロサムゲームであると考える余地があります。

ただし、感覚的には秒単位、分単位の取引は非ゼロサムゲームというよりもゼロサムゲームな感じがします。

ゼロサムゲームであるかどうかは重要なのか

生産的か非生産的か

ゼロサムゲームは参加者同士でお金を取り合うだけなので、非生産的で投機的なものだという指摘がされることがあります。しかし、為替取引は、純粋な投資家だけではなく、国境を越えて活動する企業や人が通貨を交換するために利用されていて、為替取引市場が発展することは経済活動にとって重要なことです。

そのため、非生産的なものではありません。先物取引やオプション取引も同じで金融市場参加者のリスクヘッジに使われているため、株式市場や為替市場などの市場取引の発展に間接的に貢献していて、やはり非生産的なものではありません。つまり誰かの役には立っています。

ゼロサムか非ゼロサムか、投資か投機か

投機的かどうかという問題ですが、株式取引や債券取引は企業などの発展に貢献するため投機ではなく投資であって、為替取引は投機というような指摘をされることがあります。どちらかといえば為替取引はゼロサムゲーム的な要素が強く、株式取引や債券取引は非ゼロサムゲーム的な要素が強いため、何となく納得できるような指摘です。

ただし、株式市場や債券取引にもゼロサムゲーム的な要素があり、投機的な部分もあるため、程度の問題であるとも考えられます。投資でも投機でもあるのではないでしょうか。

結局お金を増やせるかどうかが重要

資産運用のために投資をする場合、ゼロサムゲームかどうか、投資か投機か、生産的なのかどうかは重要なのでしょうか。資産運用の究極的な目的はお金を増やすことなので、お金が増えるならば問題がないように思えます。ゼロサムゲームでも、自分が資産を増やせるのならば資産運用の目的には合っています。それでも、本当に純粋なゼロサムゲームの場合、誰かの利益は誰かの損失なので、何となく受け入れられない人もいるかもしれません。

しかし、株式も債券も為替も非ゼロサムゲームとなる要素があるため、気にしなくても良いのではないでしょうか。問題なのは自分の投資行動でお金を増やせるかどうかだと思います。

まとめ

  • 株式や債券、為替の取引は取引部分だけを見ればお金と株式、お金と債券、通貨と通貨の交換で、ゼロサムゲーム的な色彩が強いです。
  • しかし、株式には企業価値変化により時価総額が変わり、配当金もあるため非ゼロサムゲームと考えてよいでしょう。債券も同様に償還差益や利息が得られるため、非ゼロサムゲームと考えてよいでしょう。
  • 為替は微妙な部分もありますが、現実的には通貨量と為替レートが変動するため、ゼロサムゲームとは言い切れない部分があり、非ゼロサムゲーム的な要素があります。
  • 資産運用では、お金を増やせるかどうかが重要であり、株式投資や債券投資、為替投資には投資的な部分も投機的な部分も両方あり、気にしても意味がないと考えられます。
  • 取引市場に参加することで、金融商品の価格形成や流動性の供給に貢献していて、経済の発展に間接的に貢献しているので、後ろめたさを感じる必要はありません。

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【株式や為替の取引はゼロサムゲームかの記事は終わりです】

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