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国債など債券の経過利子(経過利息)とは

記事作成日:2018年5月8日
最終更新日:2021年10月24日

債券の経過利子(経過利息)とは

経過利子(経過利息、accrued interest)とは、既に経過した期間に対応する債券(国債など)の利子(利息)です。経過利子(経過利息)は債券の取引時において、債券の保有者であった売り手に帰属するとみなされることから、経過利子(経過利息)に相当する金額が買い手から売り手に支払われる取引慣行があります。買い手は利払い日に前回の利息発生日の翌日から利払い日までの利息を受け取りますが、売り手に帰属する分は既に売り手に支払っているため、差し引きすると買い手の保有期間に対応した利息を受け取っていることになります。

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債券の利子(利息)は時間の経過に伴って発生

債券の利子(利息)は時間の経過に伴って発生するものです。そのため、債券の保有期間に応じて利子(利息)を受け取る権利が生じていると考えられます。ただし、債券を利払い日が到来する前に途中で売買すると、次回の利払い日に利子(利息)を受け取るのは買い手となり、何も調整をしないと売り手は一切利子(利息)を受け取れず不公平になります。

途中で債券が売買された時に調整するのが経過利子(経過利息)

そのため、前回利払い日の翌日から次回利払い日までに発生する利子(利息)について売り手と買い手の間で調整を行います。前回利払い日の翌日から受渡日当日までが売り手に帰属し、受渡日翌日から次回利払い日までが買い手に帰属すると考えて次のように経過利子(経過利息)を計算し、経過利子(経過利息)の金額を買い手が売り手に支払います。

経過利子(経過利息)の図解

経過利子(経過利息)=(前回利払い日の翌日から受渡日までの日数)÷(前回利払い日の翌日から次回利払い日までの日数)×次回利払い日に支払われる利子(利息)

経過利子(経過利息)の支払い:買い手(買主)

経過利子(経過利息)の受け取り:売り手(売主)

次回利払い日の利子(利息)を受け取るのは買い手

買い手は次回利払い日に前回利払い日の翌日から次回利払い日までの期間に対応する利子(利息)の全額を受け取りますが、買い手は経過利子(経過利息)を既に売り手に支払っているため、「利子-経過利子(売り手分)=買い手の利子」ということになります。

次回利払い日の利子(利息)の受け取り:買い手(買主)

経過利子(経過利息)は受渡日に支払われる

なお、次回利払い日に買い手が受け取ってから売り手に経過利子(経過利息)を支払う方法も理論的には考えられますが、約定して受渡が完了した後も利子(利息)のやりとりが発生することは手続き上煩雑になりますし、利子(利息)を受け取った買い手が売り手に迅速に支払うかどうかも不確実さが残ります。

そのため、受渡日において買い手が売り手に経過利子(経過利息)を支払い、取引を完結させてしまうのです。

裸値段(クリーン単価、クリーン価格、Clean Price)とは

裸値段(クリーン単価、クリーン価格、Clean Price)とは、債券の経過利子(経過利息)を含まない値段(単価、価格)を意味します。裸値段で取引を行う場合には、経過利子(経過利息)を裸値段とは別に支払います。

利含み値段(利含み単価、利含み価格、Dirty Price)とは

利含み値段(利含み単価、利含み価格、Dirty Price)とは、債券の経過利子(経過利息)を含む値段(単価、価格)を意味します。利含み値段で取引を行う場合には、経過利子(経過利息)が既に価格に含まれているため、別途経過利子(経過利息)を支払う必要はありません(既に含まれています)。

株式では経過配当金のような考え方はない

株式の取引でも、債券と同じように株式の売買時において配当金や株主優待の金額を保有期間で買い手への帰属分と、売り手への帰属分に分けることが考えられますが、株式では経過配当金のような考え方はありません。

株式においては、権利確定日に株式を保有している株主に配当金や株主優待、議決権などが与えられるのであって、保有期間に応じて発生するものではないからです。

一方、債券の利子(利息)は保有期間に応じて発生するものであると考えられるため、債券の取引時には保有期間に応じて、売り手と買い手に利息を分けるように、経過利子(経過利息)の支払いで調整するのです。

まとめ

  • 経過利子(経過利息)とは、既に経過した期間に対応する債券の利子(利息)です。
  • 経過利子(経過利息)は債券の保有者であった売り手に帰属するとみなされることから、債券の売買時には経過利子(経過利息)に相当する金額を買い手から売り手に支払う慣行があります。

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【国債など債券の経過利子(経過利息)とはの記事は終わりです】

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