債券のブレット型ポートフォリオの特徴とメリットやデメリット
記事作成日:2018年5月12日
最終更新日:2021年10月22日
債券のブレット型ポートフォリオとは、満期までの残存期間が一定(特に中期)の債券のみを集中的に保有する債券のポートフォリオです。
ブレット(bullet)とは弾丸という意味がありますが、中期債だけのポートフォリオは、残存期間と保有残高をグラフ化すると、グラフが弾丸に見えるため、ブレット型ポートフォリオと呼ばれます。
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ブレット型ポートフォリオの特徴とメリット
ブレット型ポートフォリオを、他のダンベル(バーベル)型など比べた場合の特徴やメリットについてです。
特定時期に満期を合わせたい場合に便利
ブレット型は中期債に集中的に投資を行うため、満期の償還金を得られる時期を調整しやすいという特徴があります。将来特定の時期に資金が必要となるため、必要となるまで資金を運用したいという場合には、ブレット型のポートフォリオとすることで、特定の時期に満期の償還金を集中させることができます。
利回り水準が高くなり金利安定時に有利
通常のイールドカーブでは中期債の部分が上に凸となって膨らんでいるため、中期債単独の場合と中期債と同じ(修正)デュレーションになるように短期債と長期債を組みあせた場合で利回りを比較すると中期債単独の方が高くなります。金利が安定的に推移したときは高い利回りによってダンベル(バーベル)型よりも有利になります。
途中の管理の手間がかかりづらい
短期債と長期債と組み合わせるダンベル(バーベル)型や各年限の債券を均等に組み合わせるラダー型は短期債が償還されると再投資をしなければいけないという管理の手間がありますが、ブレット型は大半の資金が集中的に償還されるため、短期債の償還に合わせた再投資という手間がかかりづらいことが特徴です。
ロールダウン効果を得やすい
イールドカーブは中期債の年限で傾きが急となっていることが多いため、ブレット型で購入する中期債の年限を工夫することによってロールダウン効果を得やすくなる場合があります。途中で債券を売却する可能性がある場合、短期間で効率よくロールダウン効果によるキャリー(保有によるリターン)を上げることができます。
中期金利が低下すると有利
バタフライシフトで、中期金利が低下し、短期金利の長期金利があまり低下しない場合、中期債に集中的に投資するブレット型のポートフォリオは有利になります。相対的に中期金利の大きな低下が見込まれるときはブレット型ポートフォリオにすると収益率が高まる場合があります。
債券のブレット型ポートフォリオのデメリット
ブレット型ポートフォリオを、他のダンベル(バーベル)型など比べた場合のデメリットについてです。
短期的な流動性の面で使い勝手が悪い場合も
ブレット型はダンベル(バーベル)型やラダー型と比べて短期債の償還が発生しないため、短期的に流動性の面で使い勝手が悪くなることがあります。特定の時期に償還金を合わせやすくなるのですが、それまでは償還が発生しないため、売却をしないで一定の流動性を確保したいという場合には向かないことがあります。
金利変化が大きいと不利
中期債は同じ(修正)デュレーションになるように短期債と長期債を組み合わせた場合よりも相対的にコンべクシティが小さくなるため、金利低下時には収益率のプラスが拡大されづらく、金利上昇時には収益率のマイナス幅が縮小されづらくなり、金利変化が大きくなるとダンベル(バーベル)型よりも不利になります。
まとめ
- 債券のブレット型のポートフォリオとは、特定の債券、特に中期債に集中的に投資を行うポートフォリオを意味します。
- ブレット型は、金利が安定して推移する時にダンベル型(バーベル型)やラダー型よりも有利になりやすいことがメリットで、金利が大きく変化すると不利ということがデメリットです。