イールドカーブのバタフライシフト(バタフライ)とは
記事作成日:2018年5月13日
最終更新日:2021年10月27日
イールドカーブのバタフライシフト(バタフライ:butterfly)とは、イールドカーブの曲率(曲がり具合、丸み)を変化させるイールドカーブの形状変化で、長短金利差が拡大・縮小するスティープ化やフラット化とは異なり、中期金利と短期金利・長期金利の差が拡大・縮小する動きになります。下に凸の状態となることをポジティブバタフライ、上に凸の状態となることをネガティブバタフライと呼びます。
スポンサーリンク
バタフライシフトはノンパラレルシフトの一種
ポジティブバタフライ・ネガティブバタフライはイールドカーブが平行に移動するパラレルシフトではない、非パラレルシフト(ノンパラレルシフト)の一種で、バタフライシフトと呼ばれることもあります。
イールドカーブの曲がり具合(曲率:curvature(カーベーチャー))
イールドカーブは、水準、傾き、曲率によって形状が決まっていると考えられます。曲率は、短期金利・中期金利・長期金利が異なった動きをすることによって変化します。特に短期金利・長期金利が同じような動きをし、中期金利が異なった動きをすることによってイールドカーブの曲がり具合が変化します。
ポジティブバタフライ(シフト)
ポジティブバタフライシフト(positive butterfly shift)とは、イールドカーブが通常の右上がりの状態よりも、こぶ(hump)が小さくなる、より直線的になる、下に凸となることをいいます。中期金利が通常のイールドカーブよりも相対的に低く、短期金利・長期金利が通常のイールドカーブよりも相対的に高くなると、ポジティブバタフライとなります。
金利が上昇しながらポジティブバタフライとなる場合、中期金利の上昇幅<短期金利・長期金利の上昇幅となります。長期と短期の金利が大きく上昇することによって、下に凸(凹)のイールドカーブとなります。
金利が低下しながらポジティブバタフライとなる場合、中期金利の低下幅>短期金利・長期金利の低下幅となります。中期金利が大きく低下することで、下に凸(凹)のイールドカーブとなります。
イールドカーブの湾曲化
イールドカーブが通常の状態よりも上や下に凸となることを湾曲化と呼ぶことがあります。湾曲とは曲がって弓型になるという意味があります。特に、イールドカーブの中期金利が大きく低下して、下に凸となり、弓の形となることを日本では湾曲化として表現する場合が見られます。
ネガティブバタフライ(シフト)
ネガティブバタフライシフト(negative butterfly shift)とは、イールドカーブが通常の右上がりの状態よりも、上に凸になる、こぶ(hump)が大きくなる、直線に近い状態ではなくなることをいいます。中期金利が通常のイールドカーブよりも相対的に高く、短期金利・長期金利が通常のイールドカーブよりも相対的に低くなると、ネガティブバタフライとなります。
金利が上昇しながらネガティブバタフライとなる場合、中期金利の上昇幅>短期金利・長期金利の上昇幅となります。中期金利が大きく上昇することによって、上に凸のイールドカーブとなります。
金利が低下しながらネガティブバタフライとなる場合、中期金利の低下幅<短期金利・長期金利の低下幅となり、長期と短期の金利が大きく低下することで、上に凸のイールドカーブとなります。
こぶ状イールドカーブ・ベル型曲線
イールドカーブがポジティブバタフライシフトによって、中期金利のところが上に凸となり、こぶ状になっているイールドカーブをこぶ状イールドカーブ(humped yield curve)やベル状曲線(bell-shaped curve)と呼ぶことがあります。
こぶ状イールドカーブ・ベル型曲線の状態は、中期金利が短期金利や長期金利よりも高くなった状態ですが、安定的に持続することは難しく、一時的・過渡的な状態であるとされています。
まとめ
- イールドカーブのバタフライシフトとは、イールドカーブの曲率(曲がり具合、丸み)を変化させるイールドカーブの形状変化で、中期金利と短期金利・長期金利の動き方の差によって生じます。
- バタフライシフトでは、下に凸の状態となることをポジティブバタフライ、上に凸の状態となることをネガティブバタフライと呼びます。