カレント銘柄(カレント債)とは
記事作成日:2018年5月4日
最終更新日:2021年10月25日
カレント銘柄とは、同種(発行時に同じ残存年限、同様の条件)の債券において一番最後に発行された銘柄、債券のことをいいます。カレント銘柄という言葉は、日本では代表的な国債である10年国債で良く用いられますが、10年国債に限らず、2年国債、5年国債、20年国債、30年国債などの他の残存年限の国債においても最新の銘柄をカレント銘柄と呼ぶことがあります。カレント銘柄は、単にカレントと呼んだり、カレント物、カレント債などと呼んだりします。
スポンサーリンク
カレント銘柄の例
例えば、日本の10年国債は毎月発行されていますが、新たな銘柄が発行されるとその銘柄がカレント銘柄となり、その1か月前に発行された銘柄はカレント銘柄ではなくなります(非カレント銘柄)。
以下の表(架空の例です)はある年の8月時点の特定の残存年限の国債の発行状況を示していますが、最後に発行された回号の銘柄がカレント銘柄で他の回号の銘柄は非カレント銘柄であることを示しています。
カレント銘柄は金利の指標となり注目される
カレント銘柄は市場金利の指標となることから利回り水準が注目されます。カレント銘柄は同種の債券の中で最も残存年限が長く指標性があるからです。通常カレント銘柄は指標性があることからも取引が活発で、発行から時間が経過してカレント銘柄でなくなると投資家の注目度も低下して取引が活発でなくなることがあります。
債券は時間が経過するにしたがって利回りが低下する
債券は発行されると、時間が経過するにしたがって徐々に利回りが低下していきます。時間経過とともに満期までの償還期間が短くなるため、残存年限が短くなっていきます。
イールドカーブが右上がりとなっている順イールドの状況下では、残存年限が短くなると、価格変動リスクや流動性リスクが下がるため、リスクの低下に応じて利回りが低下していきます(タームプレミアムの減少)。
同じ銘柄の利回りを継続して金利指標とすることはできない
債券は時間の経過とともに利回り(金利)が低下していくため、同じ債券の利回りを継続的に金利の指標とすることはできません。その債券も利回りは低下していくことから、同じ債券だけに注目していると、金利は常に下がり続けていくという結論になりますが、市場の金利は下がり続けているわけではありません。
そのため、金利の指標となる債券を一定期間ごとに別の債券に変更する必要があるのです。
国債などでは次々と同種の債券が発行される
一方で、国債などでは同じ残存年限の債券が定期的に一定量発行されていきます。例えば日本の10年国債は毎月発行されていくため、毎月一番新しい銘柄は変わっていきます。最後に発行された銘柄以外の銘柄はカレント銘柄ではなくなります。
その時々のカレント銘柄が金利の指標となる
新しく発行されるカレント銘柄(新発債)は既に発行された同種(同じ残存年限)の銘柄(既発債)の中で満期までの期間が最も長いため金利の指標としてふさわしいと考えられます。
その時々のカレント銘柄の金利が金利の指標となり、カレント銘柄の金利をつなぎ合わせたものがジェネリックの系列となります。
まとめ
- カレント銘柄とは、国債などにおいて同種(発行当時に同じ残存年限)の債券が多数ある場合に、最後に発行された銘柄(最近発行された銘柄)のことを指します。カレント銘柄はカレント、カレント債、カレント物などと呼ばれます。
- カレント銘柄は、同種の債券の中で一番残存年限が長いため、金利の指標として利用されます。時系列でカレント銘柄の利回りをつなぎ合わせて接続したものがジェネリックの系列になります。