金利の期間構造とは
記事作成日:2018年5月14日
最終更新日:2021年11月1日
金利の期間構造とは、債券の満期までの残存期間と利回り(金利)の関係のことを意味します。金利の期間構造は、横軸(X軸)を債券の満期までの残存期間(年数・年限)、縦軸(Y軸)を債券の利回り(金利)として両者の関係をグラフ化した利回り曲線(イールドカーブ)によって示されます。
金利の期間構造には、例えば、金利の絶対的な水準が高い、長期金利と短期金利の差が大きくイールドカーブの傾きが大きい、中期金利が相対的に低くイールドカーブの曲がり具合が大きい、といったようなことがあります。
金利の期間構造は、その時々における市場参加者の景気・金融政策見通しや需給動向などが反映されていて、金利の期間構造を見ることで投資家がどのような見方を持っているかを探ることができます。
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金利の期間構造の3つの要素
金利の期間構造は、基本的にイールドカーブ(利回り曲線)の水準、傾き、曲率(曲がり具合)という3つの要素によって決まります。
イールドカーブの水準
水準はイールドカーブ(利回り曲線)の水準が全般的に高いか、低いかどうかです。傾きや曲率によって個々の残存期間の金利水準は異なりますが、それでも全般的にイールドカーブの金利が高い場合と低い場合があります。
イールドカーブの傾き
傾きはイールドカーブ(利回り曲線)の傾きが大きいか小さいかどうかです。長期金利と短期金利の差が大きいと傾きが急になり、小さいと傾きが緩やかとなり平らな形状に近づきます。右上がりの傾きを順イールド、右下がりの傾きを逆イールドといいます。
イールドカーブの曲率
曲率(曲がり具合)はイールドカーブの曲率が大きいかどうかです。中期金利と長期・短期金利の関係によってイールドカーブは丸みを帯びたり、直線に近づいたりします。
金利の期間構造を決める要因
金利の期間構造を決める要因には、期待理論(純粋期待仮説)、流動性プレミアム仮説、市場分断仮説などがあります。いずれにおいても、債券市場における市場関係者の金利の見方や需給を反映していることになります。期待理論(純粋期待仮説)、流動性プレミアム仮説、市場分断仮説など考察されている動きが相互に影響しあって、金利の期間構造が決まっていると考えられます。
期待理論(純粋期待仮説)
期待理論(純粋期待仮説)は、金利の期間構造(イールドカーブ)は投資家の金利の期待(予想)に基づいて決定されるという考え方です。長期金利は将来の短期金利の予想の平均であると考えますが、将来の短期金利は将来における予想の政策金利が反映されています。つまり、投資家の金利予想が金利の期間構造の要因になっているということです。
流動性プレミアム仮説
流動性プレミアム仮説は、金利は期間が長くなるほど価格変動や流動性に関するリスクが大きくなるため、リスクの大きさに見合った金利の高さでないと投資家が投資をしないことから、金利は期間が長くなるほど高くなり順イールドになるという考え方です。残存期間の長さによるリスクが金利の期間構造に影響を与えていることです。
市場分断仮説
市場分断仮説とは、年限が異なる債券間では裁定取引が働かず、債券間で市場が分断されているため、それぞれの債券の需給によって金利が決定されるという考え方です。短期金利よりも長期金利が高くなっている順イールドの状態は、短期の金利への投資家が多いためだと説明されます。残存期間ごとの需給が金利の期間構造に影響を与えているということです。
まとめ
- 金利の期間構造とは、債券の満期までの残存期間と利回り(金利)の関係のことを意味します。
- 金利の期間構造は、横軸(X軸)を債券の満期までの残存期間(年数・年限)、縦軸(Y軸)を債券の利回り(金利)として両者の関係をグラフ化した利回り曲線(イールドカーブ)によって示されます。