札割れとは・札割れが示す意味と市場への影響
記事作成日:2018年4月4日
最終更新日:2021年10月25日
札割れ(ふだわれ)とは、入札において応札が少ないため入札予定額(募集額、オファー額)よりも応札額が少なくなってしまうことを意味します。日本では財務省の国債入札や日本銀行の資金供給オペレーション(買いオペ)など、債券に関する入札でよく用いられる言葉です。国債入札での札割れは国債需要が弱いため、国債への信用力あるいは利回りの投資妙味が低下していることを意味します。資金供給での札割れは、資金需要のなさや市場が安定していることを意味します。
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札割れが示す意味・市場への影響
国債入札で入札予定額(募集額)に応札額が満たなかった場合には、その国債に対する需要がなかったということを意味しますが、国が資金調達をできなかった、国債に対する信用が落ちているという意味で深刻な事態である場合があります。一方で、金利の低下によって投資妙味がなくなったため応札が少なかったという場合もあります。
国債入札の札割れは国債の信頼が失われていることを示す場合も
国債入札で札割れが発生してしまうということは、国債に対する信頼が失われているということを示す場合もあります。投資家が、予定通りクーポン(利息)が支払われないかもしれない、満期に償還されないかもしれない、金利急上昇で値下がりするかもしれないといったような懸念を持つと応札が少なくなってしまいます。
特に、利回りが高い条件での入札で札割れとなってしまった場合には、投資家からの信用がなくなっていることを示しているため、要注意です。好条件でも買いたくないということなのです。
この場合には、札割れの発生により、警戒が強まり、国債価格の暴落(金利の急上昇)を招く可能性があります。
利回りが低すぎて人気がなくなり発生する札割れも
近年では金融緩和によって、市場金利がほとんどゼロ、あるいはマイナスになってしまうことがあり、国債入札でも利回りがマイナスの場合があります。
あまりに低すぎる利回り、マイナス利回りの場合は投資家がほとんど儲からないからと、購入を見送る場合があります。国債に対する信用が失われていなくても、国債への投資妙味が薄れてしまうと、応札が集まらず札割れとなってしまうことがあります。
市場の金利が低下している場合、ゼロ金利やマイナス金利の場合の札割れは、国債の信用喪失ではなく、投資妙味のなさが原因となっていることが多いため、信用という意味での警戒はあまり必要ない場合があります。
この場合には、市場金利の水準が低いため需要がないということになるため、需給の緩みから国債価格が下落(金利は上昇)する可能性があります。
入札の札割れは発行体が資金調達できていないことを示す
入札での札割れは、入札を予定額だけ、応札がなかったということです。例えば、国債入札は国が国債を発行して、資金を得るために行われます。札割れになってしまったということは予定していただけ資金が集められなかったということなので、札割れが継続する場合は、国家の支出(歳出)に影響が出てくる事態も想定されます。
資金供給オペレーションでの札割れは資金需要のなさ・市場の安定を示す
中央銀行が金融緩和の手段として市場から資産を買い入れることで資金を供給することがあります。投資家は資産を売却して資金を受け取るのです。
日本銀行のオペレーション(公開市場操作)には資金供給オペレーションがありますが、市場で資金需要がない場合には札割れが発生することがあります。ただし、これは悪い兆候ではありません。
逆に資金供給に対して応札が多く需要が強いという場合は、市場が動揺していて、不安定であることを意味するため、応札が少なく札割れが発生するということは市場が安定しているとも解釈できます。
まとめ
- 札割れ(ふだわれ)とは、入札において入札予定額(募集額・オファー額)よりも応札額が少なくなってしまうことをいいます。
- 国債入札での札割れは、国債への信用力または利回りの投資妙味が低下していることを意味します。資金供給での札割れは、資金需要のなさや市場が安定していることを意味します。