yield to worst(YTW:最低利回り)の意味とは
記事作成日:2017年9月25日
最終更新日:2021年10月25日
yield to worst(YTW)の意味とは何かについてです。yield to worst(YTW)は債券で用いられる用語で、日本語では最低利回りと呼ばれることが多いです。最低利回り(yield to worst(YTW))は途中償還の可能性がある債券について、最も不利な条件で償還が行われた場合に想定される利回りのことです。似た言葉に最終利回り(yield to maturity(YTM))がありますが、こちらは途中償還がなく満期まで保有した場合の想定利回りのことです。
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yield to worst(YTW)の意味とは
yield to worst(YTW)とは、満期となる前に途中で繰り上げて償還される可能性がある債券について、投資家にとって最も不利な時点で償還が行われた場合の利回りを意味します。直訳すると最悪の利回りですが、複数ある可能性の中で最も不利な利回りということで、日本語にすると最低利回りと呼ばれています。
なお、債券の発行体が破綻して元本や利息の支払いが行われないデフォルトを想定するわけではありません。債券の契約条項などあらかじめ定められた途中償還が行われた場合を想定しています。
コーラブル債など途中償還がある債券で問題になる
債券には、発行体(借り手)が一定期間の経過など特定の状況下で債券を特定の条件で買い戻して繰り上げ償還することができるコール条項があるコーラブル債など、満期前に途中償還の可能性がある債券があります。
あらかじめ満期前の繰り上げ返済(償還)を認めているもの、コール条項が定められているもの、定期的に債券の一部を繰り上げ償還していくもの、抽選で債券の一部を繰上げ償還するものなど様々な種類がありますが、満期前に償還される可能性がある債券でyield to worst(YTW)が問題になります。
コーラブル債など債券の発行体が途中償還できる債券は、市中の金利が低下したら発行体は繰り上げ償還をして低い金利で資金調達をし直す(要は借り換え)ことができるため発行体にとってメリットがあります。
投資家にとっては、コーラブル債などは途中償還のリスクがあるために、利回りが高めに設定されることから一定のメリットがあります。コールされるまでの利回りをyield to call(YTC)と呼ぶこともあります。
なぜyield to worst(YTW)が必要なのか
途中で償還が行われない場合は債券を満期まで保有することで、元本のほか満期までの利息(クーポン)の支払いを受けることができます。この場合の利回りはyield to maturity(YTM:最終利回り)が用いられます。
しかし、途中で償還が行われると通常は償還が行われてからの利息(クーポン)が受け取れなくなるため投資家にとっては不利になります。途中で償還される可能性がある債券の想定利回りを、最終利回り(yield to maturity(YTM))で想定していると途中で償還が行われた場合に想定していた利回りを確保できない可能性があります。
なお、例外的に途中で繰り上げ償還が行われることで債券の発行体(借り手)がペナルティとして追加的な支払いを行わなければいけない定めがある場合もありますが、あまり一般的ではありません。
償還の可能性がある債券の利回りはyield to worst(YTW)で想定する
途中で償還の可能性がある債券は、最終利回り(yield to maturity(YTM))ではなく、最低利回り(yield to worst(YTW))で想定しておく必要があります。
もちろん、途中で償還されずに満期まで保有できる可能性もありますが、投資を行う上では慎重な見積もりを行う必要があります。ただし、最低利回り(yield to worst(YTW))の情報が得られない場合は、最終利回り(yield to maturity(YTM))を参考にしつつ、多少割り引いて利回りを想定することになります。
まとめ
- yield to worst(YTW)とは、満期となる前に途中で繰り上げて償還される可能性がある債券について、投資家にとって最も不利な時点で償還が行われた場合の最低利回りを意味します。
- 最低利回り(yield to worst(YTW))と似ている最終利回り(yield to maturity(YTM))は満期まで保有した場合の想定利回り、最低利回り(yield to worst(YTW))は途中償還される場合に最も不利なケースの想定利回りという違いがあります。