生活に役立つお金の知識と情報です。
※本サイトは広告を掲載しています。

コモディティ(商品)の価格変動要因(上昇要因・下落要因)

記事作成日:2017年9月5日
最終更新日:2022年1月11日

コモディティ(商品)の価格変動要因(上昇要因・下落要因)

コモディティ(商品)の価格変動要因(上昇要因・下落要因)についてです。コモディティにはエネルギー、産業用金属、貴金属、農産物(厳密には農作物)、畜産物などがありますが、需給やドル、株価、金利、景気動向などコモディティ全般に共通して影響を与える価格変動要因と、エネルギー、産業用金属、貴金属、農産物、畜産物に固有の価格変動要因があります。

スポンサーリンク

コモディティ(商品)に共通する価格変動要因(上昇要因・下落要因)

コモディティ(商品)全般に共通する価格変動要因(上昇要因・下落要因)についてです。コモディティの銘柄によって価格への影響度合いは異なりますが、コモディティ価格を動かす要因です。

需要・供給

コモディティ価格は需要と供給のバランスによって変動します。需要が多くなる場合・供給が少なくなる場合には価格の下落要因となり、需要が少なくなる場合・供給が多くなる場合には価格の上昇要因となります。需要や供給の変化は様々な要因によってもたらされます。

ドル

米ドル建ての価格は米ドルが上昇すると米ドル以外の通貨を保有する主体からみると割高になるため買いが減少し、価格下落要因となることがあります。逆に米ドルが下落すると米ドル以外の通貨を保有する主体からみると米ドル建ての価格は割安になるため買いが増加し、価格上昇要因となることがあります。

株価

株価動向はコモディティ価格に影響を与えることがあります。コモディティの中でもリスク性資産との相関が強い銘柄は株価の上昇が上昇要因となることがあります。逆に安全資産とされる金などは株価の上昇が下落要因となることがあります。

金利

コモディティは配当や利息がないため価格変動、キャピタルゲインが利益の源泉になります。一方で、金利(債券利回り)が上昇すると、最後まで保有するとデフォルトがない限り利回りが確定する債券の魅力が相対的に高まるため、金利が上昇するとコモディティ価格の下落要因となります。逆に金利が低下するとコモディティ価格の上昇要因となります。

景気動向

景気動向はコモディティの需要に影響を与えるため重要な価格変動要因となります。景気が良い時には、産業向けや宝飾品向けのコモディティの需要が多くなるため価格の上昇要因となります。一方で、景気が悪い時にはコモディティの需要が少なくなるため価格の下落要因となります。

所得

人々の所得が増加するとコモディティの需要に影響する場合があります。宝飾品需要は所得水準が上がってゆとりが出てくることで増大することがあります。

人口

人口が増加するとコモディティの需要が増加するため価格変動要因となります。農産物や畜産物など人の食料として用いられるコモディティは人口が直接的に需要を左右します。

通商政策・貿易政策

政府の通商政策・貿易政策がコモディティ価格に影響する場合があります。資源ナショナリズムや外交的な思惑を背景にコモディティの輸出を規制するような場合には供給減少となって価格の上昇要因となることがあります。

投資需要の強まり

コモディティには実物資産としての需要と投資資産としての需要がありますが、投資資産としての需要が強まった場合には、需要の増大によって価格上昇要因となります。安全資産としての逃避先といったような場合が挙げられます。

投機的な動き

コモディティの中には市場規模が比較的小さいことから、大きな売買注文が入ることによって価格が急速に変化する場合があります。投機筋の極端な投資行動によって価格変動が発生する場合があります。

地政学リスク

コモディティの生産国や周辺地域、輸送経路となる地域における内戦・地域紛争・テロ・反政府運動などは生産・供給の減少につながるため価格上昇要因となることがあります。特に中東に産油国が多い原油は中東情勢が価格に大きな影響を及ぼす場合があります。

在庫

コモディティの在庫が増加すると需要の弱さ、供給の多さが意識されることがあり、価格の下落要因となる場合があります。ただし、需要期に備えて意図して在庫を積み上げている場合には、価格の下落要因とはならない場合があります。

大規模な企業等(メジャー)による寡占化

コモディティの生産や流通が少数の大規模な企業等(メジャー)によって寡占化されてしまうと、供給をコントロールすることによって価格を統制することができるため、価格が上昇しやすくなることがあります。

エネルギーの固有の価格変動要因

原油などエネルギーの固有の価格変動要因(上昇要因・下落要因)です。

産油国の増産・減産

産油国の間で原油の生産に関して減産で合意する場合や増産の枠を設ける場合があります。また、産油国間の協定を無視して増産する場合もあります。産油国が増産する場合には供給が増加するため価格下落要因となる一方、減産する場合には供給が減少するため価格上昇要因となります。

米国のシェールオイル

近年、米国ではシェールオイルの生産が盛んになり、原油価格に大きな影響を与えるようになっています。

シェールオイルは一般的に通常の原油よりも生産コストが高いとされていますが、迅速に生産調整ができるため、原油価格が上昇するとシェールオイルの生産が増えて価格の上昇を抑える一方、原油価格が下落するとシェールオイルの生産が減少して価格の下落を抑える傾向があります。

季節的な需要

エネルギーには季節的な需要の変動がある銘柄があります。例えば、米国では夏はドライブシーズン(ドライビングシーズン)とされガソリン需要が増える時期です。ヒーティングオイル(暖房油)は冬にかけて需要が増えます。

採掘施設・精製施設の操業停止

石油採掘施設や精製施設(工場)などが自然災害や事故などによって操業停止になると、関連するエネルギー銘柄の価格上昇要因となることがあります。採掘施設や精製施設が集積している地域へのハリケーンなどの被害が考えられます。

産業用金属・貴金属(鉱物)の固有の価格変動要因

銅や亜鉛などの産業用金属、金やプラチナなどの貴金属の固有の価格変動要因(上昇要因・下落要因)です。

金属リサイクルの活発化

金属の場合はエネルギーや農産物・畜産物と異なり工業製品の部品や材料として使用しても金属そのものはなくならず、回収して再利用できる場合があるということが特徴です。

金属を含む製品からのリサイクル技術が確立し、リサイクルが活発化する場合には供給の増加となるため、価格下落要因となります。

鉱山事故・自然災害・環境汚染による操業停止

鉱山事故や自然災害の発生によって採掘に影響が出ると鉱物の産出量が減少し、鉱石・地金の供給減少につながり、価格上昇要因となることがあります。また、採掘によって環境汚染への影響が懸念されると操業が停止される場合があります。

鉱山労働者による労働争議・ストライキ

過酷な鉱山で働く労働者が待遇の改善を求めて労働争議・ストライキを行った場合には、操業が困難となり供給が減少し、価格上昇要因となることがあります。また、鉱山労働者の賃金上昇は産出コストの増加となるため、価格上昇要因となります。

代替品への移行

コモディティの中には類似する物で代替品とすることができる場合があります。金属の場合は、類似した性質を持つ別の金属で代替品とすることができます。需要が代替品に一部が移行することで需要の減少につながり、価格下落要因となります。

技術の発展による需要の変化

技術が発展することによって産業向けの金属は需要が変化する場合があります。新技術の開発によって新たに金属需要が発生したり、需要がなくなったりすることがあります。

農産物・畜産物の固有の価格変動要因

農産物(厳密には農作物)・畜産物の固有の価格変動要因(上昇要因・下落要因)です。

季節的な需要

農産物にはお正月にかけて需要が増加する小豆のように季節的な需要の変動が発生するものがあります。需要が増える時期には価格が上昇する場合があります。

季節的な収穫期

農産物は通常収穫期があり、1年の間を通じて均等に生産されるわけではありません。そのため、季節的な収穫期があることによって供給に影響があり、価格変動要因となることがあります。供給が増えると価格の下落要因となり、減ると価格の上昇要因となります。

異常気象や自然災害

農産物や畜産物は異常気象や自然災害によって生産量に影響を受ける場合があります。干ばつ・台風・ハリケーン・サイクロン・少雨・洪水・高温・低温・火山の噴火・地震などの異常気象や自然災害によって収穫量・生産量が減少し、価格上昇要因となることがあります。

疫病の発生

農産物や畜産物に被害を与える疫病が発生した場合には、農産物や畜産物の生産量が減少し、供給の減少から価格の上昇要因になることがあります。

家畜の増加

家畜の飼料用の需要がある農産物は家畜の増加によって需要が増加するため、価格の上昇要因となることがあります。

バイオエタノール需要の高まり

農産物の一部は食料や飼料としてだけではなく、バイオエタノールとして利用されることがあります。農産物の工業向け需要など本来の用途とは異なった需要が増えると、需要の増加となるため価格の上昇要因となることがあります。

豊作・不作

気候などの要因によって農産物が豊作または不作となった場合には供給の増加または減少となり価格変動要因となることがあります。

小麦、とうもろこし(コーン)、米、大豆などの穀物は、基本的に生産物は自国の消費に回され、余った分が輸出に回されることになりますが、生産量が多くても、国際的に取引される量が少ない場合があり、銘柄によっては僅かな生産量の変動が市場価格に大きな影響を与える場合もあります。

代替需要

農産物や畜産物は食料品として用いられる場合、食料として代替の関係にあるため、特定の銘柄が上昇した場合には他の銘柄に代替需要が発生するため、相互に関連した動きをする場合があります。

まとめ

  • コモディティ(商品)銘柄全般の価格変動要因となるのは、需給やドル、株価、金利、景気動向などです。
  • エネルギーは産油国の生産状況などが、産業用金属や貴金属は鉱山でのストライキなどが、農産物や畜産物は収穫期と端境期というような季節的な要因や豊作・不作などが固有の価格変動要因となります。

スポンサーリンク

【コモディティ(商品)の価格変動要因(上昇要因・下落要因)の記事は終わりです】

「資産運用|お金を増やす」のページに戻る



SNSでシェア・ブックマーク・後で読む

Twitter Facebook LINE はてな Pocket
最近よく読まれているページ
家計・節約のおすすめページ

ページの先頭へ