ビットコインなど仮想通貨投資のリスクやデメリット
記事作成日:2018年1月9日
仮想通貨に投資する際のリスクやデメリットについてです。近年、仮想通貨は急速な値上がりとなったことから、短期間で莫大な値上がり益を得た人が出ていることは事実です。一方で、仮想通貨にもリスク・デメリットが存在します。また、急な価格上昇はバブルである可能性があります。漠然と仮想通貨は怖い、危ないと思うことも機会損失につながる場合がある一方で、ずっと値上がりが続く、儲けられれば何でもいいという考え方も危険です。どのようなリスクやデメリットがあるのかを正確に理解することはとても重要です。
仮想通貨は価格変動リスクが大きい
ビットコイン(bitcoin)などの仮想通貨は価格変動が大きいという特徴があります。株式や為替などと比較しても大きな価格変動が発生することがあります。
もちろん、価格下落率が大きくなることがあるということだけでなく、価格上昇率が大きくなるということもあるため、価格変動が大きいこと自体にはメリットもデメリットもあります。大きく値上がりすることで大きく儲かる場合もあります。しかし、値を下げる時は一気に下落してしまう可能性があります。
値上がりが続いている時は、ずっと値上がりが続くのではないかと考えてしまう場合もありますが、どのような資産も基本的に値上がりすることがあれば値下がりすることもあるのです。
仮想通貨の価格はバブルの可能性がある
仮想通貨は近年大きく価格が値上がりしており、極端に過熱した、泡(バブル)のように膨らんだ状態である可能性があります。仮想通貨については何年も根拠がない上昇でバブルである、バブルであると言われ続ける中、上昇が続いてきました。しかし、経験則に照らせば、極端な価格上昇は続かないとも言えます。
仮想通貨が実はまだ過小評価されていて上昇余地があるのか、過大評価されていてバブルなのか、将来になってみないと分からない部分もあります。しかし、人類の歴史の中でバブルが繰り返されてきたことも事実です。
仮想通貨の取引を行うのであれば、バブルの可能性があるということを認識しておくことが資産を守ることにつながると考えられます。
仮想通貨は目安となる価格水準が分からない
仮想通貨全般について、目安となる妥当な価格水準が分からないということが指摘できます。株式であれば発行元企業の解散価値となる純資産額や利益などを基に妥当な価格水準を探ることができます。
しかし、仮想通貨は市場に登場して間がないことに加え、本質的な価値は何か投資家の間で共通の理解・認識がないことから、妥当な価格水準の目安を探ることが難しくなっています。
もちろん、仮想通貨に対して既存の法定通貨に代わる交換機能に価値を見出した上で、銀行などの為替業務の付加価値の総額に相当するといったような考え方も1つのアイデアですが、将来仮想通貨が経済・社会の中でどのような役割を果たすのか予測は困難なのです。
そうなると、仮想通貨の売買は、市場での取引実績に基づくテクニカル分析に依存する部分が大きくなりますが、投機的な売買になりがちとなってしまいます。
仮想通貨は相場操縦などリスク
仮想通貨の中には時価総額が大きくない仮想通貨、少数の人の保有率が比較的高い通貨があります。時価総額が大きくない場合には、自らが多額の売買注文を出したり、SNSなどを通じて買いや売りを扇動したりすることで相場を都合がいいように操ってしまうリスクが高まります。
また、少数の人の保有率が比較的高い場合、連携して売買を行うことで相場操縦を行うリスクもあります。
仮想通貨の相場の方向感を示唆する人がいた場合には、相場を望む方向に動かしたいという意図から発言を行っていないかについて慎重に見極める必要があります。
取引所から仮想通貨が盗まれてしまうリスク
仮想通貨の取引自体はブロックチェーンの技術によって比較的安全に行われるとの認識が一般的です。しかし、仮想通貨を預かる取引所については安全とは限らないと考えられ、仮想通貨が取引所から盗まれてしまうリスクがあります。
仮想通貨はデジタル通貨、すなわち電子的なデータであるため、取引所に対して不正なハッキングが行われることによって仮想通貨が流出してしまうリスクがあります。また、取引所の関係者が不正に仮想通貨を流出させてしまうリスクもあります。
仮想通貨の取引所が破綻してしまうリスク
仮想通貨を預かる取引所が何らかの理由によって破綻してしまい、預けていた仮想通貨が引き出せなくなってしまうリスクがあります。いわゆるカウンターパーティーリスクですが、仮想通貨の取引所を選ぶ際には、信頼できる取引所かどうか、セキュリティ対策は充実しているか、補償制度があるかなどを見極める必要があります。
しかし、外部からは窺い知ることができない事情もあるため、取引所を分散することもリスク対策となります。
仮想通貨に対する法規制が変更されるリスク
ビットコインなどの仮想通貨に対する世界各国の姿勢は様々で、取引を禁止している国、強く規制している国、規制がほとんどない国があります。また、仮想通貨に対する規制は今後変化していく可能性があります。
仮想通貨の経済的・社会的な影響力が大きくなっていく中で、仮想通貨に対する何らかの規制が行われることによって、仮想通貨の価格変化が発生するリスクがあります。日本では全面的に違法とされるリスクは極めて低いと考えられますが、国によっては将来仮想通貨に対する強い規制を行う可能性がないとは言い切れません。
世界のどこかの国で仮想通貨に対する規制が強化された場合、仮想通貨の価格に影響を与える可能性があります。
仮想通貨に対する税制が変更されるリスク
仮想通貨に対する税制については、日本においても国税庁が見解を出すなどしており、課税関係に関する情報が明らかになりつつあります。時間の経過に伴って税の適用関係については情報が充実していくと考えられます。
しかし、今後仮想通貨の所持や取引に関する税制度が変更される可能性があります。日本以外の国においても税金に関して見直しが行われていく可能性があります。
税制度は基本的に支払う税金に影響するものですが、仮想通貨に関する税制の変更によって、仮想通貨投資の魅力が減少してしまうような場合には、仮想通貨の価格自体に影響を与えることもあるため、注意が必要です。
資金集めを目的とした詐欺の仮想通貨であるリスク
仮想通貨には有名なビットコイン以外にも多数の仮想通貨があります。仮想通貨の取引が始まった初期の頃にビットコインの代わりになる仮想通貨ということでビットコイン以外の仮想通貨をアルトコインと呼んだことから、ビットコイン以外の仮想通貨をアルトコインと呼ぶことがあります。
ビットコイン以外の仮想通貨、アルトコインは多数ありますが、中にはお金儲け、資金集めを目的に作られた詐欺を行うための仮想通貨があり、投資する仮想通貨を間違えてしまうと思わぬ損失を被ってしまうリスクがあります。
仮想通貨は注目されていない時点で先回りして買っておくことで、値上がりしてから莫大な利益を得られる事例があることから、知名度がない仮想通貨に投資する動きもありますが、単なる詐欺の仮想通貨もあり、知名度が低い仮想通貨などには特に注意が必要です。
仮想通貨の取引量が減って売買ができないリスク(流動性リスク)
投資家による仮想通貨の売買が盛んに行われている間は売買が成立しやすく、買いたい時に買えない、売りたい時に売れないということはあまりないかもしれません。しかし、投資家の関心が薄くなり、取引量が減少してしまうと売買が難しくなってしまうことがあります。
売買が少なくなってしまい、流動性が少なくなってしまうと、価格変動が極端になってしまうリスクがあります。また、大量の仮想通貨を保有している場合は、換金が難しくなることがあるだけでなく、自らの売買行動が価格変動を発生させてしまう可能性があります。
自分の仮想通貨を売ろうと思ったら、自分が出した売りで価格が下がってしまうということがあるのです。
仮想通貨には様々な種類がありますが、投資家から注目されなくなってしまった仮想通貨は取引量が激減してしまうリスクがあります。また、仮想通貨全体に対する信頼が薄れてしまった場合は、仮想通貨そのものの取引量が減少してしまうリスクがあります。
システム障害などによって仮想通貨の取引ができないリスク
仮想通貨に限らないリスクですが、取引所などにシステム障害などが発生し、仮想通貨が取引できなくなるリスクがあります。短期間であれば、損失を被ることはないかもしれませんが、不具合が長期化する場合には、取引できない間に大きな価格変動が発生し、大きな損失が生じるリスクがあります。また、何かのきっかけで仮想通貨が失われてしまうリスクも想定されます。
仮想通貨の取引所を分散しておく、一部の資金を日本円などの法定通貨に換金しておくなどして、リスクに対して備えておくことが重要となります。
ウォレットの仮想通貨を失ってしまうリスク(管理リスク)
ウォレットとは仮想通貨を保管しておく財布の役割を果たすもので、インターネット上のオンラインウォレット(ウェブウォレット)、パソコンやスマートフォンなどをウォレットとして利用するローカルウォレット(クライアントウォレット、パソコンウォレット、スマートフォンウォレット)、紙を利用してオフラインで保管するペーパーウォレット(コールドウォレット)、専用の端末にデータを移して保管するハードウェアウォレットがあります。
端末や紙などの場合にはウォレットを物理的に破損・盗難・紛失してしまうリスクがあります。ペーパーウォレットは他人に内容を見られてしまうことで仮想通貨を奪われるリスクがあります。ウォレットのパスワード、パスフレーズを忘れてしまうと仮想通貨にアクセスできなくなるリスクがあります。
送金先を間違えることによって仮想通貨を失うリスク
仮想通貨を送金する場合には、送金先アドレスの入力が必要となりますが、送金先の設定を間違えてしまうと、仮想通貨を失ってしまうリスクがあります。特に、間違えて入力した送金先が実在している場合は送金した仮想通貨を取り戻すことは極めて困難であると考えられます。
仮想通貨を取引所から引き出す場合などに問題となるリスクです。
仮想通貨の送金に時間がかかるリスク
ビットコインなどの送金の際には取引の承認作業が行われることになりますが、取引量が多くなってくると処理が追いつかずに送金の承認作業に時間がかかってしまう場合(いわゆる送金詰まり)があります(スケーラビリティ問題)。
送金に数日を要する場合もあり、送金している間に仮想通貨の価格変動が発生すると機会損失となってしまう場合があります。送金が完了しないことで、心理的にも不安な状態となります。
仮想通貨の送金手数料が高騰するリスク
ビットコインなどの送金が盛んになった場合には、取引の承認作業に対して支払われる報酬の原資となる送金手数料が高騰するリスクがあります。
仮想通貨の取引の承認作業を行うマイナーに対しては新たな仮想通貨の発行と取引の手数料が報酬として支払われますが、仮想通貨の発行枚数には上限があり、新たな仮想通貨の発行が減少すると、代わりにより多くの手数料が報酬の原資として求められる可能性があるからです。
仮想通貨が実際の取引に使えなくなるリスク
仮想通貨は実際の店舗での買い物に利用できる場合があります。しかし、仮想通貨の価格変動が大きくなってしまい取り扱いが難しくなる、送金に時間がかかる、送金手数料が高騰するなどの理由から、実際の取引での利用を手控える動きが広がるリスクがあります。
仮想通貨から決済手段としての機能が失われてしまえば、仮想通貨の魅力の一部が失われてしまうことになり、価格下落を招くリスクがあります。
仮想通貨に対する信頼が失われるリスク
仮想通貨は、仮想通貨に価値があると考える人がいることによって価格が支えられています。しかし、仮想通貨は信頼できない、仮想通貨に価値はないというように考えられるようになってしまうと、仮想通貨の価値がなくなってしまう、価値がゼロになってしまう恐れがあります。
株券であれば紙くずになるというような言い方がされることがありますが、デジタルデータである仮想通貨が電子ゴミとなってしまうリスクがあるということです。
仮想通貨が予期しない原因によって成り立たなくなる、仕組みが破綻してしまうリスクも考えられます。
まとめ
- ビットコインなどの仮想通貨のリスク・デメリットとして、価格がバブルの状態になっている可能性があること、価格変動が大きいこと、取引所がハッキングに遭い仮想通貨が失われてしまうリスクがあること、仮想通貨を保管するウォレットを上手く管理できずに仮想通貨を失ってしまうリスクがあることなどが挙げられます。
- また、仮想通貨の中にはそもそも詐欺を目的として発行されたものがあるほか、ビットコインなどの仮想通貨の送金に時間がかかるようになったり、送金手数料が上がったりするリスクもあります。