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円高のメリットとデメリット

記事作成日:2016年7月18日
最終更新日:2022年1月31日

円高のメリットとデメリット

円高のメリットとデメリットについてわかりやすくなるようまとめました。円高になると輸出が不利になり輸入が有利になります。また、海外旅行に行きやすくなりますが、日本への旅行はしづらくなります。海外に資産を持っていれば円価格は値下がりします。円高になると輸出の低迷から不景気になりやすいと言われますが、輸入品の価格下落は国内消費にはプラスになるため、一概には言えない部分があります。また、円高はデフレを招きやすいといえます。

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円高と円安のメリットとデメリットの比較

円高と円安のメリットとデメリットを簡単にまとめて比較すると次の表のとおりになります。円高のメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。

円高と円安のメリットとデメリットの比較
項目円高円安
輸出不利有利
輸入有利不利
海外旅行有利不利
日本旅行不利有利
海外から見た
国内資産
値上がり値下がり
日本から見た
海外資産
値下がり値上がり
物価低下上昇

円高のメリット

円高のメリットについてです。円高のメリットは、輸入が有利になる、海外への旅行が有利になる、海外からみた国内資産が値上がりするため買いづらくなり、日本から見た外貨建ての海外資産が値下がりするため買いやすくなるということが挙げられます。

  • 輸入が有利になる
  • 海外旅行が有利になる
  • 国内資産が値上がりし買われづらくなる
  • 海外資産が値下がりし買いやすくなる

円高は輸入が有利になる

円高は輸入品価格の低下につながるため、輸入は有利になります。

輸入品が安くなり買いやすくなる

円高になると輸入品の値段が外国通貨建ての場合、外国の通貨を円に換算した金額が安くなるので輸入品の価格が低下します。昔は輸入品と言えばブランド物の高級品のイメージがありましたが、ありとあらゆるものが輸入されているので、様々な商品の値段が低下します。円高の時には円高還元セールなどと銘打たれて安売りが行われることがあります。

企業の輸入品の原材料や部品の調達コストが下がる

日本は資源に乏しい国なので、企業が生産に使う原材料の多くを輸入しています。代表的なものが原油や天然ガスなどのエネルギーです。また、国際的な分業、サプライチェーン(供給網)の構築が進んだことから、原材料に限らず中間生産物の部品なども多く輸入されるようになっています。

円高になることで、外国通貨建てで契約される原材料の円換算の価格が低下するので企業の調達コストが下がり、最終製品の価格低下や企業利益の増加につながります。

円高は海外旅行に行きやすくなる(海外旅行が有利)

円高ということは円の価値が高まることを意味しているので、外国の通貨を安く買えるようになります。海外旅行に行くために円をドルなど外国の通貨に交換する時は有利になります。外国の通貨が安く手に入るようになれば、海外旅行に割安で行けるようになり、海外旅行に行く人が増えやすくなります。

円高は日本の不動産などの資産や企業が買われづらくなる(国内資産が値上がり)

円高は外国の通貨に対して円の価値が高くなることなので、円建ての価格で表示される日本の株式、債券、不動産などの資産や日本企業は円高になると、割高になるため外国の人に買収されづらくなります。

単純に外国の人に買収されないから良いとか悪いとかということではありませんが、企業が安く買いたたかれるようなことが少なくなり、投機的な不動産投資も発生しづらくなるので、経済のかく乱要因になりづらい側面があります。

円高は外国の不動産などの資産や企業が買いやすくなる(海外資産が値下がり)

円高になると外国の通貨に対して円の価値が高まったということになるので、外国通貨で価格が表示される外国の資産が実質的に値下がりし買いやすくなります。

円高になると、外国の株式、債券、不動産などの海外資産や、外国の企業が買いやすくなります。円高になると海外企業に対するM&A(買収・合併)がしやすくなります。

円高のデメリット

円高のデメリットについてです。円高になると輸出が不利になる、日本への旅行が不利になる、海外資産が値下がりし評価額が減少する、デフレになりやすくなるなどのデメリットがあります。

  • 輸出が不利になる
  • 日本旅行が不利になる
  • 海外資産が値下がりし評価額が減少する
  • デフレになりやすくなる

円高は輸出が不利になる

円高は輸出品価格の上昇や輸出企業の利益悪化につながり輸出は不利になります。

円建ての輸出品が高くなり価格面で輸出競争力が低下する

輸出品の値段が円建ての場合、ドルなど外国の通貨に換算した場合の値段が上昇し、輸出品の価格競争力が落ちます。例えば機械1つが100万円として輸出した場合、1ドル=100円から1ドル=95円の円高ドル安になると、機械のドル建ての価格は1万ドルから1万526ドルに値上がりします(100万円÷100=10,000ドル、100万円÷95=10,526ドル)。

外国通貨建ての輸出品の利益が減る

輸出品の値段がドル建ての場合には、輸出で得たドルなど外国の通貨を円に交換した時に得られる金額が少なくなり、利益が減ります。例えば機械1つが1万ドルとして輸出した場合、1ドル=100円から1ドル=95円の円高ドル安になると、得た1万ドルは100万円から95万円に円建ての金額が少なくなります(1万ドル×100=100万円、1万ドル×95=95万円)。

輸出量や利益の減少で輸出企業が苦しくなる

円建ての輸出品の場合は競争力の低下、ドル建ての輸出品の場合は為替差損による利益の減少で、円建てでもドル建てでも輸出企業にとって円高がマイナスになります。輸出企業が苦しくなり、国内の経済にも波及すると円高が原因の円高不況になりますが、近年では円高と円安のどちらも景気にプラスの影響とマイナスの影響の両方があり、一概に円高なら不況になるとは言いづらくなっています。

円高は外国人観光客が減りやすくなる(日本への旅行が不利)

円高は円の価値が高まることを意味しているので、日本の通貨が高くなり、買いづらくなります。その結果、外国人観光客が来づらくなるほか、日本国内で円による買い物をしづらくなります。

円が買いづらくなり外国人観光客が日本に来づらくなる

円高になるということは外国通貨に対して円が値上がりすることなので、海外から日本にやってくる外国人観光客の人から見ると円が割高になってしまい、円を買いづらくなってしまいます。そのため、日本への観光客数が減ったり、日本の国内で使うお金が減ったりする可能性があります。

外国人の消費(インバウンド消費)が減りやすくなる

外国から日本にやってくる観光客の人が減ると、日本で外国人観光客向けビジネスをやっていた人が打撃を受けることになります。百貨店やデパートなどの小売業・卸売業、ホテルや旅館などの宿泊業、日本食を提供する飲食業、鉄道や船、航空機、バスなど観光客の移動に関わる運送業など様々なビジネスに悪影響が出て、外国人による消費(インバウンド消費)が減ることになります。また、日本国内では円で買い物をしますが、円が高くなって買いづらくなると、円による買い物が減るため、消費単価も減ることになります。

円高は海外資産が値下がりし円建ての評価額が下がる

円高になると外貨預金、外国株式、外国債券、外国不動産など海外の外国通貨建て資産の価値が下がります。例えば、アメリカに100万ドルの価値の不動産を保有していた場合、1ドル=100円から1ドル=95円の円高になると、100万ドル=1億円あった価値(100万ドル×100=1億円)が、100万ドル=9,500万円の価値(100万ドル×95=9,500万円)に下落してしまいます。

不動産を例にしていますが、株式、債券、外貨預金など資産の種類を問わず、ドルなどの外貨で価値が表示されている資産は円高になると、円で表示した円建ての価格が減少します。

円高は輸入品の価格下落からデフレに陥りやすくなる(物価が低下)

円高になると輸入品の価格が下落するため、国内の消費者にとっては輸入品が買いやすくなるというメリットがありますが、国内の生産者・販売業者は安くなった輸入品に対抗するために値下げをしなければいけなくなります。

値下げをするためにはコストを抑えなければいけませんが、人件費にしわ寄せが言った場合には、雇用の喪失や賃金の低下につながります。輸入品の値下がりが国内の商品やサービスの値下げを誘発するとデフレに陥りやすくなります。

円高と景気の関係

円高になると、一般的には、輸出量の減少や輸出企業の業績悪化から、国内景気を悪化させやすいとされています。また、円高になると株価が下落しやすい傾向があります。

しかし、近年は輸入金額が輸出金額を上回る場合もあり、円高による輸入品の価格低下が国内の景気に与える好影響も無視できない状況になっていると考えられます。

円高になると景気にマイナスの影響があると考えられますが、以前よりはマイナスの影響は緩和している可能性があります。

まとめ

  • 円高になると、輸出は不利になる一方で、輸入は有利になります。海外旅行には行きやすくなりますが、日本への旅行は来づらくなります。
  • 円高になると、海外資産の円建て金額が値下がりすることになるため買いやすくなりますが、海外資産を保有していると評価額が減少します。

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【円高のメリットとデメリットの記事は終わりです】

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