円高と円安をわかりやすくするコツ
記事作成日:2016年7月17日
最終更新日:2022年1月29日
円高と円安をわかりやすくするためのコツを説明します。円高と円安は慣れるまでどちらが円高でどちらが円安か混同しやすく、迷いやすいです。分かりづらくしている原因が、1ドル=100円の交換レート(比率)が1ドル=90円になると円高というように、100円から90円に安くなっているのに円高と、値段が下がっていて安いはずなのに円高といってしまうことにあります。逆に、1ドル=100円の交換レートが1ドル=110円になると円安なのですが、100円から110円に上がっているのに円安となり、分かりづらくなっています。
「1ドル=何円」で考える時は、まずドルが高くなったのか安くなったのかを考え、次に円はドルの逆、と考えると分かりやすくなります。
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円高と円安をわかりやすくするために重要なこと
円高と円安がわかりづらくなっているのは、「1ドル=○○円(1ドルいくら)」という表示方法です。円高と円安をわかりやすく考えるためには、「1ドルいくら」とする通貨の交換比率(為替レート)の表記の意味を理解して慣れることです。「1ドル=〇円」という表現は直接的にはドルが高いか安いかを表しているため、ドルではなく円が安いか高いかを考えてしまうと混乱しやすいのです。まずは、円高と円安の意味について説明した後で、「1ドル=○○円」の表示を理解するコツを紹介します。
円高と円安の意味
円高と円安の意味について考えてみます。まず、円高や円安ということばはドルやユーロなど外国との通貨の交換比率(為替レート)がどうなったかを表現する時に使う言葉です。
円高とは
円高という場合はドルやユーロなど特定の外国の通貨に対して円が高くなることを意味します。相手の通貨は反対に価値が下がり、ドル安、ユーロ安となります。
日本人から見た円高
円が高くなるということは、円を持っている人(日本人)から見ると、円が値上がりしているので、円を売るとより多くの外国の通貨を得られるようになることを意味します。別の表現をすると円は値上がりして価値が高まっているので、外国の通貨を買う時に支払う円が少なくて済みます。
例えば、1ドル=100円から1ドル=95円になると円高なのですが、円の価値が上がっているので、円をドルに交換する場合、1ドルを手に入れるために必要な円の金額が100円から95円に減ります。この時、円が値上がりしていますが、ドルは値下がりしています。
外国人から見た円高
円が高くなるということは、ドルなど外国の通貨を持っている人(外国人)から見ると、円が値上がりしているので、円を買うためにより多くの外国の通貨が必要になるとことを意味します。別の表現をすると円は値上がりして価値が高まっているので、外国の通貨で買える円が少なくなってしまうのです。
例えば、1ドル=100円から1ドル=95円になると円高なのですが、円の価値が上がっているので、ドルを円に交換する場合、1ドルで手に入れられる円は100円から95円に減ってしまうのです。
円安とは
円安という場合はドルやユーロなど特定の外国の通貨に対して円が安くなることを意味します。相手の通貨は反対に価値が上がり、ドル高、ユーロ高となります。
日本人から見た円安
円が安くなるということは、円を持っている人(日本人)から見ると、円が値下がりしているので、円を売るとより少ない外国の通貨しか得られなくなることを意味します。別の表現をすると円は値下がりして価値が低くなっているので、外国の通貨を買う時に支払う円が多くなってしまいます。
例えば、1ドル=100円から1ドル=105円になると円安なのですが、円の価値が下がっているので、円をドルに交換する場合、1ドルを手に入れるために必要な円の金額が100円から105円に増えます。この時、円が値下がりしていますが、ドルは値上がりしています。
外国人から見た円安
円が安くなるということは、ドルなど外国の通貨を持っている人(外国人)から見ると、円が値下がりしているので、円を買うためにより少ない外国の通貨で済むようになることを意味します。別の表現をすると円は値下がりして価値が低くなっている、外国の通貨で買える円が多くなるのです。
例えば、1ドル=100円から1ドル=105円になると円安なのですが、円の価値が下がっているので、ドルを円に交換する場合、1ドルで手に入れられる円は100円から105円に増えるのです。
「1ドル=〇円」は円ではなくドルの値段を示している
円高と円安を分かりづらくしているのは「1ドルいくら」という表現です。「1ドル=95円、1ドル=100円、1ドル=105円」と言う表現は通貨ドルを買うために円がいくら必要かという、ドルと円の交換レート(為替レート)、通貨ドルの値段を示したもので、直接的にはドルが高いか安いかを表したものです。そのため、ドルが高いか安いかを示した「1ドル=〇円」という表現で、円が高いか安いかを考えると分かりづらくなります。
モノの値段を示すときは「1個=〇円」
一般的にモノの値段はどのような形で表されるかを考えてみます。例えばりんご1個の値段を表すときには、りんご1個(1りんご)=100円というように表示しますが、左側の1個と書かれたものの値段がいくらかを示しています。1りんご=100円ならりんご1つがいくらかを示しています。
逆にすると100円=1りんごで、これを100円から1円に直すために100で両辺を割ると、1円=0.01りんごとなります。これなら1円は0.01りんご、つまりりんご0.01個分の価値ということになります。
「1円=〇ドル」と書くと円の価値が分かりやすい
為替レートは通常「1ドル=〇円」と表現されますが、これは円ではなくドルの価値を示しています。モノの値段と同じように通貨円の値段を示すようにするのであれば、本来は1円=0.0105ドル、1円=0.0100ドル、1円=0.0095ドルのように、ドル価格になってしまいますが「1円がいくら、1円=〇ドル」と書いた方が分かりやすくなります。これなら1円=0.0100ドルが1円=0.0105ドルになると円高で、1円=0.0100ドルが1円=0.0095ドルになると円安となり、円高、円安を直接的に理解しやすくなります。
ちなみに、1円=0.0100ドルは1ドル=100円(1÷0.01=100)を、1円=0.0105ドルは1ドル=95.2円(1÷0.0105=95.23…)を、1円=0.0095ドルは1ドル=105.3円(1÷0.0095=105.26…)を示しています。
「1ドル=〇円」が混乱の原因
しかし、実際には「1円=0.01ドル」のように書くことはありません。ドルは世界の基軸通貨で、ドルが基準で世界が動いており、対円では「1ドル=100円」の表記が慣例だからです。だから、「1ドル=100円」というように書かれ、分かりづらく混乱します。1ドルいくらと書くから1ドル=100円から1ドル=95円が円高で、1ドル=100円から1ドル=105円が円安ということが分かりづらくなります。
本当はドル高かドル安かを考えないといけない
1ドルいくらと書かれているということはドルの価値を示しています。だから、ドルが高くなったか安くなったかを示しています。1ドル=100円から1ドル=95円になるのはドル安で、1ドル=100円から1ドル=105円になるのはドル高なんです。そして、円はドルの逆の動きと考えると「ドル安→円高」、「ドル高→円安」と考えればよいのです。
1ドル=100円といった表示をみて、いきなり円高か円安かということを考えるのではなく、まずドル高かドル安かを考え、円はその逆と考えると混乱が少なくなります。
「1ドル=〇円」という表現はドルで考えると分かりやすい
1ドル=100円から1ドル=95円になると1ドルを手に入れるために必要な円の金額が100円から95円に減ります。ドルが値下がりしています。逆に1ドル=100円から1ドル=105円になると1ドルを手に入れるために必要な円の金額が100円から105円に増えます。ドルが値上がりしています。ドルで考えると分かりやすくなるはずです。
2通貨間では片方が高くなるともう片方は安くなる
通貨の交換比率を示す為替レート(1ドル=100円という表現)は2つの通貨の交換比率を示していますが、2つの通貨は相対的な価値なので、片方が高くなればもう片方は安くなるのです。
ドルと円の2通貨で考えた場合、ドルが高くなればその裏では必ず円が安くなっていて、ドルが安くなればその裏で必ず円が高くなっているんです。だからドル高であれば円安、つまり「円安ドル高」で、ドル安であれば円高、つまり「円高ドル安」なんです。
ドル高かドル安か考えて円は逆の動きと理解する
1ドル=100円から1ドル=95円となった時はドルが安くなっていて円は逆だから円高、1ドル=100円から1ドル=105円となった時はドルが高くなっていて円は逆だから円安というように考えます。
「1ドル=○○円」と書かれている為替レートを見たら、慣れるまでは円高か円安かを先に考えるのではなく、ドル高かドル安かを先に考えて、円は逆の動きだと考えると分かりやすくなり、円高と円安を間違えずに早く判断できるようになります。
円高と円安のメリットとデメリット
円高と円安のメリットとデメリットは日本の人と海外の人の立場の違い、円建てとドル建ての違いを意識すると分かりやすくなります。
円高のメリット
円高になると、外国の通貨を安く買えるので海外旅行に行きやすくなる、外貨建ての輸入品の円での値段が下がるのでたくさん買えるようになるなどのメリットがあります。
円高のデメリット
円高になると、円が値上がりするので海外からの旅行客が日本に来づらくなる、円建ての輸出品の値段が上がるので輸出競争力が落ちる、外貨建ての輸出品から得られる利益が減る、外貨建て資産の円での評価額が下がるなどのデメリットがあります。
円安のメリット
円安になると、円が値下がりするので海外からの旅行客が日本に来やすくなる、円建ての輸出品の値段が下がるので輸出競争力が高まる、外貨建ての輸出品から得られる利益が増える、外貨建て資産の円での評価額が上がるなどのメリットがあります。
円安のデメリット
円安になると、外国の通貨が高くなるので海外旅行に行きづらくなる、外貨建ての輸入品の円での値段が上がるのであまり買えなくなるなどのデメリットがあります。
まとめ
- 円高と円安をわかりやすくするコツは、「1ドル=○○円」はドルの値段を示しているということを理解し、まず、ドルが安くなったか高くなったかを考え、円はドルの逆という流れで考えることです。
- 「1ドル=○○円」で○○円が値上がりしたらドル高(例:1ドル=100円⇒1ドル=105円)、○○円が値下がりしたらドル安(例:1ドル=100円⇒1ドル=95円)です。2通貨間ではどちらかが高くなればもう片方は安くなるから、ドル安なら円高(円高ドル安)、ドル高なら円安(円安ドル高)になります。